【朝ドラらんまん】植物学者・牧野富太郎が生まれ育った高知県佐川とは、幕末はどのような場所だったのか?
2023年度前期放送のNHK連続テレビ小説は「らんまん」。主人公は、槙野万太郎で、俳優の神木隆之介さんが演じます。槙野万太郎のモデルが、植物学者として有名な牧野富太郎(1862〜1957)博士です。
富太郎は、幼い頃に父母を亡くし、祖母に養育されます。ちなみに、富太郎が生まれ育ったのは、土佐国(現在の高知県)高岡郡佐川町というところでした。佐川町は、高知城下から「七里」(約28キロメートル)離れた場所にあり、周りは山に囲まれ、川(春日川)が流れているという自然豊かな地域だったようです(牧野富太郎『牧野富太郎自叙伝』講談社、2004年)。
牧野博士が、幼い頃に植物に興味を持ったということが頷けるような環境ですね。佐川町の南は、町。北には田んぼがあったとのこと。人口は5千ほど。武士も住んではいましたが、大部分は町人だったようです(町の外に農家あり)。
商人が様々な商売をしていたわけですが、佐川には清流ありということで、酒屋も数軒ありました。富太郎が生まれた牧野家も酒を造る酒屋でした。よって、牧野家には番頭(商店の使用人の頭)がいました。
番頭は、佐枝竹蔵という男性ですが、牧野家のためによく尽くしていたようです。富太郎の父が亡くなってからは、富太郎の祖母が家の差配をしていましたが、祖母と番頭の佐枝竹蔵がいたから、牧野家は商売を続けることができたと言えましょう(佐枝は後に独立して、酒屋を営みました)。
佐枝がその頃は貴重だった時計を買ってきたことがあり、その時計を幼い富太郎が分解してしまったこともあったようです。
「時計が不思議でその中を見たくてたまらず、時計を解剖」してしまったとのこと(前掲書)。
このようなところにも、後に植物学者になる片鱗が見えているように思います。年少の頃から好奇心旺盛だったのです。