スペースワンの新型ロケット「カイロス」3月13日に打ち上げ!世界最短・世界最高頻度を目指す!
H3ロケットの打ち上げが2月15日に迫り話題となっていますが、日本企業「スペースワン」が開発するカイロスロケットも3月13日の打ち上げを計画しています。
本記事では、スペースワンの将来計画、そしてカイロスロケットの特徴を解説していきます。
H3ロケット、2月15日打ち上げ!!2024年ロケット打ち上げ予定
■目指すは「ロケットによる打ち上げ輸送サービス」
スペースワンは、2018年に設立された企業です。現在は、小型衛星打ち上げ用の「カイロスロケット」を開発しています。その目的は、契約から打ち上げまでを1年以内という短期間で実現し、「世界最短」・「世界最高頻度」の人工衛星打ち上げサービスを構築することです。
スペースワンは、IHIエアロスペース、キヤノン電子、清水建設、日本政策投資銀行の共同出資により設立されました。IHIエアロスペースはイプシロンロケットを始め、豊富なロケット開発経験を有しています。キヤノン電子は衛星事業や、ロケットの電子機器の開発も行っています。清水建設は2050年代に宇宙エレベータを建設することを発表し話題を集めていますし、日本政策投資銀行は宇宙ビジネスを展開しています。これらの4社は様々な分野の宇宙事業に長けており、スペースワンは各社の強みが集まった新興企業なのです。
■小型衛星を打ち上げるロケットが足りていない!?
海外のロケットラボ社が有するエレクトロンロケットや、国内ではインターステラテクノロジズ社が開発中のZEROロケットなど、小型ロケットの分野では多様なライバルが存在しています。しかし一方で、小型衛星打ち上げ用のロケットは全く足りておらず、打ち上げ待ちが続いている状況なのです。
それでは、大型の衛星に相乗りで打ち上げれば良いのでは?と思うかもしれませんが、小型衛星は希望の軌道には小型衛星自身で軌道遷移する必要があり、推進系などの余分な機能が必要になってしまうのです。もし、小型で頻繁に打ち上げられるロケットが存在すれば、この課題を解決することができます。
■迅速で高頻度な打ち上げロケット「カイロス」
カイロスは全長18m、重さ23tonの3段式ロケットです。150~250kg程度の衛星を地球周回軌道に打ち上げることができます。その最大の特徴は、固体燃料を用いることによって素早い打ち上げ頻度を実現する点です。H3ロケットなどの液体燃料ロケットは、整備や燃料注入などに期間を要しますが、固体ロケットは保管がしやすく、打ち上げまでの期間を大幅に短縮することができます。これによりスペースワンは、打ち上げ間隔を7日まで狭めることを目標にしています。
カイロスとは、ギリシャ神話で「時刻」「チャンス」という意味を持っています。カイロスロケットは迅速で高頻度な打ち上げ機会を設けるという意味が込められているんですね。
■日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」
カイロスロケットを打ち上げるのは、和歌山県串本町に新たに建設した「スペースポート紀伊」です。ロケットは地球の自転を利用して打ち上げるため、南東方向が開けている串本町は打ち上げ施設の立地にピッタリだったのです。更に、人口が密集していないことや、輸送が容易であることなども選定の理由です。種子島の射場はJAXAが運用しているため、国内所業者が自由に好きなタイミングで使用することはできません。「世界最短」・「世界最高頻度」を実現するため、新たに射場を設立したという経緯なんですね。
ちなみに3月9日の打ち上げでは、見学チケットが販売されていましたが、既に完売の盛況ぶりです。今後、スペースワンが世界的なロケット企業となるか、3月9日のカイロスロケットの打ち上げに大注目です!
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