重量級のレジェンド西島洋介が語る復帰への想い「最後はボクシングに戻って終わりたい」
日本初クルーザー級で世界王者になった西島洋介氏(48)。
日本人には不可能と言われた階級でトップに上り詰めた西島氏が、現役時代を振り返った。
西島洋介とは
中学生から格闘技に親しんでいた西島氏。
父親が見ていたタイソンの試合に衝撃を受け、ボクシングに興味をもったという。
「あの試合を見て、思わず電気にぶら下がった紐でパンチの練習を真似してました。自分より大きな相手にも怯まず、強敵を倒していくタイソンの姿に憧れました」
そこから自己流でボクシングを始め、高校2年から近所のオサムジムに入門した。
高校卒業後、すぐにプロデビューしKO勝利を量産。
27戦24勝(15KO)2敗1分という戦績を残し、日本人として初めて世界クルーザー級王座(WBF)を獲得するという金字塔を打ち立てた。
2003年にボクシングを引退し、総合格闘技に転向。PRIDEなどに出場するなど、幅広く活動していた。
憧れのヘビー級
現役時代の大半は海外でキャリアを積み、本場アメリカのボクサーとスパーリングをこなしていた。
ミドル級、スーパーミドル級、クルーザー級を制覇した世界3階級王者のジェームズ・トニーをはじめ、WBO世界ヘビー級王者のレイモン・ブリュースターなど数々のトップ選手と手合わせした。
「相手は100キロを超えている選手ばかりで、自分が打っても効きませんでした。一番強くなりたかったからヘビー級にこだわりましたが、なかなか体重は増えませんでしたね」
肉体改造を試みるも、ベスト体重が84.5kgだったためクルーザー級(当時86.182kg以下) で戦った。
憧れは捨てきれなかったが、100キロを超えるヘビー級では体格的に難しかった。
「ヘビー級では戦えませんでした。大きな視点で見るとこちらのスピードが速くても、パンチが見えてしまう。打っても効かない、壁を打っているようでした」
クルーザー級がベストの西島にとってヘビー級は別物だったようだ。
プロボクサーとして最後の試合が2003年。勝てば日本で試合ができるチャンスもあったが、怪我が重なり敗戦。
そこでボクサーとしての現役生活にピリオドを打った。
現役時代を振り返り「全てが恵まれていた。環境も整えてくれてサポートも手厚かった。周囲の人に感謝しかない」と語った。
復帰への想い
最近、レジェンドの復帰が大きな話題を呼んでいる。
2020年11月には55歳のマイク・タイソンが、52歳のロイ・ジョーンズ・ジュニアを迎えて復帰戦。
また、今年の9月にはヘビー級で59歳のイベンダー・ホリフィールドが、元UFC王者ビクトー・ベウフォートとエキシビジョンマッチを行った。
レジェンド達の復帰に西島氏は「現役と今では強さが違うので、本当はあまりみたくないのです。世界最強だった時と動きが違いますから。ボクサーは最強でなくてはならないと思っています」と語った。
西島氏は今年48歳、引退して8年経つ。
「この歳ですが、第二の引退をしたい。なので、今も試合ができるよう走っています。チャンスをもらえるのであれば、戦いたいです」
ボクシングを引退してからは、総合格闘技やキックのリングにも上がったが、格闘技を始めるきっかけとなったボクシングへの思い入れは強い。
「格闘技の中でボクシングが一番強いと思っています。だからこそ最後のキャリアはボクシングで飾りたいのです」
日本の重量級の歴史を作った西島氏、まだ燃え尽きていない。