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18-19シーズンの日程発表から見るBリーグ 3つの変化と代表への配慮

大島和人スポーツライター
小野龍猛選手(左)、大河正明チェアマン(中)、篠山竜青選手(右)=筆者撮影

開幕戦は千葉と川崎の「先出し」開催

Bリーグは7月9日、2018-19シーズンの対戦カードと日程を発表した。B2は9月28日(金)、B1は10月4日(木)の開幕となっている。レギュラーシーズンの最終戦はB1、B2とも4月21日だ。B1の第1節は千葉ジェッツと川崎ブレイブサンダースの対戦が「先出し」で開催され、その他8カードは10月6日(土)と7日(日)に開催される。

昨季との主な違いは「B1開幕戦の単独先行開催」「B2先行開幕」「平日開催増」の3点だ。

B1初年度の2016-17シーズンも9月22日に「アルバルク東京×琉球ゴールデンキングス」が単独で開催された。ただし2年前はBリーグ本体が興行の一切を引き受ける特例だった。今回もBリーグ側の協力こそあるが、千葉ジェッツのホームゲームとして行われる。

ジャパンラグビートップリーグなどでも開幕戦に強豪同士のカードを組み、さらに平日に先行して開催する試みは行われている。Bリーグの今回の試みにも「続く539試合に向けたプロモーション」としての意味合いがあるはずだ。

テレビ中継は調整中とのことだが、大河正明チェアマンが「圧倒的な集客力ナンバーワンの千葉にその権利がある」と述べるように、ファンやメディアにBリーグの盛り上がりを感じてもらういい機会にもなるだろう。

昨季までとは違う「B2先行開幕」について、大河チェアマンは「アルバルク東京がアジアチャンピオンズカップに挑み、日本代表の活動も予想して、B2を1週間早くした」と説明している。

週中開催が12節

クラブ経営に対して最大のインパクトを与える施策は、B1の平日開催増だ。旧リーグ時代から週末の連戦を基本として日程は組まれていたが、今季は「土日水土日」のパターンが増える。今季は水曜(一部木曜)に1試合だけを開催する日程として、計12節が設定されている。

大河チェアマンは平日開催の狙いについて「仕事帰りのお客様に来て頂きたいし、平日のニュース報道でも取り上げてもらいたい」と口にするが、土日に比べて集客の難易度は間違いなく上がる。順調に入場客数を増やしてきたBリーグにとって、平日開催が「下振れ要因」となる可能性も否めない。

各クラブは「接待需要」も含めた会社帰りのグループなど、新たな需要を掘り起こす必要があるだろう。一方でサッカーなど他競技の開催も多い土日に比べて、一般メディアが足を運びやすくなるメリットはありそうだ。

そもそも1年間には週末が「51」しかなく、オフや代表活動の期間は必ず設定しなければならない。加えて今季はシーズンの終了が2週間繰り上げられた。FIBAアジアなどから発表はされていないが、5月に予定されるクラブチームの国際的な大会を念頭に置いた措置だ。

そういった事情を勘案すると「平日に試合をせざるを得ない」という外的条件はあったに違いない。しかし選手のパフォーマンスを考えれば究極的には連戦を廃止し、中2日、中3日で日程を組むNBAのような状態が理想だろう。Bリーグがプロ野球のような「平日でも客が呼べるエンターテイメント」を目指す上で、今季の平日開催は試金石になる。

代表活動への配慮も

またワールドカップ2019に向けたアジア1次予選を突破し、9月からアジア2次予選に臨む日本代表チームへの配慮も強まった。11/30(金)カタール戦、12/3(月)のイラン戦に向けて、第11節(11月23日&24日)は「金土」の開催となり、「プラス1日」を確保した。

2/21(木)のイラン戦、2/24(日)のカタール戦は2次予選の締めとなる重要な連戦だ。Bリーグは2月10日(日)に終了する第24節から2週間のインターバルを確保し、代表を後押しする。2次予選突破に向けたBリーグの意思も感じる今季のスケジュールだ。

●B1 2018-19シーズン 全試合日程

第1節:10/4(木)~10/7(日)

第2節:10/11(木)~10/14(日)

第3節:10/17(水)

第4節:10/20(土)~10/21(日)

第5節:10/24(水)

第6節:10/26(金)~10/30(火)

第7節:11/2(金)~11/4(日)

第8節:11/7(水)

第9節:11/10(土)~11/11(日)

第10節:11/16(金)~11/18(月)

第11節:11/23(金・祝)~11/24(土)

★アジア2次予選(Window5)

→11/30(金)カタール戦(ホーム)

★アジア2次予選(Window5)

→12/3(月)イラン戦(ホーム)

第12節:12/7(金)~12/9(日)

第13節:12/12(水)

第14節:12/14(金)~12/16(日)

第15節:12/21(金)~12/23(月)

第16節:12/26(水)~12/27(木)

第17節:12/29(土)~12/31(月)

第18節:1/4(金)~1/6(日)

→天皇杯

第19節:1/16(水)

→オールスター(1月20日?)

第20節:1/23(水)

第21節:1/25(金)~1/28(月)

第22節:1/30(水)

第23節:2/1(金)~2/3(日)

第24節:2/9(土)~2/11(月)

★アジア2次予選(Window6)

→2/21(水)イラン戦(アウェイ)

★アジア2次予選(Window6)

→2/24(日)カタール戦(アウェイ)

第25節:3/2(土)~3/3(日)

第26節:3/8(金)~3/10(日)

第27節:3/13(水)

第28節:3/16(土)~3/17(日)

第29節:3/23(土)~3/24(日)

第30節:3/27(水)

第31節:3/30(土)~3/31(日)

第32節:4/3(水)

第33節:4/5(金)~4/7(日)

第34節:4/10(水)

第35節:4/12(金)~4/14(日)

第36節:4/20(土)~4/21(日)

対戦カード、試合開始時間などはこちらから。

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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