ノルウェー新世代 法務大臣(30)が明かす、リーダーシップの挑戦
法務大臣は、首相や財務大臣に続く非常に重要な役職と考えられています。ノルウェーでは1993年生まれのエミリエ・エンゲル・メール法務・公共安全大臣のように、女性がこのポジションにつくことが、もはや珍しくありません。彼女は若さと親しみやすさから、若い世代から高い支持を受けています。
ノルウェー経営者連盟NHOの年次カンファレンスは国内中の権力者が集まる場として有名です。ここで、メール法務・公共安全大臣は、大臣としての役割と自分自身としてのバランスを取る難しさについて語りました。
「私は法務大臣を務めてまだ2年あまりですが、品位を持って行動することと、さまざまな社会集団から尊敬されることとの間のギャップを感じることもあります。自分自身の表現とリーダーとしてのバランスをとることは簡単ではありません」とメール大臣は述べました。
難しい専門用語の世界を分かりやすく国民に伝えるスキル
彼女は大きな部署で働く難しさと、国民との効果的なコミュニケーションの必要性についても議論しました。分かりやすい言葉を使い、専門用語を避けることが信頼を築き、国民とのつながりを維持するためには重要だと語りました。
「この職種では、政治や法という難しい専門用語の集まりを、自分自身の言葉にして、自分に浸透させ、外部に伝えるスキルが求められます。ちょっと政治家っぽくなったり、官僚的になりすぎたり、少し安っぽくなったりすると、すぐに距離ができて、国民に遠い存在として捉えられてしまいます。こうなると、良い代表者であるとは評価されません。自分が国民に選ばれた存在であることを、決して忘れていないようにしています」と彼女は強調しました。
情報の公開性は大事にしたいが……
「物事に首を突っ込むと、見ている人は何かしら判断をしようとします。それがプラスになることもあれば、マイナスになることもあります。より注目を浴びるケースがあれば、そのプレッシャーを全て処理しながら、同時に社会がまだ注目していないケースの対応もしなければなりません。情報の公開性を大事にしていますが、立場状、秘密裏に動くことも多いことが負の側面でもあり、必ずしも事件の中心に座っている人にメッセージが届くとは限らないこともあります」と、メール大臣は葛藤を明かしました。
ジェンダー平等の課題
女性リーダーの少なさについて、ノルウェーはまだまだ「できる限りの努力をしなければならない」と彼女は考えています。
「たとえ我が国が自分たちを平等だと考えることを好む国であっても、各職種にどれほどの女性がいるのかという数で見ると、まだ課題があることに疑いの余地はありません」と、ジェンダー平等の必要性を強調しました。
Photo&Text: Asaki Abumi