最近使われ方に違和感のある「シンデレラフィット」が増えて来てない?由来や変遷について考えてみた
収納関係やアウトドア関係で見かけるスラング「シンデレラフィット」。物語「シンデレラ」に由来する表現で、「全く別物のギアやアイテムが偶然ぴったりはまる事」(筆者解釈)というニュアンスを持っています。
アウトドアフリークの方を含め、キャンパーなら見聞きしたことのあるこのワードですが、なんだか最近、違和感のある使われ方をしているケースが増えて来ています。
いい機会なので、使われるようになった経緯や由来について深堀りしていきましょう。
もちろん元ネタは「シンデレラ」のガラスの靴
絵本やアニメでも有名な「シンデレラ」。ざっくり説明すると、「継母と姉に虐げられるが、魔法の助けで舞踏会に参加し王子と結ばれる話」です。ここの「魔法」によりシンデレラにピッタリサイズのガラスの靴が作られ、お城に忘れてきた靴を頼りに王子がシンデレラを探す、というのが流れとなっています。
収納やアウトドアで使用されるようになる前は、アパレルでよく使われている言葉だったそうです。文字通り、ピッタリなサイズであることを表現しています。
転じて使われるようになった意味
その後、「シンデレラフィット」は2017年ごろから収納や雑貨が好きな女性を中心に広まったとされています(諸説あり)。折しも第二次キャンプブームのタイミングにあり、SNS全盛期。女性をはじめとしたインフルエンサーが使うようになり、アウトドア界隈でも使われるようになったと考えられます。
ところが、ことアウトドア関係についてシンデレラフィットといえば、意図せず作った2つ以上のギアやアイテムが、偶然ぴったりはまって収納効率が上がったり、耐久性や利便性が増すという意味なんです。本来のシンデレラとはちょっとニュアンスが違いますよね。ガラスの靴はシンデレラ専用に作られている訳ですので。
違和感のある表現とは
今回の本題である「違和感ある表現」というのは、同じメーカーが先行してつくった商品に対し、フィットするように作られた関連ギアに対して「シンデレラフィット」と表現されている事です。
上でも触れた通り、本来であれば偶然フィットした気持ち良さや喜びを含めて「シンデレラフィット」とすると思っていたのですが、きちんと寸法に収まるように作られていたという事だと、ちょっと違和感がある。そう思っている方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
誤用が正用になるケース
ここで由来に立ち戻って考えて見ましょう。シンデレラフィットは、シンデレラの為に魔法で作られたガラスの靴が、シンデレラを探す王子様の手によりシンデレラの元に戻ってきてフィットするという話でした。
そうすると、誤用となるのは「偶然フィットする方」という事になりますね。言葉は本来の意味から離れて使われるようになることもありますが、今回のケースでは筆者が誤用(に近い)方を正用と思っていたケース。とはいえ、偶然という文脈も間違いではなく、変遷の中で生まれた解釈の1つで良いと思います。
王子様目線のシンデレラフィット
もしかすると、アウトドアにおける「シンデレラフィット」は、王子様側目線なのかもしれませんね。誰のか分からないガラスの靴がついにフィットした喜びと、偶然ギアがフィットした喜びって似てると思いませんか?
アウトドアブームでたくさん言葉が生まれましたが、その中には本来意図する意味とちょっとだけ違う言葉がもっとあるかもしれません。そんなことを考えながらチルタイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。