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シリア・イラク:難民の安全で自発的な帰国に向けて協力を強化することを確認

青山弘之東京外国語大学 教授
(写真:ロイター/アフロ)

シリアの首都ダマスカスを4月1日から訪れているイラクのイーファーン・ファーイク・ジャービルー移民・避難民大臣は2日、首都ダマスカスの外務在外居住者省(カフルスーサ区)を訪れ、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣と会談した。

SANA、2021年4月1日
SANA、2021年4月1日

国営のシリア・アラブ通信(SANA)などが伝えたところによると、ミクダード外務在外居住者大臣は会談で、あらゆる分野で両国間の協力関係を強化することが重要だとしたうえで、イラクで避難生活を余儀なくされているシリア難民の帰国を歓迎し、安全で自発的な帰国を補償する状況を整えるための措置を講じる意思を示した。

その一方で、一部の西側諸国が、難民問題を政治的に利用し、シリアに一方的な制裁を課し、難民の帰還を促そうとしない姿勢を批判した。

これに対して、ジャービルー移民・避難民大臣は、両国政府間、国民間のレベルでの関係が重要だとしたうえで、シリアにいるイラク難民、イラクにいるシリア難民双方の自発的帰国を促すため、シリア政府と協力する用意があると述べた。

両大臣は、難民帰国を促す取り組みを行い、安全で自発的な帰国を阻害する障害を取り除くために連絡を継続することで合意した。

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イラクでは、イラク戦争(2003年)後の混乱、そしてイスラーム国の勢力拡大に伴い、またシリアでは、シリア内戦での戦闘拡大に伴い、多くの人々が難民、国内避難民(IDPs)となっている。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、国外に逃れているシリア難民は2021年3月24日現在で5,601,695人で、うち4.4%を占める243,890人がイラクで暮らしている。

一方、国外に逃れているイラク難民は30万人あまりにのぼり、そのほとんどがシリアに身を寄せている。

東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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