4000万ドル以上の契約が残るカノーを外す以外に、メッツの選択肢はなかったのか
開幕から5月1日まで、アクティブ・ロースターの人数は28人だった。5月2日からは、通常の26人に戻った。
この減少に伴い、ニューヨーク・メッツは、リリーフ投手のヨアン・ロペスをAAAへ降格させ、二塁手のロビンソン・カノーをDFAとした。アクティブ・ロースター入りの前提となる、40人ロースターから外した。カノーと違い、ロペスはマイナーリーグ・オプションが残っている。
これまでに、カノーは、335本のホームランと571本の二塁打を打ち、打率.302(8714打数2632安打)と出塁率.352、OPS.842を記録している。昨シーズンの出場はなし。2度目の薬物違反により、162試合の出場停止を科された。今シーズンは、二塁手とDH、代打として12試合に出場し、打率.195(41打数8安打)と出塁率.233。4月15日のシーズン初本塁打以外に長打はなかった。年齢は39歳だ。
2018年のオフに、カノーは、クローザーのエドウィン・ディアズとともに、シアトル・マリナーズからメッツへ移籍した。2013年のオフにマリナーズと交わした10年2億4000万ドル――年俸2400万ドル×10年――の契約は、来シーズンまで。DFAの時点で、残りの金額は4470万3297ドルだ。
メッツは、カノーを解雇し、残る金額を支払うことになるはずだ。7日間のウェーバー公示中に獲得を申し出て、メッツから契約を引き継ぐ球団があるとは思えない。FAになったカノーが他球団と契約した場合も、残りの金額から最低年俸が差し引かれるだけなので、メッツが支払う金額はそう変わらない。ちなみに、4年前のトレードでメッツが得たのは、ディアズとカノーに、分割払いの2000万ドルだ。今オフ、最後の375万ドルがマリナーズからメッツに支払われる。
メッツには、カノー以外の選手を外すという選択肢はなかったのだろうか。
5月1日までのアクティブ・ロースターは、投手と野手が14人ずつだった。そこから、投手を2人減らした場合、ブルペンにいる投手は7人となる。これでは、やや少ない。他の5人は先発投手だ。
14人の野手から、スタメンマスクを分け合う捕手2人と、他の各ポジションで最も多く先発出場している7人を除くと、あとは、トラビス・ジャンコウスキー、ルイス・ギヨーメイ、ドミニク・スミス、J.D.デービス、カノーの5人だ。
ジャンコウスキーは、センターを守ることができる外野手で、スピードもある。しかも、マイナーリーグ・オプションは切れている。ギヨーメイは、遊撃を含む内野を守る。スミスとデービスは、それぞれ、一塁と三塁の控えの一番手だ。カノーは、1万8000イニング以上で二塁を守ってきた。それに対し、一塁、三塁、遊撃の合計は104.2イニングに過ぎず、2019年以降は皆無だ。また、4月の出塁率は、4人とも、カノーより高かった。
メッツの選択肢は、カノーしかなかったように思える。
オーナーのスティーブ・コーエンは、他のどのオーナーよりも裕福だ。フォーブスは、4月に発表した「世界のビリオネア・リスト」で、コーエンを96位としている。ヘッジファンドで築いたその資産は、174億ドルだという。