2010年代の高校野球番付をつくってみた。横綱は……[センバツ編]
4月も第3週。ふつうなら、センバツ関係の原稿を書き終わってちょっと一服し、自分なりのデータベースに試合結果を入力しているころである。繁雑な作業なのだが、大会をおさらいするには適度な頭の刺激で、その必要がないのは物足りなく、やるせない。
で、思いついた。平成最後のセンバツだった昨年は、西暦でいえば2019年と10年代の区切りにあたる。その10年で、高校野球の番付をつくるとしたら、果たして横綱はどこの都道府県、どのチームになるのか。第82回から91回、選抜高校野球10大会の成績をまとめてみると、まず、都道府県の順位はこうなる。
やっぱり横綱は大阪だ
1 大阪 33勝10敗 優勝3 準優勝2
2 東京 16勝16敗 準優勝1
3 福井 14勝8敗1分 優勝1
4 愛知 13勝7敗 優勝1
京都 13勝12敗 優勝1
北海道 13勝13敗 準優勝1
7 和歌山 12勝10敗 準優勝1
8 埼玉 11勝7敗1分 優勝1
福岡 11勝7敗 準優勝1
奈良 11勝11敗 優勝1
兵庫 11勝11敗
12 神奈川 10勝8敗 優勝1
群馬 10勝9敗2分
大阪がダントツの33勝というのは、高校野球ファンならあらかた予想がついたことだろう。10勝に到達しているのはこの13都道府県のみで、1大会平均で1勝以上をあげるのはなかなか困難ということだ。そもそも、10年間でセンバツの勝ち星のない県が5(長野、富山、鳥取、島根、佐賀)あり、とくに佐賀は出場さえ18年の伊万里の1回こっきり、しかも21世紀枠。ほかにも秋田、山形、山梨、新潟、岡山、宮崎が10年間でわずか1勝どまり。枠数との兼ね合いで、出場校自体が少ないせいもあるけれど、ことに寒冷地の成績がふるわない。
また勝ち星を稼ぐには5勝、あるいは4勝を上積みする優勝、準優勝が手っ取り早いが、それがなくても二ケタ勝利しているのが兵庫と群馬。とくに群馬では、健大高崎が12年の初出場から7勝しているのが目立つ。ほかに勝率が5割以上なのは青森、栃木、千葉、静岡、岐阜、石川、滋賀、長崎、熊本、大分、沖縄。ちなみに青森は、8勝すべてを八戸学院光星があげている。
では、チーム別に見たらどうなるか。
1 大阪桐蔭 21勝4敗 優勝3
2 敦賀気比 12勝4敗 優勝1
履正社 12勝6敗 準優勝2
4 浦和学院 10勝3敗 優勝1
龍谷大平安 10勝4敗 優勝1
6 智弁学園 9勝4敗 優勝1
智弁和歌山 9勝5敗 準優勝1
8 東海大相模 8勝2敗 優勝1
日大三 8勝4敗 準優勝1
八戸学院光星 8勝6敗 準優勝1
11 健大高崎 7勝3敗
12 東邦 6勝2敗 優勝1
秀岳館 6勝2敗
10年間で6勝以上はこの13校だけで、5勝で続くのは三重、報徳学園、高松商、興南。興南はこの10年、出場したのが春夏連覇した10年の82回大会のみだから、5勝0敗で勝率は10割だ。
それにしても……大阪桐蔭と履正社の強さである。直近10回、大阪からセンバツに出場したのは両校のみだが、その分勝率は高くなんと.767だ。17年のセンバツでは、史上初めて大阪勢同士の決勝が実現しており、2年に1回の確率で大阪勢が決勝に進出する計算になる。恐るべし。その前、2000〜09年の10大会でも、大阪はそこそこ強かったけれど、通算で15勝16敗。優勝どころか、センバツではベスト4が最高だったから、10年代の急激な充実ぶりには驚く。
15年に北陸勢初優勝を遂げた敦賀気比(福井)の2位は大健闘で、13年に4勝して4強というのも効いている。以下、各都道府県の10年代センバツ通算成績と、おもなチームの勝敗をあげてみた(既出除く)。
5割以上は25都道府県
北海道 13勝13敗 東海大四(準優勝1・現東海大札幌)4勝1敗
青森 8勝7敗 八戸学院光星8勝6敗
岩手 7勝8敗 盛岡大付4勝4敗
秋田 1勝4敗
山形 1勝3敗
宮城 3勝6敗 仙台育英3勝3敗
福島 4勝4敗 聖光学院4勝3敗
茨城 4勝6敗 明秀日立2勝1敗
栃木 8勝6敗 佐野日大3勝1敗
群馬 10勝9敗2分
埼玉 11勝7敗1分
千葉 7勝6敗 習志野4勝1敗(準優勝1)
東京 16勝16敗
神奈川 10勝8敗
山梨 1勝3敗
新潟 1勝3敗
長野 3敗
静岡 7勝5敗 静岡4勝3敗
愛知 13勝7敗
岐阜 8勝5敗 大垣日大、県岐阜商4勝2敗
三重 5勝7敗 三重5勝4敗
富山 3敗
石川 5勝4敗 星稜3勝2敗
福井 14勝8敗1分
滋賀 7勝7敗1分 滋賀学園3勝2敗1分
京都 13勝12敗
大阪 33勝10敗
兵庫 11勝11敗 報徳学園5勝2敗
奈良 11勝11敗
和歌山 12勝10敗
岡山 1勝9敗
広島 6勝8敗1分 広陵4勝3敗
鳥取 3敗
島根 3敗
山口 2勝7敗
香川 5勝6敗 高松商5勝2敗(準優勝1)
徳島 5勝6敗 鳴門3勝2敗
愛媛 6勝8敗 済美4勝1敗(準優勝1)
高知 6勝11敗 高知3勝3敗
福岡 11勝7敗 九州国際大付4勝1敗(準優勝1)
佐賀 1敗
長崎 5勝5敗 海星2勝1敗
熊本 9勝9敗
大分 4勝3敗 明豊3勝1敗
宮崎 1勝6敗
鹿児島 6勝7敗 鹿児島実3勝2敗
沖縄 7勝5敗 興南5勝(優勝1)
いかがでしたか。これが好評なら、いつか夏の甲子園編もお届けします。