陸自ヘリ事故、米陸軍のUH60ブラックホークの事故発生率はどうなっているのか
10人が搭乗した陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH60JA」が6日、沖縄県の宮古島の周辺で消息を絶った。UH60JAはもともと米陸軍の汎用ヘリの「UH60ブラックホーク」を自衛隊仕様にした機体だ。UH60ブラックホークをめぐっては、海外でも重大な事故が起きてきた。
(関連記事:UH60ブラックホークに起きた海外の主な事故一覧 台湾で2020年に軍トップが搭乗し8人死亡)
それでは、米陸軍でのUH60の事故発生率はどのようになっているのか。
米陸軍は2021年1月、UH60ブラックホークを含む、H60系ヘリコプターの事故に焦点を当てた飛行データを公開した。
それによると、2016年度から2020年度の5年間に、H60は170万時間以上の飛行時間を記録し、計160件の事故が起きた。そして、18人の死亡者と3億6800万ドル(約486億円)以上の損害をもたらした。160件の事故のうち、被害総額が250万ドル以上や死者が出るような重大な飛行事故に当たる「クラスA」は18件だった。
H60のクラスAの事故率は10万時間あたり0.87で、クラスA~C全体の事故率は6.56だった。これに対し、米陸軍全体の回転翼機のクラスAの事故率は1.03で、クラスA~Cでは6.78だった。
ブラックホークは米陸軍の回転翼機の約54%を構成し、回転翼機の飛行時間の47.9%、クラスA事故の41.9%、回転翼機のクラスA~Cの事故の48.5%をそれぞれ占めた。それ以前の2011年度から2015年度の5年間では、H60は201万時間の飛行時間を記録し、クラスA事故率は1.04、クラスA~Cは6.81だった。死亡者数は24人だった。
米陸軍がH60のクラスAの事故を調査したところ、主な事故原因としては人為的ミスが83%を占め、残りの17%は資材の故障だった。クラスA~Cのすべての事故では、74%が人為的ミス、12%が資材の故障、9%が環境要因(野鳥との衝突事故、雷、風)、5%が未報告または不明だった。
総じて米軍は1970年後半からUH60ブラックホークを使用しているが、その事故率は「比較的低い」と言える。
米軍は事故をA~Eに分類する。クラスAは被害総額250万ドル以上か、死者が出た事故。クラスBは被害額60万~250万ドルか障がいの残るけが人がいる事故、クラスCは被害額6~60万ドルか、欠勤が必要なけが人がいる事故となっている。
(関連記事)
●ノルウェーでの4人死亡の米海兵隊オスプレイ墜落、パイロットの操縦ミスが原因