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動画に映っている影は宇宙人か 専門家がAIで検証した結果は? ラスベガスのエイリアン目撃騒動から1年

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
犯罪現場を再現する専門家は矢印の影はリアルだと分析。写真:foxnews.com

 1年ほど前、ラスベガスに住むケンモア一家が、裏庭で身長が10フィート(約3メートル)もあるエイリアンを目撃したと警察に通報し、警察が駆けつけた騒動を覚えている方は多いかと思う。目撃したのは、エンジェル・ケンモア君(当時16歳)とその家族。エンジェル君がユーチューブに投稿したエイリアン目撃談はこれまで110万回以上視聴されている。

 ケンモア一家のエイリアン目撃談については懐疑的な見方もされ、その真偽が議論されてきた。そんななか、犯罪現場を再現する専門家として33年間に1500件もの犯罪現場を再現してきた「エビデンス・ルーム」CEOのスコット・ローダー氏は、ケンモア一家が裏庭へと向かう様子を撮影した動画を1フレームごとに分析して検証、動画には2体のリアルな存在が映っているとFoxニュースで断言している。

「これらの存在はリアルだ。そこに存在している。偽物ではない。詐欺ではない」

動画は加工されていない

 ローダー氏はなぜ映っているものがリアルな存在だと確信しているのか? その理由の一つとして、同氏は、動画が加工されていない点を指摘している。

「編集は一切されていない。オリジナルの動画だ。動画が加工されているかどうか検証したが本物だった」

 しかし、動画が加工されていないオリジナルのものだったとしても、問題は、その中に映っているものが、ケンモア一家が目撃したと話しているエイリアンなのかどうかということだが、ローダー氏は何度も動画を視聴し、モーション・トラッキング・ソフトウエアやAIソフトウェアを使って分析、2体のリアルな存在を確認したという。以下が、その2体を示す画像だが、同氏はスクリーン右上のフェンスの上と、裏庭へと向かう家族の間にある影のように見えるものがリアルな存在だ指摘し、「AIソフトウェアで、それが単なる影ではないことを科学的な疑いの余地なく判断することができたと思う」と自信を見せている。

ローダー氏は、フェンスの上と裏庭へと向かう家族の間にリアルな存在を確認したという。画像:foxnews.comよりキャプチャー。
ローダー氏は、フェンスの上と裏庭へと向かう家族の間にリアルな存在を確認したという。画像:foxnews.comよりキャプチャー。

フェンスの上の影はリアルな存在か?

 リアルな存在が影のように見えるのは、物体を不可視にするクローキング装置で、人やカメラからは見えないように存在を隠しているからではないかと、ローダー氏はケーブルテレビNewsNationで説明している。

「フェンスの上にあるものはリアルな存在だ。フェンスの隙間からは、スクリーンの右から左へと脚が動いているのがはっきりと見える。それはフェンスの向こう側にいる。フェンスの上にあるものは単に宙に浮いている頭部ではない。それは体にくっついていると思う。頭部は右から左へと動いているが、それはフェンスの隙間から見える影の動きと一致している。そこには間違いなく何かが存在している」

「ノーマルな影の不透明度が100%であるのに対し、影の不透明度は33%しかない。存在を隠すクローキング装置を使って、そこにいる人々やカメラが、影の中のピクセルを確認できないようにしているのではないか」

影は光源が生み出したものか?

 しかし、ローダー氏の分析に対しては異論を唱える声もある。元連邦捜査官で、Discovery+ の「UFO Witness」の司会者ベン・ハンセン氏は影について「動画の中には、2つか3つの光源があるので(ケンモア家の人々が懐中電灯を持っていた)、たくさんの影が生じ得る。それに、フェンスの横を通り過ぎた男性が影があると指摘されている右の方を見ていない。また3フィート離れているところに影の存在があったとしたら、みな怖がるだろう」と影がリアルな存在とはいえない理由をあげている。

 これに対してローダー氏は「影がフェンスの上に浮かんでいるのはおかしい。光源で生じた影だというなら、それを再現してくれれば検討したい」と反論。また、「専門家の査読にかけるつもりだ。私のように動画分析を行っている専門家の見解を聞き、もし私が間違っていたら間違いを認めるつもりだ」とも話しており、「問題は、彼らが何者でどこから来て、何を望んでいるのかということだ」とそのリアルな存在を解明する必要性を訴えている。

感覚が超鋭敏になっていたのか?

 また、ケンモア一家は裏庭で目撃したものを怖がって、家へと逃げ帰っていたが、それについて前述のハンセン氏は「目撃に至るまで、彼らは光が裏庭に落ちるのを見たりノイズを聞いたりしたと話している。そのため、アドレナリンが出ていて、視覚や聴覚が超鋭敏になっていたのではないか」と指摘している。つまり、ケンモア一家が目撃したというエイリアンはリアルな存在ではなく、彼らの感覚が超鋭敏になっていたために、何かがエイリアンに見えたのではないかというのである。

 ケンモア一家が目撃し、ローダー氏が分析したリアルな存在とは何だったのか?エイリアン目撃の真偽はこれからも折に触れて議論の対象になりそうだ。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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