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「かわいい」の心理学:若者もおじさんも親も上司もかわいくなるために

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

現代社会では、全てのひとに「かわいい」が必要です。でもそれは、弱さを売り物にすることではありません。

■「かわいい」とは

「かわいい」は、現代日本の絶対的価値かもしれません。どんなものでも、かわいくなくてはなりません。強いだけ、賢いだけでは、現代日本社会の中では、生きていけません。

昔なら、クラスの中の強い子、賢い子、美人、金持ちが、力をふるっていたかもしれません。その一つの特徴だけで、みんなが一目置いたかもしれません。でも、今はそれだけではだめです。うっかりしたら、いじめられます。かわいくなくてはなりません。

それは、校長先生も、芸能人も、政治家も企業家も、同じかもしれません。多くの人の目に触れ、評価の対象になる全てのものが、かわいさを求められます。

有能だからといって、社会的地位が高いからといって、それだけでは高く評価されません。それは、いばらない謙遜さとかおもしろいユーモアと言ってもいいかもしれませんが、ひと言で言えば、「かわいい」です。

今や「かわいい」は、日本の枠を超えて、世界に輸出されようとしてます。

しかしそうなると、悩む人がいます。自分はかわいくないと。見た目で悩む人もいますが、見た目だけの問題ではありません。勉強ができてもスポーツができても、それだけではだめで、まるでお笑い芸人のようなコミュニケーション能力がある「かわいい」が求められます。今や、フレンドリーでかわいくない上司も政治家も、上手くいかないのです。

心理学的に言うと、かわいいとは、「ポジティブで、脅威や緊張を感じず、社会的な接近動機づけを伴っている」ものです(大阪大学 入戸野 宏 )。

■人が「かわいい」と感じるとき

人は、色々なときに「かわいい」と感じます。たとえば、赤ちゃんはかわいいですね。一つの原因は、見た目です。哺乳類はみんな丸いものをかわいがります。哺乳類のあかちゃんは、丸っこい姿をしています。たとえ親は精悍な顔つきの猛獣でも、赤ちゃんはみんな丸っこい姿です。その姿を見ると、哺乳類である人間も、「かわいい!」と思うわけです。

人形や模型でさえ、リアルに作ってあるものではなく丸っこく作ってあると、かわいいと感じますね。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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