アルツハイマー型認知症に現れやすい【食生活の変化4選】介護福祉士が漫画でわかりやすく解説
こんにちは。認知症の支援サポーター『夢はるか』です。わたしは介護現場で15年以上働く介護福祉士です。
子どもの頃から好きだった漫画を描くことを通して、認知症や介護のことを多くの人に知っていただければと考えて、Yahoo!ニュースへの寄稿を続けています。
若い頃はいくらでも食べられたのに、最近わたしの食欲もいくらか落ち着いてきたかな?なんて思うことがあります。
歳を経るに従って食生活は変わっていくものですが、特に認知症に現れやすい変化もあります。
今日は認知症の中でも、アルツハイマー型認知症に現れやすい食生活の変化を、いつものようにイラストを交えて順にご紹介します。
1.食べたことを忘れる
ついさっき食べたばかりなのに、もう忘れている!
これは『記憶障害』のあるアルツハイマー型認知症の人に多い症状です。
「食べたことは覚えているけど、何を食べたか思い出せない」
これなら、誰にでもある自然な物忘れです、
しかし、食べたこと自体をすっかり忘れていたら、認知症の可能性があります。
2.食べ物を認識できない
認知症になると、食卓に並んでいるものが食べ物だと認識できなくなることがあります。
これは、視力に問題がないのに、見たものが何か認識できない『失認』といわれる症状です。
3.食べ方がわからない
認知症では、箸やスプーンなど基本的な食器の使い方が分からなくなることがあります。
さらに食べ物を口元へ運んでも、なかなか口が開けられないこともあります。
これらは『失行』と呼ばれる症状です。
運動能力に支障がないのに、一連の動作ができなくなる状態のことです。
握りやすいスプーンや箸、口に運びやすいコップや皿など、さまざまな介護用品があります。
それらの中から、各自の状態に合った器具を選択することで、食べやすくすることができます。
4.食事に集中できない
食事中にテレビの音や、他の人のおしゃべりが気になって、食事の手が止まってしまうことがあります。
これは、『注意障害』といわれる症状です。
注意散漫で他の刺激に気をとられやすい状態をいいます。
失認や注意障害が原因で食事が進まないときには、
「残ってますよ!」
などと叱るよりも、
「美味しそうですね、どんな味付けですか?」
など、それとなく食事に注意が向くような声掛けをするのがよいでしょう。
また、気が散る音や景色が目に入らないように、食事の場所を移動することも、落ち着いた食事のために役立ちます。
介護する立場からすると、
「栄養不良にならないように、なんとしても食べてもらわないと」
と思ってしまいがちです。
しかし無理強いすることで、食べること自体が嫌になったり、人間関係が壊れてしまったら元も子もありません。
今日ご紹介した、食べられない原因を頭に入れておくことで、その人に合った工夫を考えられると思います。
そして旬の美味しい食べ物を、みんなで楽しく食べられたらいいですね。