X Pro(TweetDeck)、有料になっても使う価値はあるか
8月16日ごろから、X(Twitter)の公式Webアプリ「X Pro(TweetDeck)」が有料プラン利用者向けの機能になりました。
これまでは無料で使えていた機能ですが、お金を払ってでも使う価値はあるのでしょうか。主な機能やメリットから考えていきます。
カラムとデッキで効率的に情報収集
もともとサードパーティのアプリだったTweetDeckが、当時のTwitter社に買収されて公式アプリになったのは2011年のこと。意外と長い歴史があることが分かります。
長く使われてきた旧バージョンには最近の新機能の実装が遅れていたものの、7月には新バージョン「TweetDeck 2.0」が正式に提供を開始。認証バッジやコミュニティノートの表示などに対応しました。
その後、TwitterからXへのブランド変更に伴ってTweetDeckは「X Pro」に改称。そして今回、月額980円の有料プラン「X Premium(Twitter Blue)」向けの機能になりました。
これまでTweetDeckを使ってきた人にはもはや説明不要かと思いますが、これから利用を検討している人の場合、お金を払ってでも使う価値があるのか、気になるところでしょう。
Twitterの基本的な機能は無料で使えますが、TweetDeckではさまざまな種類のカラム(列)を追加することで、画面を自由にカスタマイズできるのが特徴です。
たとえば新聞社が運営するアカウントを並べてみると、各紙がどのような投稿をしているか一目で把握できます。アカウントを1つずつ見ていくよりも効率的です。
基本的には大きな画面を効率的に使うことを前提にしたWebアプリといえます。筆者の仕事環境では、サブのディスプレイに表示させています。
筆者は仕事でニュースを扱っており、メディア各社のアカウントをまとめた「リスト」を作ってカラムに追加しています。また、Twitterの「日本のトレンド」では、ニュースに載らないような話題も知ることができます。
こうして並べたカラムは「デッキ」として登録できます。仕事や趣味といった単位でデッキを分けておき、切り替えるという使い方が良さそうです。
たとえば、携帯電話業界の動向を定期的に知りたいのであれば、各キャリアの公式アカウントをリスト化し、それを並べたデッキにしておきます。
このように、自分の思い通りにデッキを作り込むことで、毎日の情報収集を効率化したい「プロ」向けのツールがTweetDeckといえます。
Twitterには意外と高度な検索機能もあります。たとえば「iPhone 15」について、「Lightning」や「USB」という単語を含まない日本語の投稿だけを表示するのが、以下の検索式です。
慣れていない人に使いこなすのは難しそうに見えますが、TweetDeckならフォームに従って検索式を作り、カラムに追加することができます。
新バージョンにしかない機能はあるものの、旧バージョンに比べて動作はやや重たいようです。また、バグと思われる部分も残っています。
旧バージョンを惜しむ声はあるものの、古いAPIに依存しており、コストやセキュリティ面での課題があったとみられています。有料プランの利用者であっても、旧バージョンに戻すことはできないようです。
また、複数アカウントの運用は手順が変わっています。たとえばTweetDeckで有料アカウントと無料アカウントの2つを使いたい場合、無料アカウント側の設定画面から「アカウント権限の付与」で、有料アカウントを招待します。
すると、有料アカウントに通知が表示されるので、無料アカウントを「承認」します。これでTweetDeck上で2つのアカウントを切り替え可能になり、それぞれのタイムラインやリストをカラムとして追加できるようになります。
有料ならではの機能強化に期待
これまでTwitterの有料プランは、長文投稿や収益化の機能に代表されるように、より多くの投稿をするとか、注目を集めたい人に向けた機能が中心でした。
これに対してTweetDeckは、情報収集や複数アカウントの管理に使いたい人に向けた機能となっており、これまでにない層に有料プランを訴求するものになっています。
ただ、Twitterのヘビーユーザーであれば元が取れる金額とはいえ、これまで無料で使えていたものが単に有料になるというのは、納得いかない人も多いでしょう。
そういう意味では、イーロン・マスク氏が機能強化の意向を示しているのは朗報といえます。「これなら有料の価値がある」と思えるような機能の充実を期待したいところです。