限定地酒を飲みにわざわざ行きたい蔵元カフェ【秋田】マカロン&コーヒーも美味
秋田の「山本」と言えば、日本酒好きならピンとくる人気のお酒です。その山本酒造店が2023年3月にオープンしたのが「LABO and CAFE YAMAMOTO(ラボ アンド カフェ ヤマモト)」です。ピエール・エルメ・パリのマカロンや美味しいコーヒー、ここだけでしか飲めない生酒など、魅力たっぷりのお店です。
≪酒蔵が営むモダンカフェ≫
「山本」のお酒は個人的に、2年ほど前に「ど」を飲んだのが始まりです。インパクトたっぷりのネーミングで、今もラインアップする中では一番古いお酒ですが、昔は瓶内の圧力が高すぎて開た瞬間爆発したという曰くつき(笑)。そんな酒蔵がカフェを作ったことを知り、遠路はるばる秋田まで行ってきました。
日本酒の醸造所を併設したお洒落なカフェは、自由が丘や代官山にあってもおかしくないステキなお店です。敷地内には白神山地の里山を再現。お酒の仕込み水にも使う白神山地の伏流水を、庭の水盤に掛け流しています。
広々とした店内には柱がなく、天井は空調設備を排したスッキリとした空間。窓からは自然光が差し込み、どの席からも水盤が見えるようになっています。
≪東北でここだけ!ピエール・エルメのマカロン≫
東北に常設店のないピエール・エルメ・パリのマカロンが、いつでも食べられるのも魅力的。3種類の定番商品にくわえ、季節限定ものとカフェのオリジナル「シラカミ」の、計5種類を用意します。
さらに、いい水、いい米、いい酵母だけを使う酒造りが、カフェのクオリティにも活かされます。お茶は京都や鹿児島で有機栽培された茶葉を使い、紅茶も有機栽培された屋久島産。オーガニックのガムシロップや、コーヒーに入れるミルクも生クリームを使うなど、美味しさへのこだわりを極めます。
ホットのラテを頼むとランダムで可愛らしいアートが描かれます。キビ糖の上品な甘さでとても美味しかったです。
特に山本の酒粕を使ったカフェオリジナルのマカロン「シラカミ」は、後味に酒粕の風味がほんのり広がり、マカロンの甘さと酒粕のコクがバランスよくマリアージュ。アルコールを飛ばしているので、車利用の方も食べられます。
シングルオリジン(単一農場単一品種)のエチオピアをハンドドリップで淹れるコーヒーもオススメです。
日替わりで提供されるブレンドコーヒーは2タイプ。山本酒造店で酒造りに使われる辛口のセクスィー酵母と香り立つゴージャス酵母に名前を合わせ、ケニアとグアテマラのフルーティでスッキリとした「セクスィーブレンド」と、エチオピアとコロンビアが華やかな香りとコクを生む「ゴージャスブレンド」を用意します。
≪レア度MAX!ここでしか飲めないお酒≫
酒蔵は酒造りの環境がとてもデリケートなので一般公開はしていませんが、見学したいというファンの声も多いので、カフェに第二の醸造蔵を併設。「ラボ&カフェ ヤマモト」の名前の通り、ラボラトリー(研究室)として新しい酒造りを行いながら、試験的に作られた生酒が飲める珍しいカフェです。
ラボで作られたお酒は絞りたてを20Lの樽に詰め、カウンターのサーバーで提供。お酒の種類は3、4週間ほどで変わるので、何度も通いたくなります。
ラボで作られたお酒を3種類飲みくらべするセットです。この日は「秋田酒こまち 55% 精米 秋田酵母 No.12」、「秋田酒こまち 50% 精米 こまち R-5 酵母」、「吟の精 55% 精米 AK-1 酵母&こまち R-5 酵母」です。シリコングラスも1つお土産についています。
「こまち R-5 ~」はフルーティーな香りで軽やかな口あたり。「吟の精~」はシュワっとして華やいだ香りでとってもジュ―シーでした。
注文ごとに生ハムの原木をスライス。削りたてで柔らく、ほどよい塩味の逸品です。
ラボで作られた生酒は量り売りもしています。600ml入るオリジナルのステンレスボトルはボトル代3,600円とお酒2,000円。500mlのペットボトルは容器代不要で2,000円。オリジナルの保冷バッグ2,400円もお洒落です。
そのうえ蔵付きのセクスィー山本酵母とゴージャス山本酵母を使った、ここでしか手に入らない箱入りのお酒もお土産に人気です。
≪オシャレな店内をちょっと探検≫
館内のデザインやインテリアもこだわりがいっぱいです。
ステキな “おひとりさま席” も座る価値あり。腰を下ろした時に水の風景を楽しめるように窓を低く設置。この席を予約されるお客様もいらっしゃるとか。お酒やコーヒーの味に向き合いながら、自分時間を満喫できます。
テラス席では花や緑を楽しみながらのティータイム。建物の周辺には3か所の水盤が作られて、お酒の仕込み水に使われている白神山地の湧き水が24時間掛け流されています。
秋田杉の椅子は、酒造りに使われる木桶をイメージした特注品。ファブリックは京都の西陣織で、白神山地の山並みや里山の風景をデザインしています。丸テーブルのトップボードは、秋田県大館市で産出する薄緑色の十和田石です。
杉材を使った “曲げわっぱ” やおひつ造りで知られる秋田県。トイレにも職人の手による秋田杉の洗面を設置。テーブルにも十和田石が使われます。
酒蔵のスタッフが着ているアパレル用品の他、お酒の銘柄「ピュアブラック」のぬいぐるみやバッジなど、ファンなら買いたくなる品々をそろえます。
ビンテージルックの「Buffalos(バッファローズ)」製、電動レンタサイクルも借りられます。お酒の名前にも使われる滝「白瀑(しらたき)」は、毎年8月1日の “みこしの滝浴び” が行われる白瀑神社の裏手にあって、自転車で5分ほど。海沿いの堤防では、北国の海を見ながら走れます。
カフェがあるのはJR五能線「東八森駅」から徒歩3分ほど。お酒を試したい方は列車利用になりますが、五能線は本数が少ないのであらかじめ時刻表を確認してください。
秋田駅から東八森までは、途中東能代駅で乗り換えて2時間ほど。秋田発9時44分なら11時24分着、11時40分発なら13時28分着。帰りは14時12分と15時53分があるので、それぞれ2時間半ほど滞在できます(2024年6月現在)。
≪山本がある東八森へ旅をしてみませんか≫
テロワール(土地)という料理やワインなどで使われるフランス語がありますが、地理や気候、土壌などがその味を左右するという意味です。山本酒造店が作るお酒がまさにそれ。地元で穫れたお米を使い、その土地の水で仕込み、酒蔵に住みついた酵母や秋田県産の清酒酵母で酒造りをする。
さらに秋田杉を使った建物や家具、十和田石を使ったテーブル、仕込み水が掛け流される水盤はもちろん、コーヒーやお茶もお酒と同じ水で淹れられます。
秋田県、山本郡、八峰町、八森字八森。山本酒造店のテロワールは、まさにその土地の味。ぜひ確かめに、旅に出てみてください。
LABO and CAFE YAMAMOTO(ラボ アンド カフェ ヤマモト)
住所:秋田県山本郡八峰町八森字八森13-1
営業時間:10時~16時(L.O.15時30分)
定休日:火曜日、水曜日
詳細はこちらをご覧ください 公式ホームページ(外部リンク)
山本酒造店様のご協力により、試飲・試食させていただきました。本記事制作にあたってはガイドラインに基づき公平中立に制作しています。