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有名ラーメン店がYouTuberの来店を禁止! 飲食店での動画撮影は何が問題か?

東龍グルメジャーナリスト
(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

インターネットからグルメ情報を取得

インターネットでグルメ情報を取得することが一般的となりました。

雑誌を刊行するメディアのウェブサイトの記事や、食べログやRettyといったレストランガイドサイトからはもちろん、TwitterやInstagramといったSNSからも、新しい飲食店や食のトレンドを知ることが多いかと思います。

YouTubeもグルメ情報を得られる大きなソースとなりましたが、先日京都のあるラーメン店がYouTuberの来店禁止を公言しました。

全国から客が訪れる名店であり、最近ではYouTuberが訪問することも多いといいます。店主によると、許可なくスタッフや他の客を写し、動画をYouTubeにアップロードしているというのです。

そこで、スタッフと客を守るために、YouTuberの来店を禁止したといいます。ちなみに、ラーメンを撮影することは問題ないということです。

今回の件を通して、YouTuberによる飲食店の動画撮影を考えていきましょう。

写り込み

今回、店主が最も気にしているのは、スタッフや客が勝手に写ってしまい、動画として公開されることでした。

テレビや記事の撮影で、内観の様子を撮影することがあります。そういった場合には写る可能性がある客に対して、どのような企画であるかを説明し、写ってもよいかどうかを尋ねるものです。動画か写真かを問わず、メディアが飲食店を撮影するときの基本であるといえるでしょう。

スタッフについては少し事情が異なります。飲食店から取材や撮影の許可をもらい、協力してもらえた時には、撮影時にスタッフが写り込んでも問題ないことがほとんどです。

件のYouTuberは、許可なくスタッフも客も写り込んだ撮影を行っていたので、問題があったといわれても仕方ないでしょう。

撮影時間

スマホで写真を撮影することはもちろん、動画を撮影することも一般的となりました。至るところで、気軽に撮影が行われるようになったといえます。

飲食店でプライベート用に動画を撮影することも多くなりましたが、数分にわたって撮影し続けるのはかなり稀なこと。プライベートでは、ポイントになるところだけをコンパクトに撮影し、記録に残すことが一般的だと思います。

それに比べると、YouTuberは動画を撮影する時間も長いでしょう、入店前から動画撮影を開始し、退店するまでの全てを記録することもあります。そのまま動画を投稿するのではなく、編集すると思いますが、ずっと撮影していることには違いありません。

飲食店の中にはプレゼンテーションやオペレーションなどのノウハウが詰まっているだけに、店内の様子をずっと撮影されるのは快く思わないものです。

声による実況

YouTubeの動画には普通、映像だけではなく音声も入ります。YouTuber自身がナビゲーターとなり、飲食店の特徴や料理の感想を述べたり、様子を実況したりするものです。

声が拾えなくてはならないので、ある程度大きな声で話さなければなりません。飲食店の中で動画を撮影しながら、一人でずっと話し続けているのは、店内の雰囲気を壊してしまうことでしょう。

ただ動画を撮影するといっても、声も必要になるので問題につながりやすいです。

飲食店と信頼関係を築く

多くの飲食店にとっては、紹介してもらえるのは基本的に嬉しいことです。ただ、どのように紹介されるか、どのように取材、撮影されるかによっては、紹介が嬉しくないこともあります。

飲食店を紹介するのであれば、飲食店をリスペクトすると共に配慮も必要となるでしょう。取材や撮影では、飲食店に迷惑をかけないことは大前提。そしてそれは、飲食店が大切にしている客やスタッフに迷惑をかけないことでもあります。

YouTubeは非常に大きなメディアであり、YouTuberという職業も確立されています。YouTubeで飲食店が紹介され、飲食業界が盛り上がっていくことには賛成です。YouTuberが飲食店に敬意を払って、配慮した取材や撮影を行い、飲食業界と信頼関係を築いていくことを期待しています。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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