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欠場15試合以上の本塁打王はいるのか。ア1位のジャッジはすでに欠場16試合。ナ1位のアロンゾも離脱

宇根夏樹ベースボール・ライター
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)Jun 3, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月9日、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、シーズン17本目のホームランを打った。ア・リーグで17本塁打に達したのは、大谷が3人目だ。19本塁打のアーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)と17本塁打のヨーダン・アルバレス(ヒューストン・アストロズ)は、現在、故障者リストに入っている。

 ジャッジは、6月3日の試合でフェンスに衝突し、右足の親指を痛めた(「フェンス激突のファイン・プレーは「高価な代償」を伴うのか。ジャッジは翌日のラインナップから外れる」)。今シーズンは、4月下旬から5月上旬にかけても、故障者リストに入っている。休養の1試合を含め、欠場はすでに16試合を数え、ここから、少なくともあと3試合は出場できない。

 アルバレスは、DHとして出場した6月8日の試合中に、右脇腹の痛みを訴え、2打席目には立たなかった。

 また、ナ・リーグでは、両リーグ最多の22本塁打を記録しているピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)が、アルバレスと同じ6月9日に、こちらは前日まで遡って故障者リスト入りした。7日の試合で左手首に死球を受け、MLB.comのアンソニー・ディコモらによると、復帰まで少なくとも3~4週間を要するという。

 今世紀に入ってから、本塁打王を獲得した選手は、延べ49人を数える。彼らのうち、46人は欠場14試合未満だ。例えば、昨シーズンの場合、ア・リーグの本塁打王、62本塁打のジャッジは、162試合中157試合に出場した。ナ・リーグで最も多い、46本のホームランを打ったカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)の出場は、162試合中155試合だった。

 一方、2009年のカルロス・ペーニャは欠場27試合(出場135試合)で39本塁打、2014年のジャンカルロ・スタントン(当時マイアミ・マーリンズ/現ヤンキース)は欠場17試合(出場145試合)で37本塁打、2021年のフェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)は欠場32試合(出場130試合)で42本塁打を記録し、それぞれ、ア・リーグ、ナ・リーグ、ナ・リーグの本塁打王となった。

 ペーニャとスタントンの離脱は、よく似ている。ペーニャは9月7日のダブルヘッダー1試合目に左手の人差し指と中指を骨折し、スタントンは9月11日に顔面を複雑骨折。どちらも投球が当たったが、死球ではなく、スウィングによるストライクと判定された。2人とも、復帰することなく、ペーニャはチームの138試合目以降、スタントンは146試合目以降を欠場した。ちなみに、フロリダ州に本拠を置くチームの選手という点も共通する。ペーニャはタンパベイ・レイズ、スタントンはマーリンズでプレーしていた。

 ペーニャは、骨折の時点で6本差をつけていたマーク・テシェーラ――ペーニャが欠場した9月7日に出場していて、ダブルヘッダー2試合目に2本のホームランを打った――に並ばれ、本塁打王を分け合った。スタントンが骨折した時点で、ナ・リーグ2位には7本差(30本塁打)のアンソニー・リゾー(当時シカゴ・カブス/現ヤンキース)がいた。このトップ2は、最後まで変わらず。本数は、37本と32本だった。

 2年前のタティースJr.は、故障者リストに3度入った。4月と7月に左肩を痛め、5月は新型コロナウイルスに感染した。ただ、7月末に離脱した時点で、32本塁打のタティースJr.を除く、ナ・リーグの選手はいずれも25本以下。しかも、25本塁打で2位のシュワーバーは、その数日前に、ワシントン・ナショナルズからア・リーグのボストン・レッドソックスへ移籍。24本塁打で3位のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)は、7月10日に右膝の靱帯を断裂し、シーズンを終えていた。実質的には、他の選手に9本差以上をつけていたということだ。シーズン終了時の2位には、タティースJr.と4本差、マーリンズとブレーブスで計38本塁打のアダム・デュボール(現レッドソックス)が位置した。

 現時点における、各リーグの本塁打トップ10は、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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