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きょう沖縄・奄美で梅雨入り 来週は関東甲信などでも梅雨入りの可能性

饒村曜気象予報士
予想天気図(5月21日9時の予想)

東日本から東北の通勤・通学時間帯の雨

 令和6年(2024年)5月20日に東日本から東北の通勤・通学時間帯に雨をもたらした前線は大きく南下し、西日本には大陸育ちの移動性高気圧が進んできました(図1)。

図1 地上天気図と衛星画像(令和6年(2024年)5月20日12時)
図1 地上天気図と衛星画像(令和6年(2024年)5月20日12時)

 このため、ゴールデンウィーク頃の季節外れの暑さには及びませんが、西日本を中心に気温が上昇し、平年並みか平年より高い気温となっています。暑さに体が慣れていない今の時期にとっては、対策が必要な暑さです。

 5月20日に、全国で気温が一番高かったのは、広島県・加計の32.4度で、最高気温が30度以上の真夏日を15地点(気温を観測している全国914地点の約2パーセント)で観測し、最高気温が25度以上の夏日は303地点(約33パーセント)もありました(図2)。

図2 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(5月21日以降は予想) 
図2 全国の真夏日、夏日、冬日の観測地点数の推移(5月21日以降は予想) 

 紫外線が一番強いのは、太陽が真上に近い所を通るようになる6月21日の夏至の頃ですが、すでに紫外線が強くなっています。

 夏至の前の5月から6月は、夏至のあとに比べて気温が低いことから、長時間屋外にいて多くの紫外線を浴びがちです。紫外線対策が必要なのは、暑くて長時間屋外にいることが苦になる真夏より、これから夏至までの晴れた日です。

沖縄・奄美で梅雨入りか

 5月20日には前線が沖縄県先島諸島まで大きく南下し、先島諸島で大雨となりましたが、この前線は、5月21日以降北上し、沖縄本島から奄美大島付近で停滞する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(左は5月21日21時の予想、右は5月22日9時の予想)
図3 予想天気図(左は5月21日21時の予想、右は5月22日9時の予想)

 前線に向かって暖湿気流が流入し、沖縄本島や奄美大島では今後24時間で150ミリ以上の大雨が降る見込みです(図4)。

図4 南西諸島の24時間降水量の予想(5月21日6時から22日6時までの24時間降水量予想)
図4 南西諸島の24時間降水量の予想(5月21日6時から22日6時までの24時間降水量予想)

 そして、5月21日の大雨のあと、沖縄・奄美地方は雨の日が続く見込みです。

 ウェザーマップが発表している16日先までの天気予報によると、那覇では、21日と22日の大雨のあと、黒雲マーク(雨の可能性が高い曇)や傘マーク(雨)が続く予報となっています(図5)。

図5 那覇の16日先までの天気予報
図5 那覇の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が、5段階で1番低いEや、2番目に低いDが多い予報ですが、21日の大雨で梅雨入りしても、おかしくない予報です。

 沖縄地方の梅雨入りの平年は5月10日ですので、5月21日に梅雨入りしたとしても、平年より遅い梅雨入りです(図6)。

図6 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図6 沖縄地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 ただ、沖縄で一番遅い梅雨入りは、昭和38年(1963年)の6月4日ですので、記録的に遅いというわけではありません。

 もっとも、沖縄地方の梅雨入りは遅くなる傾向にあり、21世紀になってからでは、一番多い梅雨入りは、5月中旬後半です。

【追記(5月21日11時50分)】

気象庁は、5月21日昼前に、沖縄地方と奄美地方で梅雨入りしたと見られると発表しました。このため、タイトルを「きょうにも沖縄・奄美で梅雨入りか 来週は…」から変更するなど、一部を変更をしました。

 また、鹿児島県奄美大島・名瀬の16日先までの天気予報を見ると、那覇以上に、梅雨入りの気配です(図7)。

図7 名瀬の16日先までの天気予報
図7 名瀬の16日先までの天気予報

 5月21日以降、傘マーク(雨)と黒雲マーク(雨の可能性が高い曇)が連続する予報です。

 しかも、降水の有無の信頼度が5段階で1番高いAが多い予報ですので、沖縄地方よりも梅雨入りの可能性が高い予報です。

 奄美地方は5月21日に梅雨入りするとしても、平年より遅い梅雨入りです。

 沖縄地方の梅雨入りと同様、奄美地方も梅雨入りは遅くなる傾向があります(図8)。

図8 鹿児島県奄美地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図8 鹿児島県奄美地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

関東甲信の梅雨入り

 九州南部から関東甲信地方は、今週は晴れ間があるものの、比較的雲が多い天気です。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、今週はお日様マーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇)が続く予報です(図9)。

図9 東京の16日先までの天気予報
図9 東京の16日先までの天気予報

 ただ、来週は東京でも傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性が高い曇)が多い予報となっています。

 5月26日頃に関東甲信地方など、西日本から東日本でも梅雨入りをするかもしれません。

 関東甲信地方は、梅雨入りの平年が6月7日ですので、このタイミングで梅雨入りすれば、平年よりかなり早い梅雨入りということになります(図10)。

図10 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り
図10 関東甲信地方の昭和26年(1951年)以降の梅雨入り

 関東甲信地方で最も早い梅雨入りは、昭和38年(1963年)の5月6日、次いで平成23年(2011年)の5月27日ですので、5月26日に梅雨入りしたとすれば、史上2番目に早い梅雨入りとなります。

タイトル画像、図3の出典:気象庁ホームページ。

図1、図4、図5、図7、図9の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図6、図8、図10の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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