Yahoo!ニュース

運命のポーランド戦。日本が決勝トーナメントに進むために必要なことは

柴村直弥プロサッカー選手
グループリーグ敗退が決まってしまったポーランド代表チーム。(写真:ロイター/アフロ)

 2018年ロシアW杯で、日本代表は、グループリーグ突破を懸け、明日、6月28日23:00からグループリーグ最終戦、ポーランド代表と戦う。

ポーランドと戦う上で、どのような戦い方をすれば優位に試合を運べるのか。ポーランドを分析しつつ、ポイントをいくつか示していく。

レヴァンドフスキにパスを配給させないためには

 ポーランドと言えば、言わずとしれた、エースストライカーのレヴァンドフスキ。W杯欧州予選では10試合で16ゴールを決め、得点王はもちろん同予選の歴代最多得点記録を更新し、今シーズン、ドイツブンデスリーガでも自身3度目の得点王を受賞した。レヴァンドフスキ対応策は以前下記に記述したが、記述するのは簡単だが、当然ながら実際に止めることは困難を極める。

【サッカーW杯】ドイツで断トツ得点王!レヴァンドフスキを日本代表はどう止めるのか

 そうなると、レヴァンドフスキにボールを渡さないようにすることも重要となってくる。実際にセネガルもコロンビアも、レヴァンドフスキに良い状態でボールを持たれたときには、ピンチを招いている。レヴァンドフスキに良い状態でボールを持たれないようにするためには、レヴァンドフスキ自身をマークすることはもちろん、そこへ良いパスを配給させないことも大事になってくるだろう。

 とくにレヴァンドフスキに良いパスを配給しているのは、背番号10番のMFクリホビアク。コロンビア戦の後半12分、相手DFラインの裏のスペースへ飛び出したレヴァンドフスキが相手GKと1対1の状況となり、ポーランドの決定的なチャンスとなったが、この50mほどの絶妙なロングパスを配給したのもクリホビアクだ。利き足ではない左足からのパスであったが、それでもこの精度のボールを配給することが出来る。

 EURO2016で輝きを放ち、セビージャ(スペイン)でも活躍した28歳のゲームメーカーは、ポーランド代表チームの中でもっともパスが上手い選手と言える。クリホビアクは、ポーランドが最終ラインからビルドアップを行なっているときには、中盤の位置から少し下がってきて、中央付近でボールを受け、そこから前線にパスを配給することが多く、このクリホビアクから自由にパスを配給されないようにすることが、ポーランドの攻撃のチャンスを激減させることに繋がってくる。日本のDFラインではレヴァンドフスキを徹底マークしつつ、中盤から前のラインでは、パスの出どころである、クリホビアクを自由にさせないことも、ポーランドの攻撃を防ぐ上で大事となってくるだろう。

守備でもキーマンとなるクリホビアク

 クリホビアクは、味方が攻撃している際に、中盤の辺りで絶妙なポジショニングを取り、相手のカウンターアタックを防ぐ能力にも長けている。セネガル戦で、ポーランドが攻撃から守備に切り替わった際に、セネガルのマネが自陣からスピードに乗ってドリブルをしてきて、ポーランドがカウンターアタックを受けようとした場面でも、対応したクリホビアクは、カウンターを受けない絶妙なポジショニングを取り、マネのスピードを吸収しながら、ボールを奪っている。日本がボールを奪ってカウンターに転じる際には、このクリホビアクのポジショニングにも注意を払っておく必要があるだろう。

サイドで先手を取れるか

 ポーランドの攻撃の強みの一つでもある、サイド突破からのクロス。質の高いボールを配給できるのは、左サイドバック、そして3バックの際には一つ前の左ウイングバックを務める、背番号13番のリブスである。初戦のセネガル戦でも、後半にポーランドが3バックにした後、セネガルの右サイドバックの背後のスペースにタイミング良く飛び出して突破し、何度もチャンスを演出していたが、リブスが高い位置を取り、クロスを上げられるとピンチを招くことになるだろう。それに対してコロンビアは、マッチアップしていたコロンビアの右サイドのクラドラードが、積極的に前線に飛び出していくことで、最終ラインまで下がらざるを得なくなったリブスは、なかなか攻撃に出ることができず、沈黙した。このように、サイドの攻防で先手を取り、リブスに高い位置を取らせないようにすることも、ポーランドを攻略する上で大事となってくる。

 これまでのポーランド代表チームの傾向と実際に起きた現象から分析してきたが、グループリーグ敗退が決まってしまったポーランドが、どのようなメンバー構成で、どのような戦い方をしてくるか、試合が始まってみないとわからない部分も多い状況だ。そういった中でもっとも大事なことは、状況に応じた的確なベンチワーク、そして、試合の中での選手たちの対応能力かもしれない。

プロサッカー選手

1982年広島市生まれ。中央大学卒業。アルビレックス新潟シンガポールを経てアビスパ福岡でプレーした後、徳島ヴォルティスでは主将を務め、2011年ラトビアのFKヴェンツピルスへ移籍。同年のUEFAELでは2回戦、3回戦の全4試合にフル出場した。日本人初となるラトビアリーグ及びラトビアカップ優勝を成し遂げ、2冠を達成。翌年のUEFACL出場権を獲得した。リーグ最多優勝並びにアジアで唯一ACL全大会に出場していたウズベキスタンの名門パフタコールへ移籍し、ACLにも出場。FKブハラでも主力として2シーズンに渡り公式戦全試合に出場。ポーランドのストミールを経て当時J1のヴァンフォーレ甲府へ移籍した

柴村直弥の最近の記事