世界第3位に輝いたヤングなでしこ。21人が目指す次のステージとは?(2)
U-20女子ワールドカップで、ヤングなでしこがアメリカとの3位決定戦に勝利し、銅メダルに輝いた。
世界第3位に輝いたヤングなでしこ。21人が目指す次のステージとは?(1)
【未来への課題】
日本がU-20女子ワールドカップで3位になったのは、自国開催の2012年以来、2度目である。だが、上位2チームの圧倒的な強さが光った2012年大会に比べると、今大会は内容的にも世界一を狙える力が確かにあった。だが、世界一になるために足りないものも、確かにあった。
準決勝で、ほとんどの時間を守備に費やし、日本の攻撃に耐えながらワンチャンスを仕留めたフランスのしたたかなゲーム運びは、世界大会の真剣勝負の中で思い知らされることになった。大会を通じて、スピード、パワー、ジャンプ力など、日本国内では経験できないレベルの選手たちと対戦したことで、日本の選手たちはそのレベルの高さを肌感覚で得ることができ、大きな財産になったはずだ。
決勝では北朝鮮がそのフランスを3-1で下し、2006年以来2度目の世界一に輝いた。日本は、北朝鮮とは昨年8月のアジア予選(AFC U-19女子選手権)で対戦し、120分間の激闘の末にPK戦で勝利を収めた。しかし、この1年間で、北朝鮮は技術や戦術、走力や精神面など、すべてにおいて一回りパワーアップしていた。
日本は準決勝のフランス戦も、今回のアメリカ戦も、ボール保持率は相手よりも高かったが、ゴールが遠かった。それは、フランスやアメリカが自陣に引いて中央を固めてブロックを作り、日本のパスサッカーに対する徹底した対策を取っていたことも理由だ。
そのブロックを崩すためにどうすれば良いのか。それは日本が世界の頂点を目指す上で、引き続き、向き合っていかなければならない課題だ。
「このチームで長い間、コンビネーションをテーマに取り組んできましたけれど、今後は相手の変化を見て、そのコンビネーションを使えるテクニックが大事になってきます。足先だけのうまさだけでなくて、世界レベルで通用する本当のテクニックというものを磨いていってほしいと思います。」(高倉監督)
【次の目標】
表彰式では、大会のゴールデンブーツ(得点女王)に5得点を挙げた上野が輝き、ゴールデンボール(大会最優秀選手)を杉田が受賞した。3位のチームからゴールデンボールが選ばれるのは異例のことだ。
杉田本人は「何度も聞き直してしまった」と、自身のMVP受賞に驚きを隠さなかったが、「周囲の選手との連携がうまくいくようになったことで自分らしさを出せるようになった」と、チームメートへの感謝も忘れなかった。日本はチームとしてフェアプレー賞も受賞した。
試合後、選手たちから聞こえてきた言葉は、3位になった喜びもさることながら、今大会の6試合を通して、新しい「世界」を知った実感に満ちていた。そして、どの選手も、迷いなく次への目標を口にするようになった。
「一番の目標は、なでしこジャパンに入ることです」
もちろん、これまでなでしこジャパンをリードしてきた百戦錬磨の選手たちからポジションを奪うことが容易なことではないということを、パプアニューギニアで世界を相手に戦ってきた選手たちは知っている。厳しい競争を勝ち抜いたものだけが、世界で戦う資格を得ることができる。
輝く銅メダルとともに、かけがえのない経験を手にした選手たちの、今後の成長が楽しみだ。
に続く