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育成出身右腕が復帰登板で「96マイル」!尾形崇斗を奮起させるオスナからの″無言″のメッセージ

田尻耕太郎スポーツライター
復帰マウンドに上がった尾形崇斗

 6月9日、福岡ソフトバンクホークス3軍は四国アイランドリーグplusとの定期交流戦で高知ファイティングドッグスと対戦した。

高知が元阪神ドリスら3投手で完封リレー

【6月9日 交流戦 タマスタ筑後 321人】

高知     `000000102 3

ソフトバンク `000000000 0

<バッテリー>

【高】加藤、ドリス、若松――大川口

【ソ】赤羽、星野、尾形、宮里――加藤晴

高知ファイティングドッグスのドリス。阪神時代の2017年に37セーブでタイトル獲得
高知ファイティングドッグスのドリス。阪神時代の2017年に37セーブでタイトル獲得

<本塁打>

なし

<スタメン>

【高】9海辺 5乗田 7サンフォ 8坂口 3長嶋 D山保 6山本 4古賀 2大川口

【ソ】4藤野 5アルモンテ 8桑原 9大泉 D三代 7佐藤航 6西尾 3佐久間 2加藤晴

<得点経過>

7回表【高】古賀の犠飛で先制(ソ0-1高)

9回表【高】古賀の中前2点適時打(ソ0-3高)

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尾形崇斗「復帰登板なのに去年のマックスのような」

 唸りを上げるストレート。ファーム本拠地のタマスタ筑後では滅多にお目にかかれない剛速球だった。

 右肩のコンディション不良でリハビリ調整が続いている尾形崇斗投手が8回表から3番手で登板。今春のキャンプ紅白戦以来のマウンドでいきなり155キロを計測し、1回1安打無失点で無事に復帰登板を終えた。

 1人目の対戦打者だった1番・海辺は152キロで空振り三振。続く2番・乗田は154キロで遊飛に打ち取った。そして3番・サンフォの初球にはこの日最速の155キロをマークして空振りを奪った。サンフォには中安打を許したが、最後は4番・坂口を142キロのカットボールで打ちとって3つのアウトを奪った。

「久々で疲れました。程よい試合に入っていく高ぶりのようなものがあった。一番速かった96マイル(約155キロ)の直球はよかったです。あれくらいいい要因でボールを離せればもっと行くなと感じました」

 このように投球については独特な表現をする。球速もマイルで表現するのが日常だ。

ピンクのグラブ

 尾形は昨年あたりから「ワールドクラスの投手を目指す」と公言するようになった。その中で「自分の方向性を確実に示してくれる存在」と話すのが、ソフトバンクの守護神であるロベルト・オスナである。昨年途中から一緒にトレーニングを行い、今春のキャンプでも多くの時間を共にした。尾形がピンクのグラブを使用するのも、オスナが同色のものを使用しているからだ。

「離脱している間は特に連絡などは取っていません。連絡がこないのは『早く1軍に帰ってこい』みたいな、逆に無言のメッセージだととらえています」

 育成ドラフトでプロ入りして今季が7年目。1軍実績は乏しいが、昨年はウエスタン・リーグのセーブ王に輝いた。今季の飛躍が期待されていただけにもったいない出遅れとなったが、この1試合だけの登板でもポテンシャルの高さは十分に証明してみせた。

「ほぼ全力で臨みましたが、だけど今日は復帰登板。それでも去年のマックスに近いくらいのピッチングをすることが出来ました」

 今後登板を重ねる中で一体どれほどの投球を見せてくれるのか、楽しみで仕方ない。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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