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「正直、隣国の日本がうらやましい」韓国五輪代表監督が会見で漏らした本音とソン・フンミンOA枠の可能性

金明昱スポーツライター
東京五輪出場の意思はあるというソン・フンミン。OA枠での招集は可能だろうか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

「正直、隣国の日本がうらやましい」

 そう語ったのはサッカー韓国U-24(五輪)代表のキム・ハクボム監督だ。

 キム監督は24日に行われた記者会見で、ガーナとの強化試合(6月12日と15日)に向けたメンバー28人を発表。

 メンバーにはA代表経験もあるイ・ガンイン(バレンシア)、イ・スンウ(ポルティネモンセ)、チョン・ウヨン(フライブルク)、ペク・スンホ(全北現代)などが選出された。

 これに先立ち、6月に韓国で集中開催されるカタールW杯アジア2次予選のメンバーも発表されたのだが、ここに五輪代表の年代でもあるウォン・ドゥジェとイ・ドンギョン(以上、蔚山現代)、ソン・ミンギュ(浦項スティーラーズ)らが選出された。

 韓国代表は貴重な戦力をA代表と五輪代表とで分け合う形になったのだが、相当な話し合いが持たれたと想像できる。というのも、キム監督が会見で語った内容が、多少皮肉にも聞こえたからだ。

 韓国フル代表のパウロ・ベント監督は、同日に先立って行われたW杯アジア2次予選の代表メンバー発表会見で「今回の選手選抜の過程は至極、正常に行われた。常に選手を見て評価し、我々が求める選手を選抜した」と選出には何ら問題がなかったと発言。

 しかし、キム監督はフル代表が優先となる選出方法に不満があるかのような寂しい口調だった。

「少し惜しいなと感じるのは事実です。正直、隣国の日本がうらやましい。日本に勝たなくてはならないことばかり考えてきましたが、まさか、うらやましいと感じるなんて思っていませんでした。日本はワイルドカード(オーバーエイジ)を含む、完全な形で親善試合の準備をしています。それがとてもうらやましい」

 日本五輪代表はすでに3つのオーバーエイジ枠を早々に発表し、フル代表のDF吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(マルセイユ)、遠藤航(シュトゥットガルト)を招集することを決めた。6月5日に行われるガーナとの親善試合にも合流予定で、それと比較すると韓国五輪代表は出遅れた感じは否めない。

ソン・フンミンに五輪出場の意思あり

 では、韓国五輪代表のオーバーエイジ枠は実際のところ、誰になるのか。

 キム監督は会見で「ワイルドカード(オーバーエイジ)候補は11人で、所属チームと接触している。クラブが反対すれば難しい。選手の意思が重要だ。現在進行形だ」と語った。

 中でも目玉はソン・フンミン(トッテナム)とファン・ウィジョ(ボルドー)だ。すでに2人には声をかけていることを4月に公表しているが、2人の意思も確認済みだという。

「ソン・フンミンとファン・ウィジョに(五輪出場の)意思はある。ただ、クラブ側の意見も重要だ」

 2人は共に6月開催のカタールW杯アジア2次予選のメンバーに選出されているが、キム監督は得点源となるソンとファンを是が非でも東京五輪メンバー入りさせたいと願っている。いま揃えられる戦力でベストメンバーを組みたいと考えるのは、韓国が金メダルを狙っているからに他ならない。

 韓国五輪代表の最終メンバーの18人の発表は6月末を予定しているが、サプライズ選出はあるのかどうか――。

 五輪が自国開催となる日本にとっても、韓国は対戦相手になる可能性があるだけに、オーバーエイジ枠が誰になるのかに注目しておきたい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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