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2010年代の高校野球番付・春夏総合編。横綱はむろんあのチームとして、大関は?

楊順行スポーツライター
大会取材時は、球場周辺の撮影は禁止。3月、私的に出向いた甲子園で(撮影/筆者)

 この欄では、4月に『2010年代の高校野球番付をつくってみた。横綱は……[センバツ編]』https://news.yahoo.co.jp/byline/yonobuyuki/20200412-00172735/、5月10日に[選手権編]https://news.yahoo.co.jp/byline/yonobuyuki/20200510-00177715/と題し、各都道府県や主だったチームの2010年代の甲子園勝ち星ランキングを調べた。となるとやはり春夏合計、つまり選抜高校野球と全国高校野球選手権をトータルしたランキングが見たくなる。また、番付と題したわりにはランキングを紹介しただけだったから、ここでは47都道府県はともかく、チームを東西横綱から格付けしていこう。

 まずは、都道府県の勝ち星ランキングから。数字は春夏合計の勝敗、()内の数字はセンバツ、夏の勝敗の順で、コンマが前にある数字は引き分け、[]数字は優勝回数を示している。

大阪65勝のうち63勝はあの両チーム

1  大 阪 65勝17敗(33-10[3]/32-7[4])

2  東 京 49勝35敗(16-16/33-19[1])

3  神奈川 29勝18敗(10-8[1]/19-10[1])

4  埼 玉 27勝17敗(11-7[1]/16-10[1])

  青 森 27勝17敗(8-7/19-10)

6  群 馬 26勝18敗2分け(10-9.2/16-9[1])   

  兵 庫 26勝21敗(11-11/15-10)

8  栃 木 25勝15敗(8-6/17-9[1])

  福 井 25勝18敗1分け(14-8.1[1]/11-10)

10 沖 縄 22勝14敗(7-5[1]/15-9[1])

11 千 葉 21勝17敗(7-6/14-11)

  奈 良 21勝21敗(11-11[1]/10-10)

  高 知 21勝21敗(6-11/15-10)      

14 宮 城 20勝16敗(3-6/17-10)

  愛 知 20勝18敗(13-7[1]/7-11)

  熊 本 20勝19敗(9-9/11-10)

17 京 都 19勝22敗(13-12[1]/6-10)

  北海道 19勝33敗(13-13/6-20)

19 石 川 18勝14敗(5-4/13-10)

  岩 手 18勝18敗(7-8/11-10)

  和歌山 18勝20敗(12-10/6-10)

22 広 島 17勝18敗1分け(6-8.1/11-10)

  福 岡 17勝18敗(11-7/6-11)

24 福 島 16勝14敗(4-4/12-10)

  滋 賀 16勝17敗(7-7/9-10)

26 岐 阜 15勝15敗(8-5/7-10)

  三 重 15勝17敗(5-7/10-10)

28 鹿児島 14勝17敗(6-7/8-10)

29 徳 島 13勝16敗(5-6/8-10)

  愛 媛 13勝18敗(6-8/7-10)

31 秋 田 11勝14敗(1-4/10-10)

  茨 城 11勝16敗(4-6/7-10)

33 富 山 10勝13敗(0-3/10-10)

   静 岡 10勝15敗(7-5/3-10)

   宮 崎 10勝16敗(1-6/9-10)

36 山 形 9勝13敗(1-3/8-10)

  山 梨 9勝13敗(1-3/8-10)

  新 潟 9勝13敗(1-3/8-10)

  長 崎 9勝14敗(5-5/4-10)

  山 口 9勝17敗(2-7/7-10)

41 香 川 8勝16敗(5-6/3-10)

  岡 山 8勝19敗(1-9/7-10)

43 大 分 7勝13敗(4-3/3-10)

44 佐 賀 4勝11敗(0-1/4-10)

  長 野 4勝13敗(0-3/4-10)

46 鳥 取 2勝13敗(0-3/2-10)                  

  島 根 2勝13敗(0-3/2-10)

 念のため付け加えれば、東京と北海道の試合数が多いのは、記念大会以外の通常の夏も南北、東西の2代表が出場するため。こうしてながめてみると、大阪は別としても、優勝または準優勝のある県が上位にくることがわかる。埼玉、群馬、栃木の関東勢は、歴代通算勝利数では中位クラスだが、10年代には埼玉なら浦和学院と花咲徳栄、群馬は前橋育英、栃木は作新学院が優勝で荒稼ぎし、さらに常連として着実に勝ち星を積み重ねた。敦賀気比がセンバツで優勝した福井、10年に興南が春夏連覇した沖縄もそう。青森が4位に躍進したのは、なんといっても11〜12年にかけて、八戸学院光星が3季連続準優勝したのが大きい。

 チーム別に集計すると、東の横綱は文句なくあのチーム。そう、大阪桐蔭である。若い人からは「大阪のチームなのに、"東の"横綱はおかしくないか?」などと指摘されそうだが、相撲の番付上では東の正横綱が格付け1位なのですよ、念のため。

1980年代のPLとではどちらが強い?

 【東】          【西】

大 阪 桐 蔭   横 綱   履 正 社

42勝6敗[6]         21勝8敗[1]

八戸学院光星  大 関   東海大相模

24勝12敗          18勝5敗[2]

敦 賀 気 比         作 新 学 院       

19勝9敗[1]         19勝10敗[1]

日 大 三   関 脇   仙 台 育 英 

18勝8敗[1]         19勝10敗

聖 光 学 院   小 結   明 徳 義 塾

16勝10敗          16勝14敗

興   南   前頭一   浦 和 学 院

14勝3敗[2]         14勝6敗[1] 

龍谷大平安   前頭二   花 咲 徳 栄 

13勝7敗[1]         12勝8敗[1] 

智 弁 学 園   前頭三   智弁和歌山 

12勝8敗[1]         14勝12敗  

健 大 高 崎   前頭四   関 東 第 一 

13勝6敗1分         13勝7敗  

報 徳 学 園   前頭五   済   美 

11勝4敗           11勝4敗  

前 橋 育 英   前頭六   秀 岳 館

10勝6敗[1]         10勝4敗 

星   稜    前頭七    三   重

10勝5敗          10勝6敗  

盛 岡 大 付   前頭八   鳴   門 

10勝8敗          10勝10敗

 以上26校が、10年代に甲子園で10勝以上を挙げているチームだ。それにしても、大阪桐蔭のものすごさ。大舞台にコマを進めれば、半分の確率で優勝しているのだ。1回の出場あたり3.5勝する計算で、勝率にして9割近く。かりに4勝1敗で準優勝したとしても、勝率は下がるのだ。もっとも大阪桐蔭、過去8回進出した決勝では負けなし、つまり準優勝は一度もないのだけどね。よくその強さが比較される1980年代のPL学園は、10年間で甲子園に10回出場し、44勝4敗で優勝6回、準優勝2回。KK時代のキャプテンだった松山秀明からは、「年間甲子園10勝が目標だった」と聞いたことがある。

 10年代の大阪桐蔭、さすがに最強PLには及ばないとしても、履正社というライバルのいる激戦区・大阪からは、甲子園に出場することすら難易度が高いのだ。やはり、高校野球史上最強チームに数えてもいいだろう。そして西の横綱には、勝利数では八戸学院光星に譲るものの、「大阪桐蔭に並ぶ、いまの高校野球のトップ・オブ・トップ」(仙台育英・須江航監督)と評価が高い履正社を据えた。17年センバツ、大阪桐蔭と履正社の決勝対決は、さながら千秋楽の横綱対決みたいだったしね。あとは、優勝2回と勝率の高さで東海大相模を大関に置き、ほかはほぼ勝数順に並べてみた。さまざま異論はあろうが、この番付、いかがでしょうか?

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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