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ピッチ・クロックが飲酒運転の危険を高める!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)Apr 2, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンから導入されたピッチ・クロックは、試合時間を縮めている。ベースボール・リファレンスによると、1試合の平均時間は、昨シーズンの3時間3分に対し、今シーズンはここまで、2時間37分だという。30分近い短縮だ。

 その一方で、こんなことも起きている。これまで、多くの球場は、7回裏が終わった時点でビールの販売を停止していた。だが、今シーズンに入り、いくつかの球場は、ビールを売るリミットを8回裏が終わるまでに変更している。

 試合時間が短くなったことによる、売れ行きの減少を防ぐ、あるいは補うため、イニングを伸ばしたということだ。

 マット・ストローム(フィラデルフィア・フィリーズ)は、ポッドキャストのベースボール・イズント・ボアリング(ベースボールは退屈じゃない)で、このイニング延長に反対している。

 試合終盤にビールの販売をしないのは、試合後、車を運転するまでに観客の酔いを醒まさせるのが目的のはず。であれば、試合のペースが速くなっているのだから、ビールの販売は6回裏までにすべき。これが、ストロームの意見の概略だ。

 確かに、これまでと同じ7回裏までの販売のままでも、そこから試合終了までの時間――酔いを醒ます時間――は、従来よりも短くなっているはずだ。最初の7イニングの時間だけが短縮されているとは、考えにくい。

 そもそも、車を運転してきた観客が試合中にビールを飲むこと自体がいいことだとは思えないが、販売するイニングの延長は、飲酒運転による事故の危険を高めかねない。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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