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【パリ】11月はクリスマスのための辛抱月 外出制限 半月が経過

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
パリ・サンジェルマンデプレの一角(筆者撮影)

毎日30,000人以上の新規感染者数を受けて

フランスでは、外出制限期間が3週目を迎えました。

ちょうど2週間が過ぎた12日木曜日に、カステックス首相と関係大臣の記者会見がありました。今後、措置の緩和などがあるのかないのか、そのあたりが注目されていましたが、やはりというべきか、少なくとも12月1日まで制限は続くという方針で、新型コロナ感染拡大の勢いは依然として強力であることが確認されました。

さらに、もしも12月1日以降、現在休業を余儀なくされている個人商店などが再開できるとしても、外出制限措置の範囲内で行われるものであること。またその場合でも、レストランやカフェ、バーなどは除外されるだろうと言及しています。

個々人の最大の関心事はクリスマスと年末年始。今年は家族みんなで、つまり普段は離れて暮らしている家族、親族が一緒に祝えるのだろうかということですが、それを実現するためにも、11月はなんとか耐え忍んで欲しいというのが政府のメッセージの基本にありました。

外出制限2週目を振り返って

前半はフランスのメディアでもアメリカ大統領選挙のニュース一色。

そして週が明けた9日は、ファイザーが開発したワクチンの話題がトップニュースでした。

感染が拡大し、病院の受け入れがマックスに近づいていることは、連日更新されるスマートフォンの新型コロナ専用アプリケーションの数字でわかりますが、地方によっては、感染者が他の地方へヘリコプターなどで運ばれて入院というケースも出てきているようです。その場合、患者一人についてひとりの同伴が可能で、費用は政府が負担するとのこと(12日の健康大臣の会見)。

患者の移送は春にもだいぶメディアを賑わせましたが、付き添いへの配慮も合わせて考えるという措置は、春から改善されたことの一つでしょう。

ちなみに、この記事を書いている13日時点でのアプリによると、直近24時間での新規感染者数は33,172人、蘇生治療中の患者数は4,899人、集中治療室の占有率96.6パーセントとなっています。

生活者の肌感覚としては、パリ市内では、春の制限時に比べると人通りが数段多いと実感します。私自身ほぼ連日、自宅から1キロ圏内1時間の制約の中で外に出て、買い物をしたり、公園を歩いたりしていますが、テレビでインタビューされている人の中には証明書を携帯せず、あるいは外出開始時間の異なる複数の証明書を携帯して表に出ている人も…。

(そういうことをする人もいるだろう)とは思うものの、テレビのインタビューに対して悪びれもせずに答えてしまうあたりに春とは違う温度差を感じます。

経済は春よりも良い?

産業界の苦境も、連日のように具体例が報道されています。

「ソシエテ・ジェネラル」銀行がおよそ600人を解雇予定(9日、フランス2のニュースから)

「プランタン」デパートが全国展開している19店舗のうち7店鋪を閉鎖へ(10日、同上)

日本企業「ブリヂストン」のべチュルヌの工場閉鎖決定。863人が失業の可能性(12日、同上)

以上は必ずしもコロナ禍ばかりが原因とは言えないものですが、フランス国立銀行による11月の経済見通しは、前年同月比マイナス12パーセントと、経済全体の落ち込みは必至です。ただし、このパーセンテージは春の外出制限時に比べると3分の1にとどまっているのだそうで、コロナ禍でも極力経済を動かす方向で進んでいます。

11月ともなれば、規模の大小にかかわらず商店の書き入れ時。家族一人一人にクリスマスプレゼントを用意するという習慣が多くのフランス人にはあります。

品目によっては、年間総売上のうち11月、12月の2ヶ月が占める割合が半分近くになるようで、特に顕著なのが玩具(48パーセント)と香水(40パーセント)。しかもおもちゃの場合はそのうちの67パーセント、香水は88パーセントが店鋪で買われてきたことから、11月の休業というのはかなりの痛手です。

店は開けられないものの、注文したものを店頭でピックアップする「クリック&コレクト」という方法で販売を続ける書店、花屋さんなどの取り組みは前回ご紹介しましたが、業種を問わず、このシステムが広がりを見せています。

また、ロレーヌ地方のナンシー都市圏などでは、地元の小売店が活用できるインターネットのプラットフォームを市が制作。アマゾンや楽天に出品するのと同じような形式ですが、手数料がかからない上に、配送料金も市が負担することで地元商店のテコ入れをするという目的です。

ところで、ここからは今週の個人的な消費活動レポートを…。

iPhone12 proのネット予約が、フランスでは11月6日14時からスタートしました。この機会に私は長年使い込んだ7plusを卒業することにして、14時を待ち構えて予約開始。サイトが切り替わらなかったり、数時間後にどういうわけクレジットカードがブロックされて決済不能のメールがあったりと、すったもんだを重ねた末、めでたく13日の初回頒布分を確保できました。

本当ならば、アップルストアで受け取りたかったのですが、数日前からパリの全店が休業となっていて、結果、私がそれを受け取ったのは、半分シャターを下ろしたおもちゃ屋さんでした…。

新しいiPhoneが我が家にやってきた一日はパリの街の風景とともに動画にしましたので、ご興味のある方はどうぞこちらをご覧ください。

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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