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2010年代の高校野球番付をつくってみた。横綱は……[センバツ編]

楊順行スポーツライター
新型コロナウイルスの感染拡大で史上初めて中止となったセンバツだが……(写真:アフロ)

 4月も第3週。ふつうなら、センバツ関係の原稿を書き終わってちょっと一服し、自分なりのデータベースに試合結果を入力しているころである。繁雑な作業なのだが、大会をおさらいするには適度な頭の刺激で、その必要がないのは物足りなく、やるせない。

 で、思いついた。平成最後のセンバツだった昨年は、西暦でいえば2019年と10年代の区切りにあたる。その10年で、高校野球の番付をつくるとしたら、果たして横綱はどこの都道府県、どのチームになるのか。第82回から91回、選抜高校野球10大会の成績をまとめてみると、まず、都道府県の順位はこうなる。

やっぱり横綱は大阪だ

1 大阪  33勝10敗 優勝3 準優勝2

2 東京  16勝16敗 準優勝1

3 福井  14勝8敗1分 優勝1

4 愛知  13勝7敗 優勝1

  京都  13勝12敗 優勝1

  北海道 13勝13敗 準優勝1

7 和歌山 12勝10敗 準優勝1

8 埼玉  11勝7敗1分 優勝1

  福岡  11勝7敗 準優勝1

  奈良  11勝11敗 優勝1

  兵庫  11勝11敗

12 神奈川 10勝8敗 優勝1

 群馬  10勝9敗2分

 大阪がダントツの33勝というのは、高校野球ファンならあらかた予想がついたことだろう。10勝に到達しているのはこの13都道府県のみで、1大会平均で1勝以上をあげるのはなかなか困難ということだ。そもそも、10年間でセンバツの勝ち星のない県が5(長野、富山、鳥取、島根、佐賀)あり、とくに佐賀は出場さえ18年の伊万里の1回こっきり、しかも21世紀枠。ほかにも秋田、山形、山梨、新潟、岡山、宮崎が10年間でわずか1勝どまり。枠数との兼ね合いで、出場校自体が少ないせいもあるけれど、ことに寒冷地の成績がふるわない。

 また勝ち星を稼ぐには5勝、あるいは4勝を上積みする優勝、準優勝が手っ取り早いが、それがなくても二ケタ勝利しているのが兵庫と群馬。とくに群馬では、健大高崎が12年の初出場から7勝しているのが目立つ。ほかに勝率が5割以上なのは青森、栃木、千葉、静岡、岐阜、石川、滋賀、長崎、熊本、大分、沖縄。ちなみに青森は、8勝すべてを八戸学院光星があげている。

 では、チーム別に見たらどうなるか。

1 大阪桐蔭 21勝4敗 優勝3

2 敦賀気比 12勝4敗 優勝1

  履正社 12勝6敗 準優勝2 

4 浦和学院 10勝3敗 優勝1

  龍谷大平安 10勝4敗 優勝1

6 智弁学園 9勝4敗 優勝1

  智弁和歌山 9勝5敗 準優勝1

8 東海大相模 8勝2敗 優勝1

  日大三 8勝4敗 準優勝1

  八戸学院光星 8勝6敗 準優勝1

11 健大高崎 7勝3敗

12 東邦    6勝2敗 優勝1

 秀岳館 6勝2敗

 10年間で6勝以上はこの13校だけで、5勝で続くのは三重、報徳学園、高松商、興南。興南はこの10年、出場したのが春夏連覇した10年の82回大会のみだから、5勝0敗で勝率は10割だ。

 それにしても……大阪桐蔭と履正社の強さである。直近10回、大阪からセンバツに出場したのは両校のみだが、その分勝率は高くなんと.767だ。17年のセンバツでは、史上初めて大阪勢同士の決勝が実現しており、2年に1回の確率で大阪勢が決勝に進出する計算になる。恐るべし。その前、2000〜09年の10大会でも、大阪はそこそこ強かったけれど、通算で15勝16敗。優勝どころか、センバツではベスト4が最高だったから、10年代の急激な充実ぶりには驚く。

 15年に北陸勢初優勝を遂げた敦賀気比(福井)の2位は大健闘で、13年に4勝して4強というのも効いている。以下、各都道府県の10年代センバツ通算成績と、おもなチームの勝敗をあげてみた(既出除く)。

5割以上は25都道府県

北海道 13勝13敗 東海大四(準優勝1・現東海大札幌)4勝1敗

青森  8勝7敗 八戸学院光星8勝6敗

岩手  7勝8敗 盛岡大付4勝4敗

秋田  1勝4敗

山形  1勝3敗 

宮城  3勝6敗 仙台育英3勝3敗

福島  4勝4敗 聖光学院4勝3敗

茨城  4勝6敗 明秀日立2勝1敗

栃木  8勝6敗 佐野日大3勝1敗

群馬  10勝9敗2分 

埼玉  11勝7敗1分

千葉  7勝6敗 習志野4勝1敗(準優勝1)

東京  16勝16敗

神奈川 10勝8敗

山梨  1勝3敗 

新潟  1勝3敗 

長野  3敗 

静岡  7勝5敗 静岡4勝3敗

愛知  13勝7敗

岐阜  8勝5敗 大垣日大、県岐阜商4勝2敗

三重  5勝7敗 三重5勝4敗

富山  3敗 

石川  5勝4敗 星稜3勝2敗

福井  14勝8敗1分

滋賀  7勝7敗1分 滋賀学園3勝2敗1分

京都  13勝12敗

大阪  33勝10敗

兵庫  11勝11敗 報徳学園5勝2敗

奈良  11勝11敗

和歌山 12勝10敗 

岡山  1勝9敗 

広島  6勝8敗1分 広陵4勝3敗

鳥取  3敗 

島根  3敗 

山口  2勝7敗 

香川  5勝6敗 高松商5勝2敗(準優勝1)

徳島  5勝6敗 鳴門3勝2敗

愛媛  6勝8敗 済美4勝1敗(準優勝1)

高知  6勝11敗 高知3勝3敗

福岡  11勝7敗 九州国際大付4勝1敗(準優勝1)

佐賀  1敗 

長崎  5勝5敗 海星2勝1敗

熊本  9勝9敗

大分  4勝3敗 明豊3勝1敗

宮崎  1勝6敗

鹿児島 6勝7敗 鹿児島実3勝2敗

沖縄  7勝5敗 興南5勝(優勝1)

 いかがでしたか。これが好評なら、いつか夏の甲子園編もお届けします。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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