不動産買いあさるテック大手 コロナ下背景にグーグル・アマゾン・フェイスブックが商業不動産市場下支え
米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米フェイスブック(現メタ)などの米テクノロジー大手が、コロナ下の価格下落を背景に商業用不動産への投資を拡大している。
オフィス・倉庫・小売店の不動産取得
米小売大手のウォルマートや米レストランチェーン大手のマクドナルドなどは自社店舗の不動産を自ら持つことが多く、従来はこれらの企業が米国の主要な不動産所有者だった。だが最近は、米テック大手がこれらに加わり、オフィスやデータセンター、倉庫、小売店舗用の土地・建物を買いあさっている。
グーグルは21年9月下旬に、ニューヨーク市マンハッタンのオフィスビルを21億ドル(約2400億円)で購入すると明らかにした。この金額はパンデミックが始まって以降、米国内のビル1棟の取引として最高額。米国の歴史の中で最も高額なオフィスビル売買取引の1つと言われている。
アマゾンは20年に、米連邦破産法11条の適用を申請して経営破綻した老舗百貨店ロード・アンド・テイラーのマンハッタンのビルを9億7800万ドル(約1100億円)で取得した。総面積約5万8500平方メートルのオフィスに転換する計画だ。
フェイスブックは20年にワシントン州ベルビュー市で、米アウトドア用品大手REI(レクリエーショナル・イクイップメント)の本社ビルを3億9000万ドル(約440億円)で購入した。
豊富な手元資金背景にハイリターン投資
テック大手が商業用不動産を買いあさる背景の1つには、彼らが持つ豊富な現金がある。それぞれの業界で市場を支配するテック大手はコロナ禍の需要増で業績が向上し、手元資金が記録的な水準に達しているという。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、カナダの資産運用会社ブルックフィールド・アセット・マネジメントのブライアン・キングストンCEO(最高経営責任者)は、「金利が過去最低水準で推移する中、低リスク債券などの証券を保有するよりも、不動産取得の方が高いリターンが得られる」と話している。
こうした中、マンハッタンやサンフランシスコ、シカゴなどのオフィス価格は下落傾向にある。これら米主要都市における不動産投資コストは1年半前に比べ低く抑えられている。
不動産保有額トップ3、ウォルマート、アマゾン、アルファベット
米調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、金融・不動産会社を除く米上場企業で土地・建物の保有額が最も大きい企業はウォルマート(1168億9000万ドル)。2位はアマゾン(573億2000万ドル)で、3位はグーグル親会社のアルファベット(497億3000万ドル)だ。
この後にマイクロソフト(475億9000万ドル)、AT&T(419億9000万ドル)、マクドナルド(379億3000万ドル)、インテル(375億3000万ドル)、ターゲット(361億9000万ドル)、ベライゾン(335億4000万ドル)、ホーム・デポ(273億8000万ドル)と続いている。
2位のアマゾンが保有する不動産の大半は物流施設だ。一方、3位のアルファベットの不動産保有額は2011年の52億ドルから大幅に増加した。アルファベットは21年4〜6月期時点で、1359億ドル(約15兆4100億円)相当の現金・現金同等物および短期投資を保有している。S&Pグローバルによると、この金額は金融・不動産会社を除く米上場企業の中で最大だという。
- (このコラムは「JBpress Digital Innovation Review」2021年9月30日号に掲載された記事を基にその後の最新情報を加えて再編集したものです)