創業元禄年間の秋色庵大坂屋さんの「おはぎ」は蓬入りの限定品!瑞々しいあんこと上品な香りの相性は抜群
東京都港区三田に暖簾を掲げる和菓子屋「秋色庵大坂屋」さん。港区といいますとハイセンスだったりお洒落なイメージが付きまといますが、秋色庵大坂屋さんがお店を構えるのは慶応義塾大学の前。アカデミックな雰囲気漂うエリアです。
東京、いえ、江戸での創業は元禄年間(300年以上前)というところまでは判明しているのですが、関東大震災や幾たびの戦禍によりその記録も現在は確かなことは謎に包まれた部分も多いとのこと。とはいえ、以前は中央区日本橋エリアにお店を構えており、約100年前の関東大震災を機に移転、現在に至るそうです。
さて、お彼岸の季節になると数々の和菓子屋さんから個性豊かなおはぎが発売されていますね。秋色庵大坂屋さんにも、「このお店ならでは」というおはぎが。実は春のお彼岸にもいただいたおはぎなのですが、それがまた忘れられずこうして思いをしたためている次第です。今回は大坂屋秋色庵さんの「蓬入りおはぎ」をご紹介。
ころんと小柄なおはぎは、粒餡とこし餡のご用意。敷紙の湿り具合からもわかるように、非常にしっとりと瑞々しい粒餡とこし餡なのです。特にこし餡は、粒子が小豆の旨味と豊かな水分を抱きかかえたままさらりとした口当たりとなっております。
一見すると小柄なおはぎなのですが、秋色庵大坂屋さんの個性が光るのはぱくりと一口いただいてから。なんと、中の糯米には蓬が!蒸しあげる前の給水させた糯米に刻んだ蓬を混ぜてから搗き上げます。それは草餅とは違うの?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、お餅になる前のいわゆる半殺しという粒立ちともちもち感双方を楽しめる絶妙な具合に仕上げられており、尚且つ蓬の風味もあくまで軽やか。ふんわりと漂う蓬は心地よく、清涼感というよりも上品さが際立ちます。
あっさりとした体に染みていくような餡子に花を添えるような役割の蓬、というポジションはなかなか珍しいのではないでしょうか?この加減をぜひ沢山の人にも味わっていただけたらと思います。
また、蓬の風味がちょっと青臭くて苦手…という方、一歩踏み出してぜひチャレンジしてみてくださいね。この柔らかで慎ましやかな香りに、意外と食べられると思うかも?