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故障明けの36歳が球団に解雇してもらう。AAAの3試合で12打数5安打は、他球団の興味を惹く!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
デクスター・ファウラー Apr 9, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 5月3日、デクスター・ファウラーは、トロント・ブルージェイズから解雇された。スポーティング・ニューズのスコット・ミッチェルらによると、ファウラーが自ら望んで、解雇してもらったという。

 昨年2月のトレードで、ファウラーは、セントルイス・カーディナルスからロサンゼルス・エンジェルスへ移籍した。そして、ライトのレギュラーとして開幕を迎えたが、出場8試合目の走塁で左膝の靱帯を痛め、その後は欠場。シーズン終了後にFAとなり、今年の3月30日にブルージェイズとマイナーリーグ契約を交わした。現在の年齢は、36歳だ。

 リハビリを終えたファウラーは、4月28日から、AAAで3試合に出場し、長打なしの12打数5安打、2四球、1犠飛、3打点を記録した。1試合目はDHを務め、あとの2試合はライトを守った。

 FAになって他球団に売り込むのに、3試合で結果を残せば十分、と考えたわけではあるまい。

 ブルージェイズの外野には、左から右に、ルルデス・グリエルJr.ジョージ・スプリンガーテオスカー・ヘルナンデスが並ぶ。控えは、ライメル・タピアブラッドリー・ジマーだ。ヘルナンデスは左の脇腹を痛め、4月半ばから故障者リストに入っているが、復帰は近い。5月3日はAの試合にリハビリ出場し、ホームランと二塁打を打った。また、タピアも、昨シーズンはコロラド・ロッキーズでレギュラーだった。

 ファウラーは、このままブルージェイズにいるよりも、解雇してもらい、他球団と契約したほうが、昇格のチャンスは大きいと判断したのだろう。

 ファウラーのパワーはそれほどなく、ホームランのシーズン最多は2019年の19本だが、通算出塁率は.358と悪くない。四球率は12.5%だ。ポジションは、2017年までセンターを定位置としていて、2019年の先発出場も、ライトが80試合とセンターが52試合だった。レギュラーではなくとも、安く入手できる控え、あるいは故障したレギュラーの穴埋めとして、ファウラーと契約しようとする球団があってもおかしくはない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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