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ゴールデンウィーク直前の全国的な初夏のような暑さと沖縄・奄美地方での梅雨の気配

饒村曜気象予報士
ゴールデンウィーク日程 2024(提供:イメージマート)

初夏のような高温

 ゴールデンウィーク直前の、令和6年(2024年)4月25日は、東シナ海から西日本へ移動してきた高気圧によって北日本を除き、晴れて気温が上昇した所が多くなりました(図1)。

図1 二つ玉低気圧通過後の地上天気図と晴天域(令和6年(2024年)4月25日15時)
図1 二つ玉低気圧通過後の地上天気図と晴天域(令和6年(2024年)4月25日15時)

 全国で一番気温が高かったのは山梨県・勝沼の29.6度、次いで沖縄県・石垣島の29.2度と、最高気温が30度以上の真夏日を観測した地点はありませんでした(表)。

表 最高気温の実況(4月25日)と予想(4月26日)
表 最高気温の実況(4月25日)と予想(4月26日)

 真夏日はありませんでしたが、全国で133地点(気温を観測している914地点の約15パーセント)で最高気温25度以上の夏日となっています。

 4月26日は移動性高気圧に広く覆われ、25日以上に気温が上昇する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(4月26日9時の予想)
図2 予想天気図(4月26日9時の予想)

 最高気温は、全国的に平年並みか平年より高くなるのですが、特に東北地方ではかなり高くなり、山形市や福島市では最高気温が30度と、真夏日の予想です。

 今月の初めは、寒気が入って少し寒くなり、4月10日には全国の270地点(約30パーセント)で最低気温が0度未満の冬日となりましたが、4月25日以降は、冬日の観測がかなり少なくなっています。

 代わって夏日が増えて、真夏日もポツポツと観測されるようになってきました。4月26日は、真夏日を観測するのは数地点の見込みですが、夏日を観測するのは今年初めて300地点を超え、全国の約3分の1が夏日となる見込みです(図3)。

図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(4月26日以降は予想)
図3 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(4月26日以降は予想)

 ゴールデンウィーク直前になって真夏日や夏日となる所が増えてきましたが、今年はまだ夏の現象の象徴である台風の発生がありません。

 熱帯の海には台風の卵である熱帯低気圧も、その熱帯低気圧になるかもしれない積乱雲のかたまりもありません。

 しばらくは、台風の発生はなさそうですが、過去で最も早い台風の上陸は4月25日です。

 昭和31年の台風3号で、4月25日7時半過ぎに鹿児島県大隅半島に上陸しましたので、統計的には台風シーズンに入っています。

 台風と並んで、夏の代表的な現象に梅雨がありますが、こちらは、沖縄・奄美地方でそろそろ梅雨入りしそうです。

沖縄・奄美地方の梅雨入り

 ウェザーマップでは、16日先までの天気予報を発表しています。

 これによると、鹿児島県奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報では、5月4日まで傘マーク(雨)が並び、5月8日までは黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が続く予報です(図4)。

図4 奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)
図4 奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)

 しかも、これから来週に関していえば、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAが多い予報です。

 一番低いEや、ニ番目に低いDが多いのは再来週の予報です。

 奄美地方では、そろそろ梅雨入りしそうです。

 奄美地方の梅雨入りの平年は5月12日、昭和26年(1951年)の統計開始以来、最も早い梅雨入りは、平成10年(1998年)の4月25日です(図5)。

図5 鹿児島県奄美地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図5 鹿児島県奄美地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 仮に、4月26日に奄美地方が梅雨入りした場合、過去最早ではありませんが、かなり早い梅雨入りであることにはかわりがありません。

 一方、那覇の16日先までの天気予報を見ると、名瀬と違って、降水の有無の信頼度はDやEが多い予報ですが、傘マークが連続していません(図6)。

図6 那覇の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)
図6 那覇の16日先までの天気予報(ウェザーマップによる)

 しかも、お日様マーク(晴れ)や、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)が多い予報です。

 これは、太平洋高気圧が少し強まっているため、日本付近に停滞する前線が少し押し上げられ、沖縄付近ではなく奄美大島付近に停滞すると考えられるからです。

 令和6年(2024年)は、沖縄地方より先に、奄美地方で梅雨入りになるかもしれません。

 沖縄地方の梅雨入りの平年は5月10日、最も早い梅雨入りは、昭和55年(1980年)の4月20日です(図7)。

図7 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図7 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 ちなみに、昭和55年(1980年)は、全国的に冷夏となった年です。

 気象庁が4月23日に発表した5月~7月の3か月予報では、エルニーニョ現象は終息するものの、気温が高い傾向はこの先も継続し、梅雨入り後は、沖縄や西日本で雨量が多くなる可能性があるとしています。

 梅雨は、高温多湿となり、食中毒が発生しやすくなります。

 梅雨は「梅の実が熟す頃に降る雨」と、一般的にいわれていますが、花の咲く頃でも、実をつける頃でもなく、かなり期間が長くて曖昧な言葉です。 

 梅雨には、同じ読み方の黴雨(カビやバイキンの雨)からきた言葉という説もあり、筆者はこちらのほうがしっくりきます。

 ゴールデンウィークの頃から梅雨のような天気になる奄美地方では、食中毒に注意が必要な季節になったということでもあります。

 そして、奄美地方以外でも、梅雨という食中毒に注意が必要な季節が、まもなく始まります。

図1、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図5、図7の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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