「あの出来事でメディアはネットに一瞬閉じてしまった」フジ亀山次期社長が語るテレビの現状
フジテレビの次期社長に内定している亀山千広常務が、ベンチャー起業家や投資家が集まるイベント「Infinity Ventures Summit(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット、IVS)2013 Spring」に登壇し、ネットとテレビの関係、自身が手がけた映画「 踊る大捜査線」などについて語った。
「日本からイノベーションを生み出せ!」のセッションに、楽天の三木谷浩史会長兼社長、GMOインターネットの熊谷正寿グループ代表、LINEの森川亮社長らと登壇。ひとりネクタイを締めていた亀山氏は「居心地が凄く悪い。テレビって古いんだな」と会場を笑わせた。
「日本のマスメディアは方向性を悩んでいる。ちょっと迷いにはいっている。最大の理由は皆さん達の存在」「すぐに映像が撮影できる。皆さん記者。ニュースを更新する気軽さと判断力が問われている」と、その要因がスマートフォンやソーシャルメディアの進化により、誰もが記者になっている状況にあると指摘。メディアの経営にネット企業を参考にしたいとも述べた。
さらに2005年ごろに起きた、ライブドアによるフジサンケイグループの中核企業だったニッポン放送の買収などネット企業とテレビ局の関係についても触れた。
「あの出来事で、メディアの人が一瞬閉じてしまった。イノベーターというのはイコール、モンスター。分からない人たち。次から次に新しい物をつくっている。一方、テレビ局は番組はつくっているが、テレビをつくってない。ハイビジョンになったら、セットの釘が目立つとか、女優さんのアップはどうするのか真剣に考える。テレビ局、マスメディアはかなり受け身だと思う」と振り返った。
モデレーターの関口和一日本経済新聞編集委員から、マスメディアとソーシャルメディアの連関について質問があり、日本テレビ出身の森川社長が「テレビ局に対して社会が厳しいことがある。政府も社会も含めてメディアに対する理解度もあっていいのでは」と話すと、亀山氏は「人が集まるところがメディア。SNSやLINEはすごいメディア」と返した後に、「踊る大捜査線で考えたのは、逮捕劇シーンが一切ない刑事ドラマ。そうするとサラリーマンものという視点が見えてきた。警視庁と所轄の関係。隙間を狙って調べたら逆転の発想が生まれた。当てるためには同じことやってたら当たらない。映画のテルマエ・ロマエは、古代ローマ人が主役だと聞いてジョージクルーニーとかダメだと言ったらスタッフが阿部寛どうですかと言ったから、一発でOKしました。日本人がローマ人が演じるのは初めてでしょう。ひらめきと隙間をどう考えるか、勘とノリが通れば企画は成立する」と語った。
IVSはインフィニティ・ベンチャーズLLPが主催。年2回開催され、2013 Springは5月23、24日に札幌市内のホテルを会場に行われ、約600人が参加した。