「月60万の廃棄はいい経営」コンビニオーナー2名が語る
「働き方改革」を目指し、「24時間365日営業」が基本のコンビニエンスストアでも、客の少ない深夜の営業を一部店舗で試験的にやめる動きがある。ファミリーマートは、人手不足が深刻化しており、24時間営業の見直しの検討を行なうため、一部店舗の営業時間を短縮する実証実験を実施と報じられている(毎日新聞 2017年10月31日付)。公式サイトでは働き方改革のキーワードと役割について説明している。
また、北海道や北関東で展開するコンビニの「セイコーマート」は、2018年の元日営業を過半数の店舗でやめた(2017年12月18日付、毎日新聞)。だが、深夜営業をやめているのは、コンビニ業界の中でも、一部の企業と店舗に過ぎない。いつでもどこでも何でも揃えてある、となると、消費期限や賞味期限が決まっている飲食品は、どうしてもロスが出やすい。消費期限・賞味期限よりも手前に「販売期限」があり、それが来ると棚から撤去しないといけないからなおさらだ。
東日本でコンビニエンスストアの店舗を経営するオーナー2名に食品ロスの現状について話を伺った概要をまとめてみた。個人を特定されないようにするため、苗字のイニシャルではないアルファベットにしていることをご了承いただきたい。
Pさんの話
Qさんの話
以上
Pさんの
人間は、便利になればなるほど、何かを捨てているような気がする
という言葉が印象に残った。
PさんとQさんの店舗は、異なる都道府県だ。互いの店舗の物理的な距離は大きく離れているが、2人が話した内容で共通点があった。
「1ヶ月60万円分の廃棄なら、いい経営」
という点である。
国税庁が発表した平成28年分 民間給与実態統計調査によれば、日本の給与所得者が一年間に取得する平均給与は422万円。1ヶ月あたりに換算すると、約35万円である。
コンビニは、2018年2月現在、全国に55,395店舗ある(日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計データ」による)。
コンビニ1店舗あたり月に60万円分の食料を捨てるとなると、単純計算で、全国のコンビニだけで毎月332億円分の食料が捨てられることになる。
2016年、日本政府は、飢餓のない世界を目指して活動する国連の食糧支援機関「国連WFP」に対し、2億700万米ドル(約225億円)を支援している。
毎月60万円分の食料を廃棄することは、はたして「いい経営」と言えるのだろうか。
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