海上自衛隊、もがみ型護衛艦に水中無人機「OZZ-5」配備 #FFM
海上自衛隊は、もがみ型護衛艦への機雷探知用の水中無人機「OZZ-5」の配備を開始した。シンガポールで5月6~8日に開かれた国際海洋防衛装備展示会「IMDEX Asia 2023」に参加するため、もがみ型2番艦「くまの」が同国のチャンギ海軍基地に停泊していた際、同艦担当者が英軍事週刊誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー記者にこれを認めた。
OZZ-5は、三菱重工業が製造する自律型の無人水中航走体(UUV)で、既に就役したもがみ型1番艦もがみ、2番艦くまの、3番艦のしろ、4番艦みくまに今年3月から配備が開始されたという。OZZ-5はクレーンで海面に降ろされたり、揚収されたりし、装備状態が運用可能であることを示す黄色のカラーリングがされている。
くまの担当者は、運用中のOZZ-5の写真を現段階で公開しないよう求めた。
OZZ-5は、海上自衛隊からの要求に応えて三菱重工業が開発した機雷対策(MCM)用のUUVだ。防衛装備庁は2013年度から2017年度まで、「OZZ-X」という事業名の下、自律的に障害物などを回避しながら水中の情報を収集し、従来よりも探知が困難な機雷や海底下に埋没した機雷を探知するUUVを開発した。この事業成果として、OZZ-5が装備化され、もがみ型護衛艦に搭載された。
最新情報によると、OZZ-5は全長4メートル、幅0.5メートルで、重さは200キロ。最高速度は5ノット(時速9.26キロメートル)で、充電式リチウムイオン電池によって9時間の耐久性がある。
OZZ-5には、ステルス機雷など探知しにくい機雷を自動探知する仏タレス社製の高周波合成開口ソーナー(HF-SAS)「SAMDIS」と、海底に埋没した機雷を探知するNEC製の低周波合成開口ソーナー(LF-SAS)とが搭載されている。フランスはHF-SAS、日本はLF-SASにそれぞれ技術的な強みを持っている。機雷探知ソーナーの他に、OZZ-5には慣性航法システム(INS)、Wi-Fi、衛星通信システムも装備されている。
ロシアの侵略で始まったウクライナ戦争でも、両国が黒海に数百もの機雷を配備したとみられている。機雷の配備は比較的安価であり、中国や北朝鮮などの国々は、日米などと紛争が発生した場合に接近阻止・領域拒否(A2/AD)能力として使用できるよう、大量に備蓄していると考えられている。海上自衛隊は紛争が発生した場合、OZZ-5のような無人機で機雷を除去でき、シーレーン(海上交通路)をより効率的に確保できる。
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