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メジャーリーグ通算400セーブ達成のK・ロッド(フランシスコ・ロドリゲス)の師弟愛と後継者問題。

谷口輝世子スポーツライター
通算400セーブを達成したフランシスコ・ロドリゲス(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

メジャーリーグ、タイガースのフランシスコ・ロドリゲス投手が24日のフィリーズ戦で歴代6位の通算400セーブを達成した。34歳の右腕はベネズエラ出身。1998年にエンゼルスと契約して、2002年9月、20歳でエンゼルスからメジャーデビューした。

エンゼルス時代には、90マイル半ばの速球とスライダーで三振を奪うスタイル。三振を示すK・ロッドというニックネームをつけられた。球速が衰え始めると、今度はチェンジアップに磨きをかけ、90マイルに届くかどうかの速球との組み合わせで生き残ってきた。

K・ロッドに話を聞かせてもらうと、時々、トロイ・パーシバルの名前が出てくる。K・ロッドがメジャーに昇格した当時、エンゼルスのクローザーだったのがトロイ・パーシバルだ。

中継ぎ・救援投手はダグアウトではなく、ブルペンから試合を見ている。そのブルペンで、パーシバルはベネズエラからやってきた20歳のピッチャーに救援投手の心得を叩き込んだ。

K・ロッドはブルワーズでプレーしていた昨年6月にパーシバルの持つ通算358セーブに並んだ。そのとき、K・ロッドはミルウォ―キーの地元紙にこんなふうに話していた。

「とても特別なものになる。彼(パーシバル)には僕のことを誇りに思ってもらいたいし、彼が僕に費やしてくれた時間が無駄ではなかったことを知って欲しい。だから、彼の記録に並ぶこと、追い抜くことは特別なことなんだ。僕も、僕の家族も彼にはとても感謝している」

パーシバル師匠の指導は時に厳しく「この人はどうして僕に大声を出すのだろうか」とも思ったそうだ。

しかし、クローザーになるために必要なことを教えてくれたと、K・ロッドは信じているという。救援に失敗しても、翌日もまたマウンドに上がって抑えなければいけないのがクローザーの仕事。パーシバルはK・ロッドに、いかに打者と対戦するかだけではなく、失敗したときにいかに切り替えるか、チームから信頼される抑え投手であるために、どのような精神が必要かを言葉と姿勢で示したのだ。

K・ロッドは2009年にメッツに移籍し、その後、ブルワーズに在籍し、2016年からはタイガースでプレーしている。

行く先々で、K・ロッド自身が師匠役を期待されるようになった。K・ロッドにもパーシバルがしてくれたようにとの思いもあり、積極的に師匠役を引き受けてきた。

ところが、K・ロッドはあまり「弟子」に恵まれていない。

ブルワーズ時代の2013年にはジム・ヘンダーソンとの2人でクローザー役を担うことになり、いわばチーム内の競争相手でもあった。けれども、K・ロッドは親身になってヘンダーソンの相談相手となった。ヘンダーソンは登板後にK・ロッドからのアドバイスを聞くことをルーティンワークとしていたという。しかし、ヘンダーソンは翌年、肩を手術することになり、それ以降はあまり活躍できていない。

メッツ時代はチェンジアップを教えるなどしてヘンリー・メヒアの面倒を見た。しかし、メヒアは今季開幕前に3度目の禁止薬物違反で永久追放処分を受けている。

タイガースでは100マイルの速球を活かし切れないブルース・ロンドンの師匠役を期待された。同じベネズエラの出身でもある。しかし、ロンドンは開幕ベンチ入りメンバーに入れず、今もマイナーにいる。

同じ選手という立場であるメンター(助言者)からのアドバイスを受けることは、コーチから指導されるのとまた違った良さがあるのだろう。

K・ロッドがパーシバルから受けたクローザーとしての薫陶を引き継いでいくのは誰なのだろうか。

スポーツライター

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情をお伝えします。著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかーー米国発スポーツペアレンティングのすすめ 』(生活書院)『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店) 連絡先kiyokotaniguchiアットマークhotmail.com

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