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ロスではエコバック禁止、仏ではワイン飲まなくなった コロナで各国のスーパー事情は?

池田恵里フードジャーナリスト
パリ在住のIさんが送ってくださったスーパーのレジの状況(Iさん撮影提供)

日本の買い物での緩さ、危うさ

緊急事態宣言の後、可能な限り、自宅待機している日々。買い物をすべく外出すると、感染になりうるのでは?と思える光景がまだまだ日本で見かけられる。

11日ではレジに並ぶ際、「並ぶ際、間隔を開けて並んでください」と看板が置かれるようになった。

その後、床にテープが貼られ、1メートルほどの距離をとってもらえるように待つ場所をテープで指示されていた。

ローソンでは、レジと顧客の間にビニールシートで感染しないように遮断している。

とはいえ、自粛制限からどうしても一回あたりの食材購入がこれまで以上に多く購入され、そのためスーパーの中にいる待機時間がおのずと長くなる。そして何といっても店員が素手で食材を扱っており、お金の受け渡しも同様なのだ。ウイルスは目に見えない。ゆえに手渡しさえも危ないのではないか。

厚生省によると、食品からの感染はないとされている。

ここでは食器と書かれているが、食材に包まれているパックなども不特定多数が接する可能性が高いのではないだろうか。

問10 食品を介して新型コロナウイルス感染症に感染することはありますか?

新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路は飛沫感染と接触感染であると考えられています。2020年4月1日現在、食品(生で喫食する野菜・果実や鮮魚介類を含む。)を介して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は報告されていません。

なお、食品や食事の配膳等を行う場合は、不特定多数の人と接する可能性があるため、接触感染に注意する必要があります(※)。食器についても同様で、清潔な取扱を含め十分お気をつけ下さい。※接触感染は新型コロナウイルス感染症の主要な感染経路の1つです。

コロナウイルスは熱(70度以上で一定時間)及びアルコール(70%以上、市販の手指消毒用アルコールはこれにあたります)に弱いことがわかっています。製造、流通、調理、販売、配膳等の各段階で、食品取扱者の体調管理やこまめな手洗い、手指消毒用アルコール等による手指の消毒、咳エチケットなど、通常の食中毒予防のために行っている一般的な衛生管理が実施されていれば心配する必要はありません。WHOからの一般的な注意として「生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費を避けること、それらの取り扱い・調理の際には注意すること」とされています。

出典:厚生省出典

そこで世界各国に住んでいる方々に募集をかけ、現状の現地での食生活を電話インタビューすることにした。

既に感染拡大し、ロックダウンされているアメリカ、ドイツ、フランス、そしてスペインに在住の方にお話を伺った。

ロサンゼルスでの厳しい現状

アメリカのロサンゼルスに在住のななさん。インタビューは7日でちょうど緊急事態宣言が日本で発令された日であった。

ななさんは両親が日本におられることもあり、日本の対応が遅れているということに危機感を感じ、非常に心配しているという。

ななさん「今日から買い物に行くのも2週間禁止となりました。これまで外出自粛していても患者数が増え続けているからです」

2週間前に外出規制がかけられた際、スーパーに人々がどっと押し寄せたと言われる。ようやく今、落ち着きつつある。

しかし今も売り場はがらんと閑散とした状態である。

ななさん「まずはお米がなくなりまして、今も米、小麦粉、パスタなどがない状況です」

ロスアンゼルスのスーパーの米売り場(ななさん写真提供)
ロスアンゼルスのスーパーの米売り場(ななさん写真提供)

人数制限もなされ、ななさんの近所のスーパーでは1回あたり20人入店と決まっているそうだ。

マスクは全体に足りない状況で、ない場合はスカーフを口に巻いて外出するようにと政府から言われており、マスクなしで外出したならば、注意されるという。手袋もつけているとのこと。

またビーチや公園、そして駐車場も閉鎖されている。

そして家族でさえ、集まってはいけないと言われ、もしも通報されたら罰金が科せられる。

ななさん「本当にどこにも行けないのです」

ではデリバリーはどうなのか?を聞いてみると

ななさん「アマゾンでの注文も遅れて来ます。到着の際は、先に支払いを済ませ、商品はドアの外に一端、置いております。レストランは店舗内で食べられないので、デリバリーでの食を配送しているところもあります。配送費が店側が無料にしているため、注文している人も多く見受けられるようになりました。それとロスアンゼルス市長が今回に限ってアルコールをデリバリーすることを、これまで禁止されていましたが今は許可がでました」

アマゾンに関しては、配送するために雇用されている人々がストライキが起こっている。理由は、配送し荷物を渡すことは現状、危険な業務で賃金が見合わないからだ。うまく物流がまわっていないようだ。

アルコールのデリバリーが許可されたとはいえ、店側の利益は少なくなっているという。

当然、外食は日増しに倒産が相次いでいる。

エコバッグは禁止

参考になったことは、エコバッグの禁止である。

エコバッグは、これまで良いとされていたものである。私もマイバッグをもって買い物をすることが多かった。しかしななさんは新型コロナウイルスが付着していることもあり、ロスアンゼルスでは禁止となっていると言われる。

エコの観点から見れば、良いことではあるが、今回のコロナなどの感染から見ると、そうでもないのだ。

食材の扱い方

次に食材は包まれた紙パッグは触らないようにごみ箱に捨てる、もしくはアルコールを湿らせた紙で食材を包んでいる袋をふき、袋ごと触らずに捨てる。

中の食材もアルコール除菌する、ない場合は御酢などで拭いてから冷蔵庫とのこと。

今後の食

私「今後、食に関して、価値観が変化すると思いますか」

ナナさん「変わると思います。ストック、ストック、ストックです。第2波が来るとも言われておりますので、それに踏まえ、食の在り様も変わると思います」

確かに中国では終息しつつあると言われていたが、また第二波が来ているとも。

つまりウイルスに関しては、なくなることを目指すのではなく、いかにどのように付き合っていくか、あらゆる側面で考える時期に来ているのではないか。

ドイツではどうなのか、ハイデルベルクに住むみなさんをインタビュー

次にドイツではハイデルベルクに在住されているみなさんにお話を伺った。

みなさんが住んでいるハイデルベルクは大都市ではないこともあって、食糧については問題ないとのこと。

ハイデルベルクのスーパー(みなさん撮影提供)
ハイデルベルクのスーパー(みなさん撮影提供)

勿論、スーパーなどのレジで待つ際、2メートル開けて並ぶことが義務付けされている。

ドイツは比較的、感染拡大はコントロールされている。

初期の段階でPCR検査を敏速に行ったことで早い段階で防止できたとされる。

まずドイツでは、3月16日からほとんどの州で、学校や幼稚園がイースター休暇終了され、4月19日まで、5週間閉鎖となっている。それ以前に自主閉鎖を発表した施設もあるが、17日からは美術館、映画館、スポーツ施設、コンサートホール、クラブ、バー、動物園、公衆浴場、観光施設なども営業停止、さらに公園など子供の遊び場も使用禁止になった。各種イベントはもちろん禁止されている。

18日からは、飲食店の営業時間を午前6時から午後3時までに制限。テーブルの間隔は最低1.5メートル以上確保し、かつ入店は最大30人までという条件付きだ。3時以降は、テイクアウトもしくは配達のみ可能となる。

いまのドイツでは「外出自粛」により警察が監視し、違反すると罰則となる。

みなさん「ドイツは政府がきちんと拡大する前に検査をしたこと、そして国の社会保障が充実していることも大いに感染を出来るだけ最小に止められたのではないかと思っています。そして何よりドイツの方々は一人一人が日々の生活をいかに健康的に過ごすかを考え、それが習慣になっていることも大きいと思います。散歩、良い食事、良い睡眠によって、免疫を上げていることが感染拡大を防止しているのかもしれません」

パリのIさん

次にパリに在住されているIさんに聞く。

Iさん「食事については日常と変わらないです。買い物の制限は日数の規制はないのです」

パリ在住のIさんからの写真 卵の陳列状況(Iさん写真提供)
パリ在住のIさんからの写真 卵の陳列状況(Iさん写真提供)

パリのスーパーは、人と人との距離は1メートルの張り紙がなされ、テープが貼られている。

パリもドイツ同様、エコバックが主流となっている。

パンは袋に入っている、もしくは野菜は個々で袋に詰めて測る。それを自宅に戻ってアルコールで除菌しているとのこと。それもあってか消毒液は50mL2ユーロ以上の価格では3月の中旬から禁止されている。

消毒液は悪質な転売を防ぎ、必要な人に届かないことからそのような処置がなされたそうだ。

外出禁止令でウーバーの利用回数も限られていること、そして飲食店も閉店しているため、アマゾンに集中しているようで、頼んでいても時間がかかると言われる。

レストラン、カフェもクローズされているので、自宅で時間をかけた調理するようになったとか。

新型コロナウイルスによって、自宅で家族で食べる機会が増えたとのこと。

Iさんが言われたことで印象的だったのは「栄養に気を使っているのか、ビオガニックの野菜を購入されている人々が多く、実際、陳列されても、すぐになくなっているんです」

フランスと日本との大きな違いは、特例外出証明書(自分で外出理由等を記載し署名する)が必要なこと。近所でスポーツは一日1時間は良いとされる。

Iさん「おうちから出ないように、とマクロン大統領が一生懸命が外出制限してくださいと言ったのにもかかわらず、それを無視をしてピクニックを行った結果、増加したんです。相当、厳しく律しないと難しいです」

感染拡大の一つの要因として、アメリカ同様、マスク文化がないことも大きいと言われる。

とはいえ、保証に関しては就業停止しても国が100%保証されており、しかも学校が休業になっても、病欠扱いで収入は確保できることも大きい。企業への支援に関して日本より万全で、家賃、ガス、電気、水道代は先送りとなっている。

新型コロナ特別紙面 COVID-19 仏緊急対策枠、11兆円へ倍増 経済成長、年6%減予測

2020.04.11 朝刊 

 【パリ共同】フランスのルメール経済・財務相は9日、新型コロナウイルスの感染拡大阻止のため適用した外出制限などで打撃を受けている国内経済への緊急対策枠を、これまでの2倍以上となる1千億ユーロ(約11兆8500億円)規模へ拡大すると明らかにした。また今年の経済成長率は戦後最悪のマイナス6%と予測した。レゼコー紙がインタビューを報じた。

 これまでは450億ユーロの枠組みだったが、政府が従業員の給与の約84%を補償する一時帰休制度や、税などの納入延期措置を利用する企業が急増。一時帰休制度は、既に約62万8千社が従業員計約690万人を対象に申請しており、政府は予算をこれまでの85億ユーロから200億ユーロに拡大する。

 また小規模自営業者らへの支援金について、これまでは1500ユーロをまず支給し、条件次第で2千ユーロを追加するとしていたが、追加額を5千ユーロに増やす。

出典:四国新聞社

最後にIさんは強く「しばらくはスーパーにはいかない方が良いと思います。どうしても自粛のため、1回購入する量が多い人々が来店しているので、危険です」

スペインのマドリッドに住むなみさん 拡大減少

マドリッドで仕事をされているなみさんにインタビューした。

スペインのスーパーは非常に良い品揃えで知られているところ。なかでもメルカドーナは世界的に有名なスーパーである。

現状、メルカドーナでは、入る前に手袋を渡され勿論、入場制限がされているという。

出てくる人に合わせて、入店できるといった具合である。

そして品揃えも以前より少ない。

スペインのメルカドーナ、間隔をあけて入店している様子を送って頂きました(なみさん提供)
スペインのメルカドーナ、間隔をあけて入店している様子を送って頂きました(なみさん提供)

なみさんはメルカドーナのスーパーの様子をメッセージでこのように書いてこられた。

魚屋さんのスペースもあるのですが、ここにもコロナ感染予防で緑色の線が引いてあり、ここから先に入らないようになっています。

子供のいる家庭はお菓子作りをするせいか、小麦粉が売り切れていました。

肉のコーナーも通常は上の段まで商品が並んでいますが、仕入れを調整しているのか上のほうに置いてあることが少なくなりました。

冷凍コーナーのピザ、スナック類、アルコール、清涼飲料水類が品薄です。

なみさんが送ってくださった写真でもわかるように緑色の線が引いてあることがわかる。

魚売り場、緑の線が床にあり、入らないようになっている(なみさん写真提供)
魚売り場、緑の線が床にあり、入らないようになっている(なみさん写真提供)

少しずつ感染者が減少している

スペインに在住のなみさん曰く、今は緩やかに感染者が減少しているという。

イタリアでまず感染者が多く多発し、そのイタリアから来た観光客がスペインに来たこと、サッカーの試合もあり、スペインで感染拡大したとのこと。

今も外出は厳しく管理され、なんと犬の散歩は良いが、人間一人での散歩はダメで警察がパトロールしているとのこと。

外出制限が始まって、ちょっと離れたところで買い物をしようとしたら、警察の方に呼び止められ「どこに行くのか」と聞かれるほど厳しい。そのような状況から運動がままならないことから不眠に悩む人が多く、ビール、ワイン、ポテトチップが品薄とのこと。

家に閉じ籠っているため、ストレスが相当きていると言われる。

外食は大ダメージ

さて外食についてお聞きしたところ、スペイン全体で閉店しており、なおさんの友人でレストランをなさっているところも大変で雇っている従業員の人を一度、解雇してしまうと3カ月雇用できない法律があり、このことから、休業手当で補っているとされる。

4か国を通して

今回、アメリカ、ドイツ、フランス、そしてスペインの食の事情を垣間見ることが出来、改めて日本の緩さ、経済的支援に対し、もっとスピードアップが必要と思った。できうる限り外出は徹底して控える。一人一人、自覚を持つことでスペインのように減少するようになる。

政府の対応、そして周辺を考えると、まず自分の身体は自分で守る。そしてカルフォルニアのナナさんが言われた言葉が印象的だった。

「ある一人の男性が感染にかかってしまい、70代のお父さまに移って亡くされた。そして最後も会えなかった。それは本当に悔やんで悔やみきれないと聞きました。ロスアンゼルス市長も『あなたの無責任な行為が他の人の命を奪うことになる』ときつく言われた。とにかく、出歩かないようにしてください」

最後に

4月25日訂正

取材した7日では、Iさん「ワインのボトルを持って購入されている人が少なくなった」というお話であったが、その後、家に籠っているため、むしろ多いとのメールでのご指摘を受け、削除させていただきました。

フードジャーナリスト

神戸女学院大学音楽学部ピアノ科卒、同研究科修了。その後、演奏活動,並びに神戸女学院大学講師として10年間指導。料理コンクールに多数、入選・特選し、それを機に31歳の時、社会人1年生として、フリーで料理界に入る。スタート当初は社会経験がなかったこと、素人だったこともあり、なかなか仕事に繋がらなかった。その後、ようやく大手惣菜チェーン、スーパー、ファミリーレストランなどの商品開発を手掛け、現在、食品業界で各社、顧問契約を交わしている。執筆は、中食・外食専門雑誌の連載など多数。業界を超え、あらゆる角度から、足での情報、現場を知ることに心がけている。フードサービス学会、商品開発・管理学会会員

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