才木、浜地、藤谷のルーキートリオで1試合を完封。次は独り立ち?《阪神ファーム》
23日に行われた社会人クラブチーム・OBC高島との練習試合で、もと阪神タイガースの野原祐也監督を見に来られたファンの方は多かったのですが、この試合に揃って登板の『トリオ・ザ・ルーキー』も、相当な注目度でした。その期待に応えた3人は、それぞれ3イニングずつ投げ、見事に完封リレー!
きょうは、その才木浩人投手(18)、浜地真澄投手(19)、藤谷洸介投手(21)のコメントをご紹介しましょう。浜地投手は、きょう25日で19歳になりました。おめでとうございます。
なお23日の試合結果と経過、そしてOBC高島・野原祐也監督の話などは、こちらからご覧ください。<OBC高島・野原祐也監督、5年ぶりの鳴尾浜で古巣との練習試合>
《練習試合》5月23日
阪神- OBC高島 (鳴尾浜)
高島 000 000 000 = 0
阪神 001 020 01X = 4
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
才木 3回 45球 (2-0-0 / 0-0) 149
浜地 3回 54球 (4-2-1 / 0-0) 145
藤谷 3回 48球 (3-2-1 / 0-0) 142
監督は藤谷に直球のススメ
掛布監督は「一応ゼロで9回投げ切ったからね。相手が社会人というのもあるけど」と前置きしてから、3投手それぞれのピッチングに言及しました。「才木は角度のあるボールが投げられていた。内容は一番よかったんじゃないか?浜地はボールを切るより押し出す感じ。ボールが浮き気味だったよね。そこが気になったかな」
また「藤谷は、もうちょっとストレートのキレが欲しい。いい変化球を持ってるんだったら、それをより生かせるストレートを求めていかないといけない。いいストレートを投げられるようになれば、いい変化球で勝負できるピッチャーになるからね。いい変化球を長所とするのはよくない」とアドバイスを送っています。
この3人も、やがては先発の一角を担っていくことになると思われますが、掛布監督は「夏以降だよね。オールスター以降じゃないの?」と予測。それでも十分、今から楽しみです。
先発を志願、ポジティブな才木
続いて久保投手コーチです。「徐々に、こうしてゲームで投げさせないとね。練習でどういう取り組みをしているかということを出して。でも本当に故障せずここまで来て、予定したところで予定通り投げられてよかったですね」。そのあと才木投手のメンタル部分を大絶賛。というのも、この日の登板順も「才木が先発をしたいって言うから」決まったとのことでした。
「才木は、今のまま上げていけば十分でしょう。一番いいのはハツラツとしているところ。前へ前へ、自分をどんどん出してくる。へこたれないで向かっていくねえ。プラス思考は練習の中でも出ていて、もっともっと!と言ってくる。野球選手として向上したいという気持ちがにじみ出て…いや、にじむというより溢れ出てる(笑)。そしたらマウンドで臆病になることもない。投げることが嬉しくて仕方がなくて嬉々として出ていく。だからノープレッシャーなんですよ」
少しあきれたように笑いながら、なんだか久保コーチも嬉しそうに見えました。「これは必要なことですよ。浜地と藤谷には、まだそれが出ていないかな。1イニングを全力で投げていた時とは違ってきますね」。ちなみに、トリオでの登板は最後かと聞かれた久保コーチ。「そうですね、進捗状態を見ながら。そんなに焦ってはいませんが、少しずつ差は出てきているでしょう」という答えでした。
「チャンスは自分で取りに行く」
では3人のコメントをご紹介しましょう。登板順で、まずは才木投手です。先発したいと直訴したって?と話を振られると「え、なんで知ってるんですか !?」と驚いた顔。久保コーチに聞きましたよ。「そうなんですね。ビックリした(笑)」。やはり先発が目標?「はい、もちろん!新しいマウンドの、削れていないところで投げられるようにやっていきたいです」
この日の投球内容については「きょうは自分の中では全然よくなかったです。悪い方だと思います」と不満顔。「一番は、(フォームの)タイミングが全然合っていなかったと感じた。腕で投げようと上半身がいってしまって、うまくタメを作れなかった」。最後の方は?「最後まで、うまくいっていなかったですね。結果として、無失点でよかったなとは思いますけど」
最速149キロと、この日も140キロ台後半が多かったものの「スピードが出るのはタイミングだと思うし、ボールの質も変わってくる。理想は空振りですね。きょうも何球か空振りはありましたが、三振を取れていないし、指がかかって伸びていったというボールは少なかった」と納得できない様子でした。
初めての3イニングには「少しずつイニング数が上がってきているので、そこはよかったです。でも高校の3イニングとは違いますね。疲れはありませんけど、雰囲気の違いというか」とのこと。これで非公式戦も入れて5試合(8イニング)無失点になったものの「いつかは点を取られます」とクールな才木投手。最後に、こんなオトコマエな言葉で締めくくっています。
「結果がすべての世界。待っていてもチャンスは来ないから、自分で取りにいく姿勢は貫きたい」
「今後もいろいろ試していきたい」
浜地投手は、記者陣に囲まれて話し始めたところでカメラを向けたため、それが気になってしまったみたいです。めちゃくちゃ恥ずかしそうに下を向いていましたね。ごめんなさい!
初めての3イニングだったものの「高校の時は9回投げていたので、イニング的に問題はなかったです」という答え。ただ何となく投げにくそうというか、4回は1死を取ってからボールを連発していたのが気になります。四球を出した次の打者に2ボールとなったところで、坂本捕手がマウンドへ駆け寄りました。
「1イニング目、2イニング目はフォームを変えてやっていたんですけど、力が入らない感じで…。3イニング目は元に戻して、光が見えたというか。新しいフォームでやってみることを課題に試してみたけど、しっくりこなかったですね。その中でも修正ポイントは見つかったかなと。それがわかったのは収穫だと思います」
どんなふうに変えていたのか確認してみたら「最初の入り方で、普通は足を後ろに引いて入るんですけど、きょうは引かずに入りました」と言います。なるほど。これに関しては今後「とりあえず、前の形でやってみようかなと思います」という浜地投手。ただい「結果も大事ですが、いろいろ試しながらやっていきたい」と意欲は十分です。
「真っすぐを生かすための変化球に」
最後は藤谷投手。きっと変化球から入るだろうと思っていたら、先頭打者にはほとんど真っすぐ!その後も意表をついて真っすぐが多かったですねえ。「福原(育成)コーチに、きょうは課題を持ってやれと言われて、課題といえば真っすぐなので多めにしました。メッチャ腕を振って投げたけど142キロしか出なかった(笑)。145キロは投げたいですねえ。最速はパナソニックの時の146キロでした」
3回無失点、手応えは?「手応え…ないですねえ。打たれたのは全部、真っすぐだったんで」。その真っすぐと変化球の“関係”について、こんなことを話しています。「前は、変化球を生かすために真っすぐを良くしようと思っていたけど、今は真っすぐを浮かすための変化球にしようと考えを変えました。その方がいいんじゃないかとコーチにも言われて」
そのための課題は「体の使い方と、柔軟性です。筋力はあるので」と藤谷投手。体は硬い方?「硬いんですよ~!体全体はそんなことないんですけど、上半身が硬い。それを柔らかくしていけば、スピードも上がるかと。可動域を広げていくことですね。体重も増やしたい。今は96キロで、100キロくらいまで。体脂肪が今、10パーセントくらいだから、それは増やさずに」
しゃべりながら両手を背中に回して、指がつなげるかどうかやっていたんですけど、全然できていない様子でした。手足があんなに長いのに…とビックリ。かなりの硬さですねえ。頑張ってください。
※先日書いた18歳コンビ(当時)の記事です。<才木浩人投手と浜地真澄投手へ。母さんからの言葉>