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さらに意味を増す、日々是気付。『嵐のワクワク学校2016』

杉谷伸子映画ライター

6年目を迎え、すっかり6月の風物詩となった感がある『嵐のワクワク学校』。大阪・東京で全4日間6公演を行い、246,000人を動員。VTRと会場での実演を交えて毎年楽しませてくれるが、今年は『嵐のワクワク学校2016 毎日がもっと輝く5つの自由研究』と題して、コンクール形式で発表された。最終日6月26日の17時公演を取材。

山中伸弥教授が付属研究所所長に

「第17代 二宮校長」「第24代 相葉校長」「第25代 櫻井校長」「第26代 大野校長」「第30代 松本校長」とレフト方向には、貫禄もありつつ、どこかユーモラスな歴代校長の巨大な5つの肖像画。ライト方向には研究員のジャニーズWESTの面々の肖像画が飾られて、授業開始前から楽しませてくれる趣向は今年も健在。

そして、研究室で机に向かう男性の姿に続き、二宮和也相葉雅紀松本潤大野智櫻井翔と、CMや主演ドラマとリンクとした光景からののメンバーが次々と招集されるオープニング映像が流れ出すと、東京ドームは一気にコンサート会場さながらの歓声の渦に包まれる。こうしたオープニング映像で湧かせられるのも、ドラマやCMに引っ張りだこの嵐ならでは。

今年は、「毎日がもっと輝く5つの自由研究」と題して、ワクワク学校付属研究所で嵐先生たちが学生時代に実際に行った夏休みの自由研究や今興味を持っていることをテーマに、研究の成果をコンクール形式で競うという趣向だ。

昨年は9名の生徒Hey!Say!JUMPが参加したが、今年はジャニーズWEST重岡大毅桐山照史中間淳太神山智洋藤井流星はま田崇裕小瀧望)が助手として参加。さらに、山中伸弥教授が、ワクワク学校付属研究所の所長としてVTRで登場。「ワクワク学校の校訓は、日々是気付。実は日常生活のなかにたくさん転がっているんです、研究材料が。嵐の先生一人一人がどんなことに気づい私たちをワクワクさせてくれるのか、とっても楽しみにしています」という挨拶で、嵐先生たちの研究発表がスタートした。(はま田崇裕の「はま」が漢字表記できないため、かな表記しています)

嵐先生たちの自由研究

「トイレットペーパーの芯の可能性」

二宮先生/助手:はま田

トイレットペーパーの芯が気になり、「3年生から6年生までずっと糸電話を作っていました」という二宮。この自由研究でもトレイットペーパーの芯に注目。

まずは、トイレットペーパーの芯で作品を作るという宿題から選ばれた作品のかずかずを紹介。「嵐学」の校章、麦わら帽子、餃子(!)などなど、次々とモニターに映し出されていく作品のかずかずは、造形もさることながら、発想もバラエティに富んでいて、会場からは感嘆の歓声が。京都大学iPS細胞研究所の皆さんが作ったiPS細胞がどういうものかを説明する模型も登場し、二宮がこの模型を作って、いろんな細胞に変化できるiPS細胞について、しっかり解説。

さらに、通常は紙コップを使用するストリングラフィという楽器に注目し、紙コップをトイレットペーパーの芯に替えて製作されたニノ式ストリングラフィが登場。二宮とはま田が、奏者の方たちと一緒にストリングラフィの柔らかな音で奏でたのは、ワクワク学校の校歌『ふるさと』。演奏もさることながら、両手を頭上から翼を広げるようにして弧を描くようなフィニッシュのポーズも、奏者の皆さんと一緒に笑顔でキメるなど、二宮と濱田の息もピッタリ。その優しい調べと笑顔で会場を和ませた工作の自由研究は、音楽の自由研究でもあった。

「魚をより美味しく食べる方法」

大野先生/助手:桐山

「釣りは好きだけど、おろすのはちょっと苦手」と、器用な彼にしては意外な悩みを持つ大野。まずは、特設の釣り堀で、櫻井とエビを餌に真鯛を釣るという釣り対決。先にヒットするも逃げられた櫻井に対して、釣り上げたのは大野。

「魚の構造を知れば(おろすのは)簡単」ということで、和食の名店で、骨を切るのではなく、関節を切るというコツを学ぶと、「ちゃんとわかって切れば、こんな簡単なんですね!」と驚きつつも、持ち前の手先の器用さであっというまに習得。家庭などで一般的な切り方は「平造り」で肉厚だが、今回大野が習得したのは「へぎ造り」。習得した技を会場で披露し、実食した櫻井に「みんな、変わる、変わるっていうけど、ちょっと嘘だと思ってた。ほんとに変わるもんだね」と言わしめるほど、弾力のある「平造り」と「サクサクサクサクかめる」(櫻井)という「へぎ造り」の食感の違いで唸らせていた。

大野がさばいた真鯛で、これまた釣り好きの桐山が梅じそ鯛茶漬けを作り、全員が実食。みんなが口々に感想を言うなか、しっかり味わうためにマイクを外していた二宮が、感想を尋ねられてもすぐに答えられなかったことからも、その美味しさがうかがえる。

「体幹」

相葉先生/助手:重岡、中間

テーマ発表の際に、「体感」を「ていかん!」と力強く言い間違ってしまったことに気づかず、指摘されると本気で恥ずかしがっていた相葉。その天然ぶりを、これまた天然キャラとして知られる濱田のお兄ちゃんみたいだとみんなに囃し立てられ、会場が笑いに包まれるなか、研究発表がスタート。

嵐&ジャニーズWESTが、精鋭揃いの小学生チームと体幹チェック雑巾がけレースに挑戦。ジャニーズチームは桐山・濱田・松本・相葉。「勝っていいんですよね!?」と闘志をむき出しにする桐山、続くはま田が驚異の猛スピード。デッドヒートのレースは第三走者の松本が逆転されるも、相葉が逆転。競り合った第4走者の女の子に「相葉くんのこと、嫌いにならないでね」と声をかけていたが、何事にも全力で向き合うこの姿勢もまた、嵐の魅力です。

しかし、レース後も呼吸の乱れのない小学生チームに対し、息が上がってしまったジャニーズチーム。では、体幹を鍛えるにはどうしたらいいのか? というわけで青山学院大学陸上競技部へ。相葉は、原晋監督のもと、体幹を鍛えるトレーニングのみならず、足が速くなるトレーニングも学習。会場では重岡と中間のリードのもと、足が速くなるトレーニングを体験。4万5千人が肩甲骨や股関節をほぐして笑顔になる風景はなかなか壮観。

「星空がより素敵に見える研究」

櫻井先生/助手:藤井

「自由研究と聞いて、私は思い出すのは学生時代のことです。中学生だったか、高校生だったかですけれども、そのとき僕が選んだテーマは星でした」と、二宮と同じく、学生時代の自由研究のテーマを取り上げた櫻井。「ロマンティック天体観測」と題して、プラネタリウム風にライティングされるなか、観客の協力でスタンド席にこと座てんびん座が浮かび上がり、櫻井が星座の名前の由来などを解説。「ロマンティック天体観測」のパートナーに指名された二宮が、櫻井スーツの裾をつまんで歩く姿に場内から歓声が湧くものの、二人のやりとりは芝居がかっていて、ロマンティックというよりもコントさながらというか、観客の笑いを誘いまくり。「どこらへんがロマンティックなの?」というジャニーズWESTからのナイスなツッコミも効いていた。

さらに藤井が太陽の被り物、櫻井が地球を模した大きな球形のなかにすっぽり入り、小瀧が月の被り物をして、3人で月の満ち欠けを実演。地球に扮した櫻井の周りを小瀧が1周することで、太陽からの光を受けた月が新月から満月へと移り変わる様子が再現され、学校での授業を思い出した大人の観客も多いはず。満月を経て再び半月に近く状態になると、櫻井は「こちら、6月26日、本日の月はもうすぐ半月になる、このような状態です。帰り際にお月様を見たら、小瀧くんのことを思い出してあげてください」と後輩をプッシュする解説でも楽しませてくれた。

「運ってなんだろう?」

松本先生/助手:神山、小瀧

「みなさんは、自分は運がいいと思いますか?」という会場への問いかけで始まった松本の研究発表。かなりの当選倍率と思われるワクワク学校の会場にいる時点で、この日の東京ドームは強運の持ち主揃いのはずだが、その4万5千人の中からチケットの半券を使って松本が引き当てた13歳の女の子が、この日のワクワクおみくじで唯一の大吉を引き当てた大野とともに研究に協力することに。「今日は誰を応援しにきましたか?」という松本の問いかけに、「松本潤さんの応援に来ました」という答えが返ってくると、松本はガッツポーズ。「結局、一番運がいいのは松本潤じゃないか(笑)」という櫻井の鋭い指摘も頷ける。

この2人に共通していたのは、何かをする前から失敗することをイメージする予期後悔をして、行動を起こすことを諦めたりせず、ルーティンを大切にする傾向があることだそう。

神山(自他共に認めるジャニーズWEST1運が悪い男)と小瀧(ジャニーズWEST1運がいい男)が挑戦した「運のいい人は視野が広い」という実験VTRのあとは、視野を広くするポイントである、ポジティブに考えることを実践。来場者への宿題に出されていた「ツイてなかったエピソード」を、先生や助手の面々がポジティブに変換。みんなを納得させる名回答をなかなか出せない はま田が、鋼のハートで何度もチャレンジし続ける姿に「マダマダハマダ」という名フレーズが誕生するという収穫もあった。

iPS細胞誕生の経緯も例に挙げ、「大事なのは、ポジティブにとらえることです。ぜひ実践してください」と研究発表を締めくくった松本。その言葉に象徴されるように、5人の研究発表のまとめもそれぞれポジティブだったこともお伝えしておきたい。

5つの自由研究まとめ

どんな物にも大きな可能性が眠っている」二宮和也

知れば知るほど魚は美味しくなる!」大野智

体幹を鍛えると いいこといっぱい。お手伝いから始めよう」相葉雅紀

星空に思いを馳せれば、その輝きはきっと明日を照らしてくれる」櫻井翔

前向きに世界を見つめれば、あらゆるところに運が転がっている」松本潤

くまモンも見つめさせてくれるワクワク学校の原点

1位は先生と助手たちの投票で決定。「全員が自分のところに入れたら、助手の数が多い人のところが圧倒的に有利だよね」という声も上がるなか、1位に輝いたのは助手が1人だけの櫻井の「星空がより素敵に見える研究」。

「自分はポッチャリじゃないと、ポジティブにとらえられるようになりました」(桐山)、「これからは本物の流れ星のように、皆さんの願いを叶えられるような、そんな流れ星になりたいです」(藤井)など、結果発表でもしっかり個性を発揮したWESTの面々の優秀な助手ぶりも印象的。1位に輝いた櫻井は、「ニノ、見てるか。また一緒に天体観測しような」と会場を沸かせたかと思うと、「これから夏に向かって、お子さんたちの自由研究ありますけど、身近なものから探してみるのもいいかなと思います」とコメント。櫻井らしい真面目さへの瞬時の切り替えでWESTを驚かせていたが、関西人らしい絶妙なツッコミでも授業を盛り上げてくれた助手たちと先生たちから生まれる化学反応も印象的だった。

コンクール1位に渡されたトロフィーは、山中教授の手をかたどったもの。終演後に流れたVTRには、手型をとる山中教授の姿も。iPS細胞について知らない小さな子供たちもワクワク学校を通して山中教授の存在を知ることで、科学への興味のきっかけにもなるだろう。

このトロフィーを櫻井に手渡したのは、会場に駆けつけたくまモン。最後は嵐とジャニーズWESTが『ふるさと』を歌いながら、くまモンと一緒にフロートに乗って会場を一周した。

2011年、東日本大震災の年に始まった『ワクワク学校』だが、今年は公演チケットとグッズの収益の一部が熊本地震で被災された方々に寄付されるという。今、自分にできることは何かを改めて考えさせてくれることになった2016年。東日本大震災の時にもエンターテインメントの必要性が言われたが、今年のワクワク学校もまた被災地とともにある心の大切さとともに、「笑顔にさせてくれること」の力に気づかせてくれたのだった。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『SCREEN』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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