統一教会 原語資料に出てくる「自民党系人物」の名前 「元防衛大臣」は"濃厚"「首相経験者」も
9月2日がその締切だという。
自民党内で統一教会との関連を調査するアンケートのことだ。今、何かを「思い出したり」しているところだろうか。そしてこの結果発表がひとつのヤマとなるか。
こちらは7月8日からずっと籠もりっきりで韓国語での統一教会関連資料を調べている。現地報道もあるが、それよりも「統一教会の公式資料」で"用が済む"。
なにせ教団の関連書籍を販売する「鮮鶴歴史編纂苑」を含め、大量の資料が閲覧可能なのだ。「自民党」と検索をかけてみると53冊がヒットする。1冊の書籍で複数の言及がある場合もあるから実際の言及数はもっと多い。
また、先日から山際大志郎大臣が参加したイベント開催で多く報じられた「UPF（天宙平和連合）」のような関連団体のサイトでも英語・韓国語双方で「自民党」という言葉は多く出てくる。
現在着手中の文鮮明氏、韓鶴子氏それぞれの語録集は合計600冊以上にも及び、韓国側からの言及はまだまだ出てきそうだ。もちろん精査は必要な情報（語録にはかなり教祖が"飛ばしている"と思われるくだりもある）だが、ひとまずは読解する作業を進めている。
そういったなかで、自民党の岸信介氏、福田赳夫氏、金丸信氏、中曽根康弘氏、そして安倍晋三氏といった政治家たちの名前が登場することはこれまでも記してきた。
さらに山際大志郎現経済再生担当相、国会議員経験者の山中燁子氏、現地方議員の西村幸吉氏、藤曲敬宏氏、さらに元地方議員の前野弘明氏らの名前が登場する点は8月29日に記した。
これ以外にも名前が登場する自民党の人物が存在する。
これまでも各メディアが公開してきたリストに登場する人物たちだが、自民党調査の締め切り（9月2日）前に、韓国側でどう言及されているのかをいま一度記しておこう。
元防衛大臣が「最多」、首相経験者も
田中和徳氏
2017年5月の「アエラドット（週刊朝日の記事を転載）」で鈴木エイト氏が「来日した教団一行と自民党本部で面会」「川崎駅構内で世界日報を配っていた」と記した。後者について田中氏側は「資料の勘違いがあった」と答えていたという。
ただし、「勘違い」だけでもなさそうだ。教団側は「関係があった」と記している。UPFの2012年3月30日の記事だ。氏が会長を務めてきた議員連合での話だ。
「日本―マーシャル諸島議員連合の会長として、マーシャル諸島の新大統領就任お祝いの手紙を統一教会関連団体を通じて渡した」
The president of the Japan-Marshall Islands Parliamentarians Association, Hon. Kazunori Tanaka, a Diet member from the Liberal Democratic Party, handed Mr. Kenichi Ito, Secretary General of UPF-Marshall Islands, letters of congratulations to the new national leaders to deliver on his behalf.
大野功統氏（元防衛大臣など／2012年8月に政界引退）
この人物の教団とのつながりをどう捉えるべきか。
政界引退後のかなり活発な教団との交流が記録として残っている。何せ、教団関連サイト（このデータに関しては「英語含む」）の登場回数が「自民党系人物最多」の33回なのだ。
関連団体「UPF」のサイトをたどると、以下のイベントに参加していることが分かる。「鮮鶴平和賞」の選考委員の経歴もある。
ワールドサミット 2014、2017、2020、2022年。
国際指導者会議 2016（韓国大会）、2019年。
これらに「元防衛大臣」の肩書で参加。2019年には「閉会の辞」も述べるなど、スピーチの回数も多い。2017年のワールドサミットでは、はっきりと教祖や統一教会の教義を称える発言も行っている。
「UPF の創設者である故文鮮明牧師と韓鶴子博士は、21 世紀初頭から国連改革を提案してきました。また家族の価値観の重要性も強調しています。これまでの努力を結集し、IAPP が共通基盤となっています。この会を通じて平和のために皆さんと協力できることを心から楽しみにしています。どうもありがとうございました」
2012年の政界引退後は、長男敬太郎氏が香川3区の選挙地盤を引き継いでいる。
菅義偉氏
経歴については説明不要だろう。首相まで務めたあの菅氏だ。
前出の鈴木エイト氏の記事
「旧統一教会幹部ご一行を“歓迎”した菅官房長官、高村副総裁らの思惑」
でも名前が挙がるとおり、2017年の教団の日本での関連行事「韓・日・米希望前進大会」開催時に統一教会関係者に会った記録がある。
2018年2月の教団関連雑誌「統一世界」の56ページにはこういった記述が残っている。
「日本の東京で希望前進大会を行った際もアメリカの代表団が日本を訪れ交流を持ち、日本とアメリカが朝鮮半島の平和を指示しなければならないという内容などを導き出しました。自民党と多くのカンファレンスを進行し、ヨシヒデ官房長官にも会いました」
"スガ"の文字が抜けているが、2017年当時の官房長官と言えば菅氏であることは明らか。日米韓のイベント、として開催したもののうちアメリカの代表として会ったとしている。
2日締切のアンケート結果では、これらの人物の関連情報にも注目だ。
「自民党と統一教会」問題 3つのポイント
この夏、半ば籠もって教団関連の原語資料を調べるなかで、感じるところは、この3つだ。9月2日を前に今一度言いたい。他でも多く言われており、なんら珍しいものでもないが、切にそう思う。
霊感商法の被害を生んだ反社会的団体との交流、あるいは自民党系の人物が「広告塔」としての役割を果たしてきた問題。
根底に反日思想を持つ団体と保守派政治家との接点。「選挙に勝てればなんでもいい」節操のなさか、あるいは「知らなかった」落ち度。はたまた「知らなかったふりをする」姿勢。
そしてそういった団体が日本の政策決定に影響を及ぼした可能性。85年提案のスパイ防止法案は否決されたものの、教団資料では「自民党に法案提案のかなり強いプレッシャーをかけた」とある。そこまで強い影響力がある可能性は低いとされるが、個人的には「何が起きてきたのか」に関心がある。何せ教団側は自民党系地方議員にまで「関わり」がある点を記しているのだ。それが「広く浅い」ものなのか。あるいは「広く深い」ものなのか。
9月2日締切のアンケート、どういった結果が出てくるだろうか。
【参考記事／筆者による】
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