地元とJリーグがつなぐ日本サッカーの未来。”マリノスの新拠点”横須賀・小野裕二(サガン鳥栖)の場合。
Jリーグは30周年を迎えます。オリジナル10から始まった日本のプロリーグはJ1・J2・J3を合わせて60クラブまで広がりました。
それぞれの選手には育った地元があります。プロとしての成功にとどまらず、いろいろな形で地元に還元すると同時に、そこで地域や子供たちから得たエネルギーをピッチでのプレーに変えていく。
そうした循環が全国各地で起きています。ここから、そうした現象がもっともっと多くなることで、日本サッカーは未来につながって行くはず。
オリジナル10の1つで、昨シーズンのJ1王者である横浜F・マリノスはホームタウンの1つである横須賀にクラブハウスを新設し、チームの練習や活動の拠点になります。
そんな横須賀で活動している『Ono Football Clinic』は小野悠斗(チェンマイ・ユナイテッド)と小野裕二(サガン鳥栖)が発起人となり、「横須賀から世界へ」をテーマに、横須賀の育成年代からサッカーを盛り上げていこうというプロジェクトで、「横須賀サッカーフェスティバル」の一環として、Jリーグで活躍する多くのプロ選手やOBを呼んで、子供たちとボールを蹴るイベントが、年始に行われています。
今年も多くのJリーガーを含む20人近い選手が参加し、意欲的な子供たちとボールを蹴りました。ほぼ現役選手ですが、元日本代表の石川直宏氏や現在はサガン鳥栖のスカウトを務める谷口博之氏も参加していたのが印象的です。
横須賀と言えばカタールW杯で活躍した伊東純也(スタッド・ランス)やフランス1部のストラスブールに加入した鈴木唯人の出身地でもあり、多くの選手をJリーグや日本代表に送り出しています。
マリノスが練習拠点とすることにより、さらに活性化することが期待される横須賀。現在、FC東京のクラブコミュニケーターを務める石川氏も、地元の横須賀に対する思いは強いと言います。
「選手たちがそういった姿を感じてもらって、子供たちの成長が次の成長にもつながる。いい循環を横須賀で生んでいきたい」
そう語る石川氏は「横須賀での刺激が日本サッカー界の刺激にもなって。目指しているところ、見ているところはチームが変わっても一緒だと思う」と語ります。
イベントを取材して感じたのは選手たちに熱量。子供たちに真剣に向き合いながら、教えるというよりは一緒にプレーしながら伝えていく。
「横須賀らしい選手を育てていきたいですし、そう言った選手たちが伸び伸びやれる環境を作って行くのが僕らの課題でもあると思うので。引退したメンバーだったり、これから若い選手たちもどんどん入って、増えてくると思うので、そういうバトンを受け継がせていきたい」
マリノスのアカデミー出身で、現在はサガン鳥栖で活躍する小野裕二は「自分達が子供たちからエネルギーはもらえるので、そこはきた選手たちはここから頑張ろうという気持ちになったんじゃないか」と語ります。
小野裕二選手に聞きました。
ーー子供たちに感じてほしいところは?
あれだけの人数の選手がきてくれて。オフにも関わらず割と真剣にやってくれて、子供たちはかなわないなと思ったかもしれないですけど、そういうことを経験することで、もっと上手くなりたいと思って、それを経験として成長て行ってほしいと思います。
ーー石川ナオさんも、自分が選手だった時に子供だった選手たちが集まって、子供に伝える姿が嬉しいと語ってました。
サッカーを通じて、横須賀に恩返しをしたいというのもありますけど、サッカー選手になった子供たちにはもちろん、サッカーを通じてやってほしいです。大人になって他の夢ができた時に、頑張ってるものだったり、自分が追いかけてるものを通じて、子供たちに夢とか希望を与えられるような機会をどんどん横須賀で作っていければいいのかなと思います。
ーー子供から刺激を受けた側としては?
僕としては本当に、こういう活動を続けて行く上で、1日でも長くプロサッカー選手を続けていきたいですし、自分達がサッカーを純粋に楽しんでいた頃の気持ちを思い出して、1年間頑張ろうと思えるので。僕はここで、いつまでもプロサッカー選手と言えるように頑張っていきたいと思います。
ーーここ横須賀から一人でも多くの選手が出てくるために?
与えられてる時間は一緒なので。その中で、自分がなりたいものだったり、目指しているものに、どれだけ真剣に向き合えるかだと思います。ここから大人になるにつれて、大変なこともあるかもしれないですけど、ここで味わった楽しさ、純粋な気持ちを持って日々トライしてほしいと思います。