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産経「沖縄振興予算、減額へ」 一転、 最終折衝で「10億円増で決着」

楊井人文弁護士
島尻安伊子沖縄北方相の記者会見(12月22日、政府インターネットテレビより)
産経新聞2015年12月22日付朝刊1面
産経新聞2015年12月22日付朝刊1面

【GoHooレポート12月22日】産経新聞は12月21日付朝刊1面で「沖縄予算 2年連続減へ」と見出しをつけ、政府が来年度の沖縄振興予算を「今年度から微減とする方向で最終調整に入った」と報じた。記事は、政府が「2年連続で減額せざるを得ないと判断した」としたうえで、島尻安伊子沖縄北方相が減少幅を最小限にとどめるため財務省との最終折衝にあたると指摘した。他方、東京新聞は同じ日の朝刊で「複数の政府関係者」の情報として、「概算要求から減額する方向で調整に入った」と報じたが、「今年度予算からの減額」とは報じていなかった。読売新聞は同日夕刊で「約10億円増額し、3350億円とする方針を固めた」と報じた。

結局、21日午後の最終折衝後、島尻沖縄北方相は会見で、今年度予算より約10億円増の3350億円を確保することになったと明らかにした。産経を含む各メディアが一斉に報じ、菅義偉官房長官も22日午前の会見で追認した。今年度予算よりは増えるが、「概算要求額(3429億円)からの減額」は2年連続。

産経は前日の報道は訂正せず、ニュースサイトの見出しを当初の「2年連続減額へ」から「2年連続減額で最終調整」に上書き修正していた。22日付朝刊では「27年度の3339億円から微減となる見通しだったが、8月の概算要求時にはなかった子供の貧困対策を新たに盛り込み、振興予算は27年度より約10億円増額して決着した」と報じた

菅長官は22日午前の会見で、「来年1月の宜野湾市長選やですね、参院選を見据えて増額にしたというような見方もあるが」と記者に尋ねられ、「それは全く当たらないと思います。沖縄から、今の県政からの大変強い要望を受けていることもつけ加えておきたいと思います」と答えた。

弁護士

慶應義塾大学卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年より誤報検証サイトGoHoo運営(2019年解散)。2017年からファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人、事務局長兼理事を約6年務めた。2018年『ファクトチェックとは何か』出版(共著、尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。2022年、衆議院憲法審査会に参考人として出席。2023年、Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット賞受賞。現在、ニュースレター「楊井人文のニュースの読み方」配信中。ベリーベスト法律事務所弁護士、日本公共利益研究所主任研究員。

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