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従来の防犯対策だけでは、組織的強盗の犯行は防げなくなっている もう一つの視点 #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:イメージマート)

防犯フィルム、センサーライト、防犯カメラの設置の対策は、強盗などから狙われない家となるためには大事なものです。しかし組織的犯罪グループによる強盗が多発する状況では、それだけでは充分な対策とはいえなくなってきています。もう一つの視点が必要になってきています。

9月~10月にかけて、一般民家を複数の男らが押し入る事件が起きました。実行犯らは闇バイトの募集によって集まった者たちで、組織の指示役によって強盗をしました。ゆえに防犯カメラあろうとなかろうと指示されたままに押し入ってきます。

ココがポイント

東京都国分寺市で9月30日に起きた事件で強盗被害(中略)粘着テープで口を塞がれ、後ろ手に縛られた女性
出典:読売新聞 2024/10/03(木)

4都県で起きた7件の強盗事件について関連があるとみて調べている(中略)高齢者宅や質店などに凶器を持った複数の男が押し入り
出典:時事通信 2024/10/14(月)

強盗事件で公開手配されていた森田梨公哉容疑者(中略)指名手配中にもかかわらず、特殊詐欺に手を染めていたとみられる
出典:FNNプライムオンライン 2024/10/8(火)

警察当局はリフォーム業者の間で顧客の資産などの情報が共有され、強盗に入る対象のリストアップに悪用された可能性もある
出典:毎日新聞 2024/10/7(月)

エキスパートの補足・見解

実行犯らはイヤホンをつけ凶器を持ち、上の人物に指示された通りの所から侵入します。しかも抵抗されないような高齢者宅を狙う卑劣さです。狙われた時点で防ぎようがないといえます。

「ルフィ」を名乗る集団もそうでしたが、特殊詐欺をしていたグループが強盗を始めるケースがあります。つまり組織的強盗グループは特殊詐欺の延長上にあり、その手口を知った上での対策を行わなければなりません。

今回の被害女性は過去にリフォーム被害に遭っており、名簿を元に狙われた可能性があります。しかし名簿には多くの人の情報が載っています。なぜ女性が狙われたのでしょうか。それは個人情報がアップデートされたからに他なりません。

詐欺では下調べの電話をかけて個人情報を把握し、その人に合わせた騙しのストーリーを考えます。同様に今回の強盗でも相手の資産の状況や家の間取りも把握されて、強盗実行の絵図を描かれたと考えられます。

多くの人の名簿は漏れており、いかに最新の情報を付加されないかが大事です。「不審な電話は取らない」「突然の訪問業者を家に入れない」の詐欺対策も重要です。そこに侵入されない防犯対策も施すことで狙われにくい家になることができます。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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