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【速報】カイロスロケット、打ち上げ直後に爆発 スペースワンが描く将来像とは?

カイロスロケット打ち上げの様子©スペースワン / テレビ和歌山

先ほど和歌山県串本町のスペースポート紀伊より、スペースワンの新型国産ロケット「カイロス」が遂に打ち上げられました。しかし、カイロスは打ち上げ直後に爆発してしまうという結果となりました。

スペースワンによると、発射後に指令破壊を行ったとの事です。その理由は原因調査中です。周りの森林では火災が発生し、消火活動が行われましたが、ケガ人などの情報は今のところありません。初号機での打ち上げ成功は中々難しいですね。

カイロスロケットの打ち上げが成功した場合、民間企業が主導して開発したロケットによる、日本で初めての人工衛星の軌道投入となる予定でした。次号機の打ち上げがうまくいくことを祈っています。

本記事では、カイロスロケットの詳細をはじめ、スペースワンが目指す将来像まで詳しく解説します。

■スペースワンが目指す小型衛星打ち上げサービス

カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン
カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン

スペースワンは2018年に設立された企業で、小型衛星打ち上げ用の「カイロスロケット」を開発しています。その目的は、契約から打ち上げまでを1年以内という短期間で実現し、「世界最短」・「世界最高頻度」の人工衛星打ち上げサービスを構築することです。

スペースワンは、IHIエアロスペース、キヤノン電子、清水建設、日本政策投資銀行の共同出資により設立されました。IHIエアロスペースはイプシロンロケットを始め、豊富なロケット開発経験を有しています。キヤノン電子は衛星事業や、ロケットの電子機器の開発も行っています。清水建設は2050年代に宇宙エレベータを建設することを発表し話題を集めていますし、日本政策投資銀行は宇宙ビジネスを展開しています。これらの4社は様々な分野の宇宙事業に長けており、スペースワンは各社の強みが集まった新興企業なのです。

海外のロケットラボ社が有するエレクトロンロケットや、国内ではインターステラテクノロジズ社が開発中のZEROロケットなど、小型ロケットの分野では多様なライバルが存在しています。しかし一方で、小型衛星打ち上げ用のロケットは全く足りておらず、打ち上げ待ちが続いている状況なのです。

それでは、大型の衛星に相乗りで打ち上げれば良いのでは?と思うかもしれませんが、小型衛星は希望の軌道には小型衛星自身で軌道遷移する必要があり、推進系などの余分な機能が必要になってしまうのです。もし、小型で頻繁に打ち上げられるロケットが存在すれば、この課題を解決することができます。

■高頻度でロケット打ち上げを行うための工夫

カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン
カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン

通常ですと、ロケットの打ち上げに関する契約が締結できてから、実際に宇宙へ打ち上げられるまでに2年以上の期間を要します。しかし、スペースワンはこれを1年以内に短縮することを目標としており、これに向けて様々な取り組みをしているんです。

まず、スペースワンが開発する「カイロス」は、全長18m、重さ23tonの3段式ロケットです。150~250kg程度の衛星を地球周回軌道に打ち上げることができます。高頻度で打ち上げるための工夫として、「固体燃料」がカイロスロケットでは採用されています。固体燃料は火薬のようなもので、一度点火すると微調整ができないため、コントロールが難しいという欠点があります。

しかし、固体ロケットは細かい部品が必要ないのでシンプルであり、保管がしやすいというメリットがあります。この強みを生かして、打ち上げまでの期間を大幅に短縮し、素早い打ち上げ頻度を実現します。最終的にスペースワンは、打ち上げ間隔を7日まで狭めることを目標にしています。

カイロスとは、ギリシャ神話で「時刻」「チャンス」という意味を持っています。カイロスロケットは迅速で高頻度な打ち上げ機会を設けるという意味が込められているんですね。

■日本発の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」

カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン
カイロスロケット打ち上げイメージ図©スペースワン

続いてご紹介するのは、カイロスロケットを打ち上げる和歌山県串本町に新たに建設した「スペースポート紀伊」です。ロケットは地球の自転を利用して打ち上げるため、南東方向が開けている串本町は打ち上げ施設の立地にピッタリだったのです。更に、打ち上げ時の騒音対策として人口が密集していないことや、輸送が容易であることなども選定の理由です。現在JAXAは鹿児島の種子島宇宙センターや内之浦宇宙空間観測所にてロケットを打ち上げていますが、過去にはこの串本町も候補に上がっていたほどです。

そして、スペースワンがJAXAの射場を借用してカイロスロケットを打ち上げようと思うと、自由に好きなタイミングで使用することが難しいという背景があります。そのため、「世界最短」・「世界最高頻度」を実現するため、新たにスペースポート紀伊を設立したという経緯なんですね。

カイロスロケットにより、和歌山県は10年間で670億円程度の経済効果があると推算されています。更には、2030年代にはカイロスロケットを年間30回もの回数打ち上げることが計画されています。是非実現して欲しいですね。

■搭載衛星は内閣府の実証衛星

それでは、本日打ち上げられたカイロスロケットに搭載されている衛星をご紹介します。

搭載されている人工衛星は、内閣府の「短期打上型小型衛星」です。情報収集衛星に緊急事態が発生した際に、代わりにこの衛星が地球観測を行うことを目的としています。

情報収集衛星とは、地球の特定の部分を偵察するために運用される衛星です。特定秘密保護法により地上のどのくらいの大きさのものを見分けられるかや、撮影された画像、その分析結果などは明かされておりませんが、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮などを偵察するために使用されていると考えられています。

今回の打ち上げにより、短期間で打上げ可能な小型衛星の実証を行うことが予定されています。

カイロスロケットの次号機の打ち上げが成功し、スペースワンの人工衛星打ち上げサービスが順調に進むことを祈っています。

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