第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会 開幕
第28回全国高等学校女子硬式野球選手権大会が、7月20日に兵庫県丹波市と淡路市で開幕した。会場の一つ、つかさグループいちじま球場(兵庫県丹波市)では、午前8時30分から開幕戦と第2試合を行う4チームが参加して開会式が行われ、メッセージ性のある選手宣誓が行われた。
宣誓したのは、今春、女子硬式野球部が創部されたばかりの福島県の聖光学院高校(以下、聖光学院)1年生の水野心主将。内容はもちろん、一言ひと言を丁寧に発した宣誓に、会場からは大きな拍手が起こった。
選手宣誓全文
今、世界では、様々な争いや自然災害によって学校にも通えず、 自分のやりたいことに夢中になれない人たちがたくさんいます。私たちは、大好きな仲間と大好きな野球ができていることは当たり前なことではなく、かけがえのない瞬間だと改めて感謝しなければなりません。また、多くの方々が 女子野球の発展に協力してくださり、今まで目指すことのできなかった甲子園という舞台を、みんなで目指せるようになりました。明確な目標があることで、どんなに辛いことでも仲間とともに乗り越えることができます。私たちの青春の1ページに夢と目標を与えていただき、ありがとうございます。ここに、この大会を支えてくださっている全ての方々に感謝の気持ちを込めて、仲間と築き上げてきた絆を大切にし、全国の皆様に笑顔と感動を 全員野球で届けることを誓います。
令和6年7月20日 選手代表 聖光学院高等学校女子硬式野球部主将 水野 心
東日本大震災を経験、生きていることに感謝
「野球ができてることは当たり前じゃないといつも意識している」という水野主将。文言は自分で考えた上で、監督、部長からのアドバイスを取り入れ完成させた。
福島県会津若松市出身の水野主将は、自身も2歳のときに東日本大震災を経験。自然と今年元旦に起きた能登半島地震被災地へ寄り添う気持ちが沸き起こった。「(東日大震災で)私の家族は無事でしたが、亡くなった方が大勢います。まず、生きてることに感謝しなければいけない」という思いから、宣誓文の冒頭に、災害のことを入れたという。緊張したというが、中学校時代は生徒会副会長として大勢の前で喋った経験があるだけに、堂々たる選手宣誓だった。
聖光学院は初勝利ならず
その聖光学院は第2試合に登場し、島根県立島根中央高校と対戦し4対5で惜敗した。全国大会初出場で初勝利とはいかなかった。水野主将は試合前、「他校は3年間野球に打ち込んできた上級生のいるチームばかりなので、できること全てをぶつけるだけです。そうすれば良い結果がついてくるはず」と話していたが、「序盤は慌ててしまい、完全に相手にのまれました。どんな場面でも冷静だった相手を見習い、この経験を次の大会に活かしたいです」と新たな決意を胸に、会場を後にした。
大会は始まったばかり。今年は史上最多の61チームが日本一を懸けて戦う。決勝戦は、4年連続となる阪神甲子園球場において8月3日に行われる。どのチームが栄冠に輝くか。
(写真はすべて筆者)