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バスケットボールU18日本代表:酷いスロースタートから巻き返し、レバノンを撃破して準々決勝進出

青木崇Basketball Writer
武器の3Pだけでなく、積極的にゴールへアタックした富永(C)FIBA.com

 グループA1位の座をかけたイラン戦、サイズで不利な日本はリバウンド(29本対53本)で大苦戦。シューターの富永啓生(桜丘高3年)、フォワードの松崎裕樹(福岡第一高3年)の得点が伸びないといったオフェンスの停滞も痛手となり、64対71のスコアで敗れた。

 準々決勝進出をかけたレバノン戦の1Qは、前日の負けを引きずっているかのような10分間を過ごしてしまう。その原因は、フィジカルの部分とサイズで不利なインサイドに加え、アグレッシブなドライブに対してディフェンスが受け身になったこと。「まったく目が覚めていないようだった。レバノンの非常にアグレッシブなペネトレイトと、彼らのファイティング・スピリッツに苦しんだ」とトーステン・ロイブルコーチが振り返ったように、1Q終了時で11点のリードを奪われる。

「自分の立場がスタートではなく、悪い流れを変えるのが役目だと思っているので、だからこそ自分がしっかりやるという気持で臨みました」と言う168cmのポイントガード、河村勇輝(福岡第一高2年)が試合の雰囲気を一変させた。サイズが不利でもスピードで優位に立てる日本は、トラップからのゾーンディフェンスでレバノンのオフェンス遂行力を低下させることに成功する。日本はリバウンドを確保できれば、河村がトランジションから何度もチャンスをクリエイト。富永のレイアップを2度アシストするなど、16-7のチャージで追撃が始まり、1Qでファウルトラブルに陥った中田嵩基(福岡大附大濠高3年)が2Q残り3分30秒に3Pシュートを決めて34対31と逆転に成功すると、日本は3Qで一気に引き離しにかかる。

攻防両面で2Qにおける逆転のきっかけを作った河村 (C)FIBA.com
攻防両面で2Qにおける逆転のきっかけを作った河村 (C)FIBA.com

「自分自身今大会あまり振るわなくて、昨日の負けた試合は何もできなかった」と話した松崎は、昨日の鬱憤を晴らすかのように右ウイングから2本の3Pシュートを決めるなど、21-5という猛攻のきっかけとなって17点をマーク。2Qで積極的にゴールへアタックしていた富永は、「シューターなので、大事なところでしっかり決めなければいけない。(ゾーンに)ちょっと入った感じがありました」と語ったように、3Q終盤から4Q序盤にかけてブザービーターを含む4本の3Pシュートを決めるなど28点の大爆発。河村が11アシストを記録したように、ボールムーブが2Q以降活発になった日本は4Q序盤でリードを21点まで広げると、最後まで2ケタ得点差を維持した。ロイブルコーチは次のように試合を振り返る。

「普段はプレスを早い段階でやらないのだが、我々にとって素晴らしいディフェンスで、何度も勝利を手にしてきた。ハーフタイムで離されすぎないようにするため、早めに使うことにした。松崎の復調はすごく重要だった。昨日は切れ込めるタイプの選手がいない試合になってしまい、彼もなかなかリズムをつかめずにいた。今日はドライブと3Pシュートをミックスし、いいパフォーマンスを見せてカムバックしてくれた。啓生はイラン戦の出来がいまひとつだったのと、ディフェンスを優先するためにベンチスタートにした。彼がどんな反応を見せるかわからなかったけど、ハードにプレーする準備ができていることを示すという素晴らしい答えを出してくれた。本当にすばらしかった」

 

準々決勝は難敵オーストラリアとの対戦だが、2大会連続のU19ワールドカップ出場まであと1勝に迫った日本 (C)Takashi Aoki
準々決勝は難敵オーストラリアとの対戦だが、2大会連続のU19ワールドカップ出場まであと1勝に迫った日本 (C)Takashi Aoki

 生き残りをかけた一戦をモノにした日本は、準々決勝でオーストラリアと対戦する。グループ戦3試合の平均得点が112.3、49点が最少得点差の勝利という圧倒的な強さを見せている相手。リバウンドではイラン戦以上に苦しむかもしれないが、「ペイント内で(オフェンス・リバウンドを)奪われてしまうと自分たちは守りようがないので、セカンド・チャンスを与えるにしてもペイントの外に弾き出す」という松崎の言葉をチーム全体で実践していくしかない。

「A代表がオーストラリアに勝っていますし、そういった部分では自分たち若手も負けられない部分もあるので、しっかりプライドを持ちつつ、格上相手に当たって砕けろというか、みんなで楽しいバスケットをして、頑張れるようにやっていきたいです」と語る河村を筆頭に、チーム全体がビッグ・チャレンジを心待ちにしているし、一発勝負となれば何が起こるかわからない。

「我々はパーフェクトな試合をしなければならない。ちょっと違ったディフェンスをミックスしながら、オーストラリアのリズムを崩すことができればと思っている。タフな相手だけど、不可能ではない。どうなるか楽しみだ」

 ロイブルコーチはこう締めくくって、明日の準備に向けてホテルへ戻っていった。日本のU19ワールドカップ2大会連続出場まであと1勝!

Basketball Writer

群馬県前橋市出身。月刊バスケットボール、HOOPの編集者を務めた後、98年10月からライターとしてアメリカ・ミシガン州を拠点に12年間、NBA、WNBA、NCAA、FIBAワールドカップといった国際大会など様々なバスケットボール・イベントを取材。2011年から地元に戻り、高校生やトップリーグといった国内、NIKE ALL ASIA CAMPといったアジアでの取材機会を増やすなど、幅広く活動している。

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