東京三大どら焼きのひとつ、浅草「亀十」皮専門の職人が焼き上げるふわふわの香ばしい皮と素朴な粒あん
東京は浅草、常に観光客で賑わう街と知られ、その観光拠点のひとつとしてあげられるのが巨大な提灯がぶら下がる雷門。我先にと提灯の前でポーズを取りスマートフォンやカメラを構える人々でごった返す雷門の通りを挟んで目の前には、これまた長蛇の列。
そう、東京三大どら焼きと名高い「亀十」のどら焼きをお目当てに、全国からファンが列をなすのが日常風景。勿論観光客のみならず、創業大正末期の約90年~100年を誇る老舗なので、地元住民からも支持の厚いお店です。
今回は、なぜ亀十のどら焼きが東京三大どら焼きと呼ばれるのか?どの人気の秘訣に私なりに迫ってみたいと思います。
まずはなんといってもこちらの容姿。非常に濃厚な焦げ茶色の焼き目と、穴の中や側面に垣間見える白い生地の部分のコントラストも珍しいのではないでしょうか。
一般的などら焼きはもっと黄色味を帯びた皮ですが、亀十さんのどら焼きは小麦粉・砂糖・卵主体の非常にシンプルな構成。はちみつや味醂といったしっとりとした要素を加えるものは使用しておらず、空気をたっぷりと含ませたふわふわの生地となっています。また、皮を焼く専門の職人さんも6~8名程いらっしゃり、専門だからこそなしえる技と研ぎ澄まされた感覚だからこそ、独自の皮が焼きあがるのです。一見力強そうな皮ですが、ひっくり返すタイミングや強さが狂うと、生地がしぼんでしまうのだそうです。
素朴でほんのりとしたほろ苦さをも旨味のひとつとして味方につけている皮に合わせるのは、小豆餡と白餡。今回はベーシックな小豆の粒餡を選びました。
北海道十勝産の小豆とグラニュー糖に拘り、雑味が少なく、ストレートに甘味と小豆の風味が飛び込んでくる正統派。そのため、皮とのバランスを考慮し比較的一般的などら焼きに比べてあんこの量は幾分控え目かもしれません。それでも全く物足りなさを感じないのは、ボリュームだけではなく、旨味や香ばしさといった甘味に頼り切らないという自信と培われてきた技ありきだと私は思います。
更に人気の秘訣として、現地でなくては購入できないという希少性もあるのではないかと。時折都内百貨店にて、商品を限定して販売なさる一週間程のポップアップストアが展開されていますが、それでもお取り寄せ等には対応しておらず、更に観光地でもある浅草でなければ購入できないという立地も一役かっているのではないでしょうか。
浅草でなければ購入できない歴史の味…なんだかロマンチックですね。(そう思うのは私だけでしょうか?)
その人気には必ず理由がある。浅草観光の際には、ぜひ一度行列に並ぶこともコースのひとつとしてカウントし、亀十さんのどら焼きを購入してみてはいかがでしょうか。
<亀十>
東京都台東区雷門2-18-11
03-3841-2210
10時~19時