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暴言を吐いてしまった人がとるべき行動・失敗から教訓を得るレジリエンス

樋口智香子マナー・コミュニケーション講師

自分の発した言葉で、相手を深く傷つけてしまった。
人生では、そうした失敗を経験することがあるかもしれません。
一度口にした言葉は、無かったことにはできません。取り返しのつかない事態に、自身も苦しむことは免れないでしょう。
しかし、その後の行動次第で、状況を変化させることはできるかもしれません。
相手の心をケアし、また自分にとっても、少しでもより良いほうへと向かわせるには、どのようにするのがよいでしょうか。

相手に対してすること

すぐに、お詫びをする

良くないことを言ってしまったと思ったら、即、お詫びをしましょう。

暴言を吐いてしまうという状況は、自分が平常心ではないことが考えられます。

良くないことに、はっ!と気づけたのなら、元の自分に立ち返っているサイン。その場ですぐに、お詫びをしましょう。

改めて、お詫びをする

発言の直後は、お互いに気持ちの整理がついていないことが考えられます。

時間をおいて、改めてもう一度、正式にお詫びをするのがよいでしょう。

直後では、自身は気が動転しているでしょうし、相手にしてみれば、その場で謝られたとしても、しばらくの間、悲しみの気持ちが続くかもしれません。

その場限りの謝罪にせず、きちんと気持ちを整理して、改めて、正式にお詫びをするとよいでしょう。

具体的に、お詫びをする

お詫びをするときには、”何が良くなかったのか”を具体的な言葉にします。

ただ「申し訳ございません」「ごめんなさい」と謝るだけでは、本当に悪いと思っているのかと、反省の気持ちが伝わりにくいでしょう。

「〇〇してしまいまして、申し訳ございませんでした」「〇〇してしまって、ごめんなさい」というように、具体的に言葉にします。

例えば、以下のような謝罪です。

・職場(上司→部下)

「いつもがんばってくれているのに、心ないことを言ってしまって、本当に申し訳ありませんでした。」

※相手が部下でも、敬語で謝罪します。

・友人

「いつも仲良くしてくれているのに、ひどいことを言ってしまってごめんなさい。」

「あなたを深く傷つけるようなことを言ってしまって、本当にごめんなさい。」

この「〇〇をしてしまって」という言葉が、相手の悲しみに共鳴したときに、相手の心は癒されはじめるのです。

表面的な言葉にせず、心からの反省を、誠実に伝えることが大切です。

自己保身をしない

時には、”なぜ、そんなことを言ってしまったのか”という経緯を伝えたほうがいい場合もあります。

訳もわからず、ひどいことを言われたら「なぜ、そんなことを言うの?」という気持ちになるのが、人間だからです。

このときに、絶対にNGなのが、言い訳や保身に走ることです。

言い訳じみた言葉にならないよう、十分に考慮して伝えましょう。

経緯を伝えるというのは、例えば、以下のようなことです。

・仕事

「重要な会議が控えていて、気持ちに余裕がなかった。だからといって、それはあなたに何の関係もないことで、決して言ってはいけないことだった。本当に申し訳ありませんでした。」

・友人

「あなたがキラキラしていて、少しうらやましい気持があったのかもしれない。自分の弱さでひどいことを言ってしまって、とても反省しています。ごめんなさい。」

こうした内容をどう受け取るかは、相手次第です。
許してもらおう・正当化しようとするのではなく、素直な気持ちを伝えることです。

自分に向けてすること

反省と共に、内観する

なぜ、ひどいことを言ってしまったのか、自分の心をよく観察しましょう。

少なくとも、平常心ではなかったはずです。

例えば、以下のようなことが考えられます。

・慢心があった

・自己肯定感が下がっていた

・自分を卑下し、相手がうらやましくみえた

・何らかのストレスがたまっていた

・気持ちに余裕がなかった

・心身が疲弊していた

こうした心に気づいたら、まず自分がそこに寄り添うことです。

おごりがあれば謙虚を心がける、疲れているなら休む、悩みがあるなら相談するなど、自分でケアすることを心がけてください。

人に対してネガティブな気持ちがわいてしまうのは、そもそも自分が傷ついているときです。

優位に立ちたいと思ったり、意地悪を言いたくなってしまう心の裏には「自分を認めてほしい」という思いがあります。

人にそれを向けるのではなく、まず自分が自分を認めてあげることです。

徳を積む(善い行いをする)

ひとしきり内省したら、この経験を糧にしてください。

大きな出来事というのは、人生にとっても、大きな変化をもたらすものです。

これまでの自分にひと区切りをつけて、変化するタイミングなのだと捉えるとよいでしょう。

まずお勧めは、日々のなかで、徳を積むことです。徳を積むとは、善い行いをするということです。

引き続き、相手の心のケアに努めつつ、人に喜ばれる行動を心がけましょう。

例えば、以下のようなことを、積極的にするといいでしょう。

・優しい言葉、思いやりのある言葉をつかう

・人に親切にする

・感謝の気持ちを持ち、言葉にする

・人の手助けをする

・笑顔を心がける

・約束を守り、誠実に行動する

・人を褒める、ねぎらう

・掃除をする

このように、日常でコツコツと善い行いを重ねていくことで、やがて、より良い未来につながることでしょう。


以上、暴言を吐いてしまった人がとるべき行動と、より良い状況に向かうための方法についてお伝えしました。

お読みいただき、ありがとうございました。

マナー・コミュニケーション講師

マナー・コミュニケーション研修講師。千葉県出身、元資生堂ビューティコンサルタント。NLP心理学とマナーをかけ合わせたプログラムにより、ビジネスマナー研修・接遇マナー研修・コミュニケーション研修棟を実施。全国250か所から招致され、指導人数は延べ20000人以上。セミナー・研修の他、書籍の出版、コラム執筆、雑誌記事や教材監修など幅広く活動中。

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