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一年納めの九州場所がスタート 元前頭・栃栄の三保ヶ関親方に見どころを聞く

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
三保ヶ関親方に九州場所の見どころを聞いた(写真:日本相撲協会提供)

一年納めの九州場所が、福岡国際センターで初日を迎えた。横綱・照ノ富士の不在は大きいものの、多くの人が会場に足を運び、ようやくほぼ通常開催に戻ってきた年に一度の風物詩を楽しんでいた。今回は、場所の見どころを九州場所担当の三保ヶ関親方(元前頭・栃栄)に伺った。

九州場所をあらゆる取り組みのスタートにしたい

福岡のにぎわいを肌で感じているという三保ヶ関親方。初日は約5000枚のチケットが売れた。「初日を満員にしようっていうのが、我々先発隊の目標でした。コロナ禍で満員御礼の垂れ幕こそ出せないんですが、キャパの満員には達したのでよかったです」と顔をほころばせる。

「去年に比べたら特に、今年は人が多いですね。本当にありがたいです。今年は外のキッチンカーを開放して、チケットを持っていない人も来られるようにしました。飲食スペースでは相撲中継を流しているので、より多くの人に興味をもってもらえたらと考えています」

今年はポスターのデザインを一般公募。4種類のうち3種類は、公募から選ばれた作品だ。実際に採用されなかったものも、会場にずらりと飾られている。「せっかく作ってもらったから、日の目を見られるようにと思って」と親方は優しく語る。

公募したポスター作品が会場に飾られている(写真:筆者撮影)
公募したポスター作品が会場に飾られている(写真:筆者撮影)

「化粧まわしのフォトスポットは、九州場所が始まりでした。ありがたいことに、境川部長(元小結・両国)がいろんなアイデアに対して『いいね』『やろう』と言ってくださるので、いろんなことを、九州場所からスタートしていきたいなと思っているんです。お客さんに喜んでもらえることは、積極的にやっていきたいですね」

「本来は横綱・大関の優勝が理想」

では、今場所の土俵についてはいかがだろうか。三保ヶ関親方は「やはり正代、平戸海、新十両の對馬洋など、九州出身力士たちに頑張ってもらいたいですね」と話す。親方注目の對馬洋はこの日、同じく新十両の狼雅を破って白星発進。平戸海も、新入幕の熱海富士を圧倒。腰の重い、素晴らしい相撲で館内を沸かせた。大関・正代は残念ながら新三役の翔猿にうまく取られてしまったが、ここからどうにかカド番脱出を図る。

今年は平幕優勝の場所も目立つが「若手の活躍は喜ばしい一方で、本来は横綱・大関が強いことが理想。最終的には大関陣に場所を締めてもらいたいし、若手の勢いに負けないでほしい」と、三保ヶ関親方は貴景勝と正代にエールを送った。

2022年はいまのところ優勝力士がすべて異なっているが、今年最後の場所は誰が賜杯を手にするのだろうか。その行方を見守りたい。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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