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ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡でプロキシマbにある文明を検出可能

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。

今回は「JWSTでプロキシマbの文明を発見できるかも」というテーマで動画をお送りしていきます。

●プロキシマb

プロキシマb、またはプロキシマ・ケンタウリbは、太陽系から4.24光年離れた所にある、太陽系から最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリの周囲を公転する惑星です。

Credit:ESO/M. Kornmesser/G. Coleman
Credit:ESO/M. Kornmesser/G. Coleman

プロキシマbは最も近い系外惑星としても有名ですが、それだけでなく生命が存在している可能性があることでも非常に有名な惑星です。

まずプロキシマbは、主星のプロキシマケンタウリから受けるエネルギーが適量で、液体の水が存在できる可能性がある領域である「ハビタブルゾーン」の中に位置しています。

そしてプロキシマbの物理的特徴は、質量が地球の約1.6倍、半径が1.3倍と、非常に地球と性質が近い岩石惑星である可能性が十分にあると考えられています。

このようにプロキシマbは地球と性質が近い部分もある惑星であり、そこでは生命が存在している可能性があると囁かれています。

ただし主星であるプロキシマ・ケンタウリが太陽と性質が大きく異なる恒星であるため、プロキシマbには地球との相違点も存在しています。

Credit:NASA's Scientific Visualization Studio
Credit:NASA's Scientific Visualization Studio

プロキシマ・ケンタウリは太陽の12%程度の質量しか持っておらず、恒星の中で最もエネルギーが低い部類の「赤色矮星」に分類されます。

そのため同じハビタブルゾーン内にあるといっても、プロキシマbの主星からの距離は地球と太陽の距離のわずか20分の1しか離れていません!

公転周期も11.2日と地球の1年と比べて非常に短いです。

そして主星のプロキシマケンタウリは、普段は低エネルギーであるものの、時折太陽程度の恒星が放つフレア以上に強いフレアを放つこともある、「閃光星」に分類される恒星であると考えられています。

つまりプロキシマbは主星から超至近距離で強力なフレアを食らうことになるので、このことが地球のような生命が存在しにくくさせているかもしれません。

さらにプロキシマbは主星から非常に近いため強い潮汐力を受け、地球と月のように常に一方の面を主星に向けて続ける「潮汐ロック」という現象が起きていると考えられています。

つまりプロキシマbでは昼の面は永遠に昼、夜の面は永遠に夜になっているわけです。

このことからプロキシマb内の地域ごとの温度差が地球と比べて非常に大きくなっていると考えられるため、このことも生命にとってはハンデとなるかもしれません。

このように地球とは異なる環境を持っているものの、地球から距離が非常に近い点、惑星自体の性質が地球と似ている点など類似点も多いことから、プロキシマbは地球外生命探査の最有力候補地点ともなっています。

●プロキシマ系から電波を観測!?

そんな常にホットな話題を持つプロキシマ系関連で、2020年12月には興味深いニュースが飛び込んできました。

どうやらプロキシマ系から来る奇妙な電波を検出し、それは地球外文明が放った電波である可能性もあるんだそうです。

話題の電波は「BLC-1」と命名され、ブレイクスルー・リッスンという、地球から近くにある100万もの星々を10年にわたって観測し、宇宙人の存在を確かめることを目的としたプロジェクトが、2019年に観測したそうです。

もちろん単にプロキシマ系から電波が観測されたからと言ってそれが地球外生命によるものだと結論付けるのは早計過ぎます。

プロキシマケンタウリの方向から来ただけで、実際は遥か遠方の宇宙からやってきた電波かもしれません。

ですが一方で、BLC-1には、簡単にプロキシマケンタウリに存在する文明によるものではないと結論付けるのも早計であると思わせる2つの奇妙な特徴があるんです。

まず一つ目は、電波の波長に短くなったり長くなったりする変化がみられる点です。

これは電波の発生源が地球から見て近付いたり遠ざかったりしていることでドップラー効果が発生していると考えさせられます。

このことから、電波の発生源は恒星の周囲を公転する惑星なのではないかと考えられます。

さらに生命が存在する可能性のあるプロキシマbの公転によるドップラー効果とも一致するため、プロキシマbが発生源の可能性も十分あります。

そして二つ目は、電波の周波数が982MHz付近の非常に短い範囲に限定されている点です。

自然界に存在する電波の発生源であるクェーサーやパルサーなどといった天体は、放出する電波の周波数の範囲が非常に広い特徴があります。

一方で人工的に生成された電波は周波数の範囲が限定的であることが多いため、今回検出されたBLC-1はそういった意味でも文明の存在と結びつく観測結果であるとされます。

●JWSTでプロキシマbの文明を検出可能?

このようにプロキシマbに文明が存在する可能性が0と言い切れない以上、惑星を直接観測し、文明の存在を明らかにする価値があります。

惑星に文明が存在するかどうかは、惑星の夜側から放たれる光を検出するのが有効そうです。

文明がない惑星なら夜側は真っ暗ですが、文明があれば地球のように夜側の面からも光が放たれていると予想できます。

ただし現時点での技術では、プロキシマbの夜面で放たれている可能性のある、文明による微弱な光を検出するのは極めて難しいでしょう。

そこで去年2021年5月に結果が発表された研究では、ハッブル宇宙望遠鏡の後継機ともいわれる次世代望遠鏡「ジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」により、プロキシマbの文明を検出できる可能性が考察されました。

なおこの研究では、プロキシマbに文明が存在する場合、その文明はLEDのように、光のスペクトルが自然光とははっきりと異なる人工的な光を使っており、文明の光を自然光と区別できるという仮定の上で考察が行われています。

Credit: Rafael Luis Méndez Peña/Sciworthy.com
Credit: Rafael Luis Méndez Peña/Sciworthy.com

その結果、プロキシマbの昼面で反射される恒星からの自然光の5%程度の明るさで夜面から人工光が放たれていた場合、JWSTは85%の確率で文明の存在を検出できるという結果が得られたそうです。

5%と聞くと案外なんとかなりそうな雰囲気がありますが、昼面の5%というのは極めて明るく、私たちの地球文明による光のさらに500倍の強さの光を放っている必要があるとのことです。

非常に厳しい条件ですが、プロキシマbに文明が存在していた場合、私たちの地球文明と比べて、惑星の夜面を強力な光で照らす技術が特に発展している可能性があります。

なぜなら先述の通り、プロキシマbは主星からの強力な重力で潮汐ロックされており、夜面は常に夜面であり続けると考えられるからです。

Credit:Science Photo Library
Credit:Science Photo Library

そのような真っ暗な世界で住み続ける場合、照明のインフラを整えるための技術が非常に発展しているかもしれません。

惑星を公転する巨大な鏡により、主星からの光を反射して夜面に届けている可能性も指摘されています。

そもそもプロキシマbに文明が存在する可能性が低いと言わざるを得ないことに加え、その文明が極めて明るい光を放っている必要もあるということで、JWSTでプロキシマbの文明を発見できる可能性は極めて低いでしょう。

とはいえそのような確率が少しでもあるだけでも、本当にロマンがあると思います。

JWSTは今年夏から本格的な観測を開始するとのことなので、新たな情報がたくさん得られるのが今から楽しみです。

https://arxiv.org/abs/2105.08081
https://www.universetoday.com/151382/what-would-it-take-to-see-artificial-lights-at-proxima-centauri-b/
https://www.iac.es/en/outreach/news/ideas-future-nasa-missions-searching-extraterrestrial-civilizations
サムネイルCredit: Rafael Luis Méndez Peña/Sciworthy.com

「宇宙ヤバイch」というYouTubeチャンネルで、宇宙分野の最新ニュースや雑学などを発信しているYouTuberです。好きな天体は海王星です。

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