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ダレノガレ明美さんの【保護猫】メイちゃんが教えてくれたもっとも大切なこととは?

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
イメージ写真(写真:アフロ)

コロナ禍で家にいる時間が長くなり、会いたい人とも会えないので、ペットに癒やしを求めて飼い始める人が急増しています。それは何も問題ではないのですね。

しかし、最近ではSNSなどを見て軽い気持ちで飼い始め、ペットが思ったより面倒だといって飼育放棄をする人も増えているのです。

若い人は、テレビを見ない日があっても、SNSなら必ず見るという人もいます。インスタなどでは、ペットのかわいくてキラキラしているところだけが切り取られてしまいがちですね。

有名芸能人が、愛犬や愛猫をインスタやYouTubeにアップすると話題になりやすいです。そして、ときにはトラブルになったり、炎上したりもします。

そんなとき、獣医師の視点で、それらのできごとを見れば大切なことはたったひとつということがわかります。

ダレノガレさんは、保護猫に愛情を込めて育てられています。それでも、子猫の拾い主とトラブルになっていました。ダレノガレさんの保護猫・メイちゃんを通して、ペットのもっとも大切なことを見ていきましょう。。

ダレノガレ明美さんの子猫の拾い主とのトラブルとは?

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イメージ写真写真:CavanImages/イメージマート

ダレノガレさんが、2020年11月に、片方の目にダメージを負った子猫のメイちゃんを道端で保護したとインスタに報告しました。メイちゃんを動物病院に連れていき、診察を受けて、3時間おきの食事や目薬などのお世話をして回復している様子もアップしています。

ダレノガレさんの2月のインスタによりますと、メイちゃんの拾い主が「ダレノガレさんが拾ったみたいな返答の仕方だと拾った側に失礼かと」というDMが届いたそうです。

拾い主は「私が道端にいる子猫を見つけて、ダレノガレさんにDMを送ったのに、私のことを何もインスタに書かれていない」と不機嫌になったのでしょう。

拾い主は、子猫を見つけたけれど、自分の家では飼えない。でもこの子を救いたい。やっとのことでダレガノさんにDMを送ることを思いつき試行錯誤したことをもっと評価されるべきだと思っいるのかもしれませんね。

それらが、ダレノガレさんとメイちゃんの拾い主とトラブルになったそうです。

保護されたときの子猫のメイちゃんの症状とは?

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イメージ写真写真:PantherMedia/イメージマート

ダレノガレさんは、保護した当時のメイちゃんの様子をインスタに報告しています。

それを見ながら、獣医師の視点で推測してみましょう。

□ メイちゃんは生後どれぐらいか?

写真で見る限り、生後3カ月前後に見えます。野良猫だったので、きちんとした食事をもらっていないのでもう少し月齢があるかもしれません。ミルクを飲んでいないので、離乳食の時期なのでしょう(ミルクは生後1カ月ぐらいです)。

□ メイちゃんの病名は?

猫風邪が酷くってとダレノガレさんが書いています。

猫風邪とは、ウイルスや細菌が感染することによって、咳や鼻水、目やになど、風邪のような症状をもたらす病気です。

代表的な病名は以下です。

・猫ウイルス性鼻気管炎

猫ヘルペスウイルスが原因です。

・猫カリシウイルス感染症

カリシウイルスが原因です。

これらの病気は、回復して元気になっても、ストレスがかかると免疫力が低下したときに再発することがあります。

□ 保護当時のメイちゃんの状態は?

低体温になっているので、重篤な状態で免疫力が落ちています。猫の平熱は38.5なので、それ以下になっているのです。感染症などでウイルスや細菌が入ってくると体温が上るのが、正常な体の反応ですが、それができないので、危険な状態だったのです。

□ 猫風邪で失明することがあるの?

猫風邪は結膜炎などを引き起こし、涙や目やにが増えてきます。

炎症などで目がしょぼしょぼした状態で、パッチリと目を開けません。また、大量の目やにが乾燥すると、まぶたがくっついて目が開けなくなってしまうこともあります。

それをほうっておくと、角膜潰瘍や角膜混濁して、失明の危険性もあるのです。目を摘出手術する場合もあります。

そうならないためには、目やにを懸命に取って、まぶたがくっつかないようにします。動物病院で治療をしながら、きめ細かな世話が必要です。

獣医師から言える「たったひとつの大切なこと」とは?

写真:Paylessimages/イメージマート

SNSやYouTubeなどで、有名人が写真や動画をアップします。そしてその言葉尻をつかまえて炎上やトラブになることもあります。獣医師としては、「犬や猫たちが元気で幸せなこと」がなにより大切です。

これだけが満たされていれば、飼い主が替わってもそんなことは問題ではないのです。動物行動学や病状などの物差しを持ってペットの様子を見れば、その事実は見えてくるのです。このような知恵を使ってペットのSNSを見れば本当のことがよくわかります。

ダレノガレさんのメイちゃんは、インスタを見る限り、すくすくと育っています。先住猫とも仲良くしていますね。

そして、目を摘出することもなく、成長をして本当によかったです。臨床をしていて、片方の目が失明してしまう子は本当にいるのです。

これは、ひとえに、ダレノガレさんとそのスタッフのみんなさんが、獣医学の知識を持ってしっかりお世話された賜物なのです。インスタで見る限りメイちゃんは、天真爛漫で楽しそうですね。

まとめ

コロナ禍で犬や猫をファッション、アクセサリー感覚で飼う人が多いです。

いざ飼い始めると、しつけをしないとそこここでウンチやオシッコをしたり、静かに暮らしたいのに鳴いたりもします。つまり、SNSなどで見ていたペットたちと現実のペットたちは、大きなかい離があるのです。

そのようなことは、SNSでは描かかれにくい世界なのです。ダレノガレさんのメイちゃんは、素敵な空間で暮らしていますね。ノミだらけだったあの子が、こんなにキュートになってと感慨深いです。その背景を想像すると、ダレノガレさんの保護猫への愛情がわかるのではないでしょうか。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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