Twitter「外部のクライアントアプリ禁止」に大きな反発。影響は?
1月19日、Twitterが開発者規約を更新し、外部の開発者(サードパーティ)によるクライアントアプリなどの作成を禁止したことが明らかになりました。
Twitterでは「サードパーティ製アプリ」がトレンド入りしており、ユーザーから不満の声が相次いでいます。どういった影響があるのか考察していきます。
突然の変更に大きな反発
Twitterが提供する公式のアプリとしては、iOS版やAndroid版、Web版のほかに、2011年に買収したTweetDeckがあります。
それに加えて、規約の範囲内で一般の開発者もさまざまなアプリを作って連携することが可能となっており、Twitterの多様な使い方をサポートしてきました。
その中で、Twitterが公式に提供するアプリを置き換えるようなサービスや製品については、作成が禁止されることになりました。
具体的には、開発者向けの利用規約が2023年1月19日付けで更新され、以前の規約と比べると、「ライセンス素材」の利用制限として以下のような文言が追加されています。
(ライセンス素材とは、日本語版の規約によれば「Twitter API、Twitterコンテンツ、およびTwitterマーク」と定義されています)
過去にもサードパーティアプリの開発者とは対立することがあり、たとえば2018年にはアプリが利用できるAPIの移行に伴う混乱がありました。
ただ、こうした変更の際には事前の説明があり、実施までに90日間の移行期間が設けられるなど、影響を小さくしようという姿勢が感じられました。
これに対して今回の変更では、その中身もさることながら、1月12日頃から多数のユーザーが存在するアプリのAPI利用を突然停止。その後も抽象的な説明にとどまり、一方的に規約を変更するというやり方が大きな反発を招いている印象です。
また、イーロン・マスク氏は重要な方針変更をする際には投票を実施することを約束したこともありますが、今回はそれもありませんでした。
Twitterは規約変更の理由を詳しく語っていないため、推測するしかありませんが、「おすすめ」の表示や広告、Twitter Blueについて、ユーザー体験を統一していく取り組みの一環と考えられます。
たとえばTwitter Blueの新機能はサードパーティのアプリでは利用できず、青色、金色、グレーのバッジも表示されません。これはTwitter Blueの契約を増やしていく上ではマイナス要素になります。
本来はサードパーティのアプリでもこれらを導入できるよう、ルール作りをしていくのが望ましいとは思われるものの、人員削減によってそういう余裕がなくなっている印象も受けます。
マスク氏自身もiPhone用の公式アプリから投稿しており、サードパーティのアプリは利用していないとみられることも、理由の1つといえるかもしれません。
アプリ開発者の動向にも注目
サードパーティのアプリを利用する人の数は公表されていないものの、Twitter全体のアクティブユーザー数に比べてそれほど多くはなかったと考えられます。
問題は、絶対数としては少ないとしても、古くからのヘビーユーザーが多いとみられる点です。こうしたユーザーは「声が大きい」ので目立ちますが、多数の投稿やリツイートなどによってTwitterを支えてきたことも事実です。
その多くは、いったんTwitterが提供する公式アプリに移行するとは思われるものの、注目したいのはアプリ開発者の動向です。
すでにアプリの中には大きなビジネスに成長しているものもあります。iOSアプリ「Tweetbot」の開発元がTwitterからの移行先として注目されるマストドンへの対応を表明するなど、他のプラットフォームに移行することで、ユーザーを引き連れていく可能性があります。
今回の騒動をきっかけにTwitterからどれくらいのユーザーが離れるか、注目といえるでしょう。