【母乳とミルク】長く寝てくれないのは腹持ちのせいではない?乳幼児睡眠の専門家が解説
「母乳だとすぐお腹がすいて起きる」「ミルクだとよく寝てくれる」そんな話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
そうなると母乳育児をされながら夜泣きに苦労している方は「ミルクに変えた方がいいのだろうか?」と思ってしまうかもしれませんね。でもその考え、ちょっと待って!
この記事では『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』著者の乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが、母乳とミルクが夜泣きに与える影響についての見解を解説していきます。
飲むものの影響で夜泣きは変わらない
ミルクと母乳で多少なり腹持ちの違いはあれど、飲むものそのものの影響でそこまで夜泣きの度合いが大幅に変わる…ということはあまりないのではないか?と思います。
私自身は母乳メインにしつつ、足りないのでミルクも足していたのですが、娘はそんなことは関係なく夜中何度も起きていました。
世界の研究を参照しても、ある研究では母乳だとミルクよりも夜中に目が覚める回数が多いという傾向が出ている一方で、別の研究では母乳育児のパパママとミルク育児のパパママではミルク育児のパパママのほうが睡眠時間が1日あたり40〜45分少ないという結果も出ているのです。つまり、ミルクっこのママやパパのほうが寝不足だったということですね。
ここから読み解けるのは、研究の見解は一様ではないということです。ミルク=ママやパパがぐっすり寝られる!というわけにはいかなそうである、ということがわかりますよね。
母乳の子のほうが夜中によく泣く理由
「母乳の子のほうがよく泣く」「ミルクの子のほうがよく寝る」などという意見が聞かれるには別の理由があると考えます。
その別の理由とは、「寝かしつけの癖」です。
ミルク育児のママパパは、夜中に赤ちゃんが泣いた時にまず「3時間経っているか」ということを確認し、経っていなければミルク以外の方法で対応している方が多いのではないでしょうか。
一方で母乳育児のママは、夜中に赤ちゃんが泣いた時にとりあえずさっとおっぱいを差し出す、添い乳をする、などの対応をされている方も少なくないと思います。
ミルクの場合は「3時間あけなくてはいけない」という思いが強いので、3時間空いていない場合は抱っこやトントンなど別の方法で寝かしつけることを試みますが、母乳育児の場合は”泣いたら好きなだけ飲ませていい”などと指導されることもあって、とにかく夜中は母乳で即対応…というケースも多くみられます。
すると、ミルク育児の子にとっては「夜中に起きた時、毎回授乳タイムというわけではない」という学習ができるのですが、すぐに母乳を飲ませてもらえる子にとっては「夜中に目が覚めたら必ず毎回おっぱいを吸いながら寝るものなんだ」という学習をしてしまう可能性が高まるのです。
そうなることで、自分の力で眠りに戻る練習をする機会を失い、必ず毎回おっぱいがもらえるまで泣き続ける…というのが習慣化してしまう可能性があるのです。これが、母乳育児の子のほうが夜泣きが多いと感じられる理由なのではないかと推測しています。
母乳育児でもぐっすり眠ってもらうために
母乳育児の場合でも、できるだけ自分の力で眠りに戻る感覚を身につけてもらうことで、夜泣きの機会を減らしていくことができると思います。
そのためには生後2ヶ月くらいからは、3時間空いてないければ別の理由を考えるクセをつけていくことが大事ではないでしょうか。
飲ませてはいけない、ということでは決してありません。ですが、ママやパパが睡眠時間を確保することを望むのであれば、少しずつ赤ちゃんの眠る力を養っていってあげることも大事なのではないでしょうか。
完母でも夜通し寝られる方法については下記の動画で解説をしておりますので、こちらもあわせてご覧いただければと思います。
乳幼児睡眠コンサルタント ねんねママ
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